プロローグ
このページを開いてくださったみなさま、はじめまして。
入蔵蔵人と申します。
ラノベ初心者で語彙も少ない僕なので、読みづらいところがあるかもしれませんが、どうぞ、よろしくお願いいたします。
その日、ラフアルド西大陸の中央に位置するディストニカ王国の王都ゼスタークはいつものように賑やかで、人々はいつものように平穏を満喫していた。
しかし王都の中央にそびえる王城内の一部、主に王城の西棟では、占術師や魔術師達を中心に上へ下への大騒ぎになっており、いつもは何があってもどっしりと構えている高年の占術師長でさえ、顔を強張らせて指示を飛ばしている。
王都全体をドーム状に覆っていた巨大な星の魔法陣、通称“守護星壁”が何の前触れもなく突然消失したのだ。
この国の王である、オルカ・フルール・ディストニカが、精霊王により歴王に指名されてから30余年。
歴王だけが使える精霊王の祝福を一部使用して、守護星壁は造られている。この不可視の壁は、あらゆる厄災から王都を守ると伝えられており、数代前の歴王の頃から一度も破られたことがないといわれていた。
その守護星壁の消滅に、管理を任されていた城詰めの占術師達は酷く狼狽えながらもその日のうちになんとか急拵えの防御壁の魔法陣を発動させ、かろうじて王城と貴族街は覆われた。魔術師や騎士団は原因を必死に探して、王都の周辺をくまなく調べて回った。
しかし、他国が攻めてきたわけでもなく、魔獣や魔人が出没したわけでもなく、守護星壁が消えた以外は至って平和で、王城の混乱は数日で収まり、歴王の力で何の問題もなく守護星壁は修復された。
そんな王都の一角で、誰にも気づかれることなく、その少女はこの世界に構築された。
「や、や、や……やったー!!!!」
少女は真っ暗なそこがどこなのかも分からないのに、喜びの雄たけびを上げる。
感極まったように涙目になりながら、万歳をし、おもむろに立ち上がるとぴょんぴょん跳ね、ガッツポーズをしてまた万歳をしながら「やったー!!」と叫ぶ。
しかし、一通り喜んだあと。少女はゆるゆるとその場に座り込み、小さく息を吐きながら静かに横になって、満面の笑みのままその意識を手放したのだった。