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赤い眼  作者: 二次元
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エピローグ

「お兄ちゃんずいぶん疲れてるみたいね。」


「まあちょっとな。」


今まで妹には出来るだけ心配をかけないようにしてきた俺だが、今回は色々ありすぎた。


さっき手術代を払って一息ついたらいっぺんに疲れが出てきたらしい。


「家に帰って休んだら?」


「そうさせてもらうよ。手術は三日後だからな。

成功率は高いそうだから安心しろ。」


「うん。わかった。早く治して早く家に帰れるようにするね。」


「ああ。その意気だ。」


俺は病室を後にした。



△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼



あの日の事は今でも夢じゃないかと思う。


だが夢じゃない事はこうして妹が手術を受けられることで証明できている。



あの日家に帰ると、玄関のドアの下に手紙が挟まれていた。


中を開けると『誰にもしゃべるな』とだけ書かれた手紙と少女が約束した額面の小切手が入っていた。


無論高額の報酬には口止め料も入ってるんだろう。


ああ、いいぜ。


俺は金が要る。


これだけあれば妹の手術代と入院費どころか妹と二人で田舎に引っ込んでのんびり過ごすことだってできる。


何も言わないさ。


それにもう関わりたくない。



△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼



私があの日放ったお友達のコウモリがあの男の家とここを教えてくれた。


肩に乗るくらいの小さな姿で追っていたからあの男も気づかなかったみたいね。


折角見つけたんだから確かめないと。




ここがあの男の妹の病室ね。


ノックをすると可愛い声で「どうぞ」って聞こえてきた。


部屋に入ると14~15歳くらいの可愛い子が怪訝そうな顔でこっちを見ていた。


「ごめんなさい。驚かせちゃった?」


「う・うん。ちょっと。」


どう反応していいかわからない感じね。


その仕草もなんだか可愛い。


あの男が大事にする理由が何となくわかってきたわ。



「私はあなたのお兄さんのお友達なの。妹さんが入院してるって聞いたからちょっとお見舞いにね。」


「えっ?お兄ちゃんの?ひょっとして彼女さん?」


と勢い込んで聞いてきた。


今までと全然反応が違って結構新鮮。


「そういうわけじゃないんだけどね。」


と私はわざと困った表情で答えてみた。


「ご・ごめんなさい。私勘違いしちゃって。」


って妹さんは言いながら真っ赤になって俯いた。


何かいちいち可愛い。


報酬を3倍に増やしてよかったわ。


これは思わぬ大収穫ね。



「それより手術するって聞いたんだけど。」


「うん。手術を受けて元気になってまたお兄ちゃんと暮らすんだ。」


本当に嬉しそう。正直羨ましい。


「それはたのしみだね。頑張ってね。」


「ありがとう。でも私は寝てるだけだけどね。」


そう言いながら妹さんは照れ隠しに頭をかいている。



決めた。この娘を私のものにしよう。


でも口から汚いよだれを垂らしたり服がボロボロになっても気にしない、あんなやつらみたいにはしないけどね。


今すぐじゃなくてもいい。


退院して元気になってあの男と一緒に暮らしている所にいきなり現れてやろう。


そう思っていると妹さんが私の顔を覗き込んでいる事に気がついた。


「なあに?」


「ごめんなさい。瞳が綺麗だなあと思って。」


「ああこれね。赤いから気味が悪いって人のほうが多いけど。」


「そんな事無い!宝石みたいですごく綺麗。」


「ありがとう。そろそろ失礼するわ。早く良くなってね。」


「うん。こちらこそありがとう。お兄ちゃんにも来てもらった事を伝えとくね。

そういえばお名前を聞いてない・・」


「それは内緒にしといて。名前も今度会った時に教えてあげる。」


「なんで?」


「治った後のお楽しみは多いほうがいいでしょ?」


「そうだね。」


私は手を振って別れを告げると再会の時を心待ちにしている自分に気がついた。


喜んで私を迎える妹と恐怖に引きつる兄か。本当に楽しみ。


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