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赤い眼  作者: 二次元
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侵攻2

正面から館に入ったCとFは異様な臭いの発生源を探ろうとしたがその必要は無かった。


エントランスの正面階段の脇にある地下への入り口が開かれ、そこから誰かが出てきて臭いが更に強くなったからだ。


「何だ?腐乱死体でも移動してるのか?」


とF。


「これはひでえ。戦場の死体置き場でもここまで酷くねえぞ。」


とCも同意した。


臭いの主の服は汚れている上にボロボロで、髪は油でべとつき、口からよだれを垂らしていた。


開かれた口から見える歯は、あまりにも汚すぎて白く見える部分が皆無だった。


その上大量の目ヤニが目から頬にかけてこびりついて真黒になっている。


そんな全身からこの臭いは放たれていた。


更に悪い事に臭いの元は一人ではなかった。


こんな風体の輩が次々と地下から湧いてきてそれぞれが手斧やら包丁やら何かしらの武器を持ってこちらに迫って来ているのだ。


「な・何だこいつらゾンビかよ。」


あまりの異様な光景にFは映画で見たゾンビを思い出したようだ。


「バカ野郎!そんなもんいるか!

ゾンビが武器を持って襲ってくるわけないだろ!

後ろのドアにはまだコウモリがぶつかってやがるし

もしサルがチンパンジーだったらあんな凶暴で最悪のやつらはほかにいねえ。

外の動物相手にするよりこいつら相手にした方がまだ活路が開ける。

とにかくやるぞ!」


Cの合図によって二人はナイフ片手に戦闘状態に入った。



△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼


穴に落ちたボスを確かめに行った俺をどこかで見ていたんだろう。


さっきの熊が戻って来て俺に迫ってきた。


俺はとにかく敵から距離を取ろうとした。


だが外にはもう逃げ場が無い。


館の中に入って正面の三人と合流するしかない。


俺は裏口から中に飛び込んでカギをしめた。


俺の動きに反応したクマは閉じたドアに進路を阻まれた。


だがさすがの怪力でドアを破壊し始めた。


クマが一回殴るたびにドアが無残な姿に変わって行く。


俺は走った。エントランス前の階段に向かって。



△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼



まるで映画のゾンビの様な風体の相手の人数はざっと見積もって30人はいそうだった。


二人にとって短い得物でかかってくる相手は敵ではなかった。


さっきからほぼ一方的に倒している。


「なあC楽勝だな。」


「まあな。でもこの人数は脅威だ。気は抜けん。」


だが敵と敵の間からいきなり槍が伸びてきてCの胸に刺さった。


「畜生!!」


そう叫んだCの動きは完全に止まった。


そしてそれは命取りとなり敵の集団に飲み込まれ全身切り刻まれた。


Cは悲鳴も無くその場で絶命した。



それは結果としてFに全て負荷がかかる事となった。


健闘していたFだったがやがてC同様槍で突かれて動きが止まった所を多くの刃に囲まれ切り刻まれて絶命した。



△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼



俺はエントランスにようやく辿り着いた。


だが、異様な臭気を放つやつらが床の上に何人も座り込み何かを手にした刃物で突いている。


突かれている方は殆ど血で真っ赤だったが、あの制服は仲間だ。


顔の判別はこの角度からじゃ無理だし誰かは確定できないが少なくとも3人のうち2人はやられてしまった事になる。


今俺は一人で武器はナイフ一本。


とてもやれる数じゃない。


それにもう1人が生き残っていたら先に少女がいる二階に上がった可能性がある。


俺も追うべきだろう。



俺はやつらに気付かれないように足音を忍ばせながら階段に近寄った。


そして階段の前に倒れている死体をまたいだ時に突然左足首を掴まれて、階段に倒された。


俺が死体と思っていたやつはまだ完全に死んでいたわけじゃなかったようだ。


正直階段の角にぶつけて痛いがそれどころじゃない。


俺は右足で掴んだ相手の頭を蹴り飛ばして難を逃れようとしたけれど、蹴った足が油の様なもので滑ってまともに相手に衝撃が伝わらない。


よく見ると腐ったような臭いを放つ皮脂がべっとりとそいつの頭全体にまとわりついていてそれが原因のようだった。


「この!離せ!」


そう言って更に蹴り続けても全く効果は無く、それどころか他のやつらまでこっちに気付いたようだった。


死体を刺すのをやめて次々と得物を持って立ち上がってこちらに迫ってくる。


俺はナイフを取り出し俺の足首を掴んでいるやつの首筋に降り下ろした。


血飛沫があがると同時にそいつの力が抜けて俺は何とか自由になった。


俺はすぐに立ち上がり階段を駆け上った。


後ろから何人か追ってきたが何とか距離を保てそうだった。



見取り図だとここをまっすぐ突き当たった部屋に少女はいるはず。


その部屋の前に辿り着いた俺はドアノブを回して部屋に入って素早くドアを閉めてカギをかけた。


すぐにドンドンとドアを叩いたりドアを得物で刺すような音も聞こえたけれどそれはすぐに収まった。


それどころか部屋の前から人の気配が消えていった。


あいつら引き返したのか?



急場をしのいで一息ついた俺が振り返ると


「来たのね。」


と少女の声が聞こえた。


声の主は少し赤味がかった瞳が印象的な少女だった。



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