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山頂でルームシェアでも  作者: 空丞
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彼女と女性

1時間バスに揺られ、ハッと覚ました。

バスから降りた時、まず目に写ったのは芝生を敷き詰めた様な草むらの広い平地と、周りの山の美しい景色だった。

ぐるりと見渡すと山頂は周りの山の景色と崖を仕切る木の柵、そして3軒の家が少し距離を離しすように無造作の方向に建っているだけだった。


「ひゃあ!本当に山頂だっ!めっちゃ絶景ですねぇ!」


大きなたれ目を見開いて彼女は思わず駆け出した。

フワフワと緩くウェーブのかかった重そうなロングヘアを綿飴のようにそよ風が持ち上げ軽やかに揺らして振り返る。

眉上に短く切った独創的な前髪はよく笑う彼女に似合っていて、まるで彼女の表情をよりよく表すためかのようだ。


「あれ、どうしたんですか?疲れてます?荷物持ちますよっ」

「ん?あぁ、平気…ありがとう」


きゃっきゃとデパートの玩具売り場に来た子どものように目を輝かせてはしゃぐ彼女と対照的に、ゆっくりと周りを見渡しながら少し足取りの遅く歩いていた女性が彼女の方に顔を向けた。

中央で分けられた前髪とショートカットが特徴の三白眼の女性。彼女の肩出しワンピースと相反的な白い半袖のワイシャツにジーンズとシンプルだが、爽やかな印象を与える服装はこの山頂の草原とマッチしていた。


バスの車窓から見えた絶景に心躍らせすぐに駆け下りた彼女よりしばらくしてからバスから降りてきた女性。

彼女の乗ってきた時バスには乗客は誰もいなく、彼女がバスの一番乗りだった。そのまま揺られてるうちに眠りに落ちたため酔わなかったが、もしかして女性がすぐにバスから降りてこなかったのは酔って動けなかったのからかもしれない。

心配になった彼女の表情が分かりやすかったのか、女性はぎょっと目を見開いて慌てて両手を振った。


「あぁ、大丈夫大丈夫。普段この時間は降りずにもどるから、なんていうか…時差ボケ?かなぁ」

「え?…え?もしかして」

「あぁ、自己紹介が遅れました。バスの運転手をしてます。先ほどのバスも私の担当です。」


女性はさっきまでの運転中ずっと被っていたバス運転手の帽子を持ってた旅行カバンから取り出し、深く被って見せる。

さすがにあの分厚い生地で出来た制服のジャケットはシワになるので取り出さなかったが、その制服は体型を隠すし帽子は深く被るため顔の半分は隠れる。そして到着を伝えるアナウンスもマイクを通せばその声は機械の雑音によりハスキーボイスはうんと低くなり、よほどじっくり見ない限り、運転席に腰がけ大きなハンドルを握っていた運転手は若い青年にしか見えないのだ。


「えー!え、さっきの運転手お姉さんだったんですか!?うわぁ全然気付かなかったぁ…」

「バスの中で着替えちゃえば誰も私が運転手だって気づかないだろうな」


ぱちくりと目を見開いてい驚いている彼女に、着替えっても上着を脱いでズボンを履き替えただけだけどね、と女性は笑った。


「あ、そういえば私以外にお客さんっていたんですか?私最初からこの終点までずっと寝てたから」

「あぁ、いたよ。私の真後ろにいたのがキミで、その3つ右後ろの窓際にグラデーションボブの森ガールな女の人、その1つ後ろの左の窓際ににネコ目で二つ結びのワンピースの女の子。その4つ後ろの道路側にスナフキンみたいな縁の広い白い帽子をかぶった艶やかな黒髪の女の人、そして一番後ろの席にベリーショーットカットの白いTシャツの女の人。キミを含めて乗客は計5人。―そして私を含め、この山頂でルームシェアをする計6人」


すぅ、と山頂の澄んだ息を軽く吸って、女性は持っていた旅行バッグをドサッと芝生の地面に置いた。

ワイシャツのポケットに左手は突っ込んだまま、空いた右手を彼女の前に差し出した。


「気持ちよさそうに眠るキミを起こすのは申し訳無かったから他のみんなに先に降りてもらったよ。

 改めまして、私はキミと同部屋の緖家秋奈です。勝って兜の~の緖に家庭の家でおが、残念ながら中森明菜ちゃんの明菜の方じゃなく、秋といえば奈良やろがいであきなです。」

「相田です!相性の相に田んぼの田…黒バスの監督ちゃんと同じあいだなんです!」

「いやそこドヤァで言われても。羨ましいとかしか言えん」

「ちょ、羨ましいんですか!意外とアニメ好きなんですね!」

「仕事帰りは即リアルタイムアニメが俺の通常運転!」

「ブフォ、ちょ、秋奈さんイメージめちゃ変わったっ…さっきまでのクールビューティーいずこっ…」

「お褒めいただきどうも。で、それは置いといて下の名前をお聞かせ願いたいな。笑い上戸なお嬢さん?」

「はーっ…私高尾くんになりかけたわー。あ、海と言います。そのまんま訓読みの、オホーック海のうみです」

「チョイスな!」

「ハハハハハッ」

「あかんキミ完全高尾化しとる、ワシどないしたらええの」

「ハハッ、ハーッ…てかワシ!今吉さん!」

「ワシ青峰しか手に負えんのやけどなぁ」

「ッハハハハハハッッ、あーっ…ちょ、今夜黒バス談義しましょう!ダメだ秋奈さんすごい好きっ…」

「腹抱えながら言われても微妙だね。いいよ、テレビ繋がるだろうし黒バスDVDも1期から持ってきてるし」

「秋奈さんマジハイスペック和成!」

「いや高尾はキミだろ!」


丘で出会った飽きない二人の一ページはこれから始まり始まり。

相性?それはもう田の様に海の様に広いのさ!


「真ちゃん風に言うと運命なのだよ、なーんてな」

「普通に高尾って呼んでしまいそうだよ」

「ちょ、そこは「呼んでしまいそうなのだよ(眼鏡クイッでドヤァ)」でしょう!」

「あれ、面倒くさいと思わない私がいる」

「秋奈さんに万歳!」

「海ちゃんにあいりすぺくちゅー」



「…あの二人もう仲いいのねぇ」

「アラアラ」


部屋に荷物を置いて出てきた時、目に写ったのは遠くで盛り上がってる二人。

服装的に傍から見ると外出してるお嬢さまとその目張り役の執事に見えるなぁと呟くと、ふふっと隣の人が顔だけこっちに向け、私と正反対の髪質のふわっとしたグラデーションボブが跳ねるように振り向いた。


「私たちより後に出会ったはずなのにね」

「では私たちも距離を縮めましょうか」

「あらあら」


そのリスのような柔らかい毛質と髪の浮かぶに森ガールの服装に、口元に片手をあて微笑む姿は様になっていた。なんか妖精みたいな人だ。まぁ森にいそうな服装だから森ガール、妖精も出没場所は主に森だ、あながち間違いではない。

つり目なのにおっとりとした印象の目を持ち私を見つめるこの人を怖がらせないよう、睨んでると思われないよう切れ長の目をゆっくり伏せたまま眉を下げてこの人を見つめた。同時に口が開いた。先に声に出したのは、私だった。


「荷物置くのに精一杯でまだ私たちろくに会話してませんでしたね。初めまして、私は…」



次は、この二人のお話。







-


秋奈

シフト制の為朝からだったり昼から最終の回送までだったり。

その為帰宅して黒バスか暗殺教室か妖怪ウォッチかプリキュアかそのサイクル。

最近は再放送のテニプリが癒し。あとアイカツとか。

そして最近は観光シーズンの為タクシー運転手もしている。観光バスが主にもなりつつある。そしてまた一周回って観光タクシー運転手に。


大学院生で教育実習生。小学校の教育実習を月に一週間×2をエンドレスな学生生活。

資格がたくさん欲しいと大学院に進んだ。院卒の先生は素晴らしいと院卒業後の内定も大学時代に貰ってる。なので大学生時代は資金集めにバイトに専念。家庭教師もやったし接客もやったし工場仕事もやった。今は院が終わるのが16時なのでそのまま学校帰りの子の家庭教師バイトを主にしている。

小学生のために妖怪体操第一をマスターした。今ではプリキュアもアイカツも踊れる。

ヌルーッフッフッフゥーも手裏剣で戦う5人組も仮面ライダーの決めセリフも技も完コピ。大人気海せんせー。


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