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赤い眼  作者: 二次元
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侵攻1

「C,H,I,J降りろ。館へ向かうぞ。左翼を降ろした後、一時間後の22:30にまたここに来い。」


ボスの命令に運転手は黙って頷いた。


俺達はCを先頭に館へ正面から向かって侵攻した。


周りから何の音も声もしない。風も無い。


だがIのやつが静寂を破った。


「なあボス。あんただけが何で銃を持ってるんだ?」


「備えだ。」


ボスはそれ以上言う気は無いらしい。


Iは肩をすくめて退散するしか無いようだった。



館まで200mといった所で突然ボスの無線機から切迫した声が聞こえてきた。


『おいボス!ボス!聞こえるか?こちらBだ!

今コウモリの集団に襲われている!助けてくれ!』


「おい!B!どうした!B!」


『な・なんだ!このデカイのは!』


「おい!EやHはどうした!?」


『眼が赤いデカイやつが!うわああああああああああああ!』


「おい!B!B!」


それっきりBとの交信は途絶えた。


この様子だと誰も生きていないだろう。



「おいボス、やべえんじゃねえのか?」


ボスは無言で問いかけたFを見た。


「A達はどうなんだよ?確かめなくていいのか?」


「必要無い。もうすぐ待機場所だ。合図を送ればすぐにわかる。」


「引き返した方がいいんじゃねえのか?かなりヤバイ感じだぜ!」


そう後退を勧めるIにボスは持っているライフルを向けた。


「私が銃を持つ理由はな。脱走や離脱を防ぐためだ。」


「くっ・・。」


「お前達の事だ。もう前金は使って返せないだろう?

もし返せたとしても後退は許さん。作戦は続行する。」


ボスには全く隙が無く俺達は従うほかなかった。



△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼



館まで100m地点に着いて、ボスは両翼に対して合図を送ってみた。


3回繰り返したが何の返答も無い。


無線の呼びかけにも誰も応じない。


「やっぱり両翼は全滅かよ。なあボスやっぱりやめとこうぜ。」


と止めるIにボスは


「命令は変わらん。破格の報酬は多少の危険があっても作戦が実行されることを意味する!

このまま作戦を実行するか、私に殺されるかどちらか選べ!」


6人も死んでるのに多少も無いだろうが俺は行くしかない。


「俺は行くぜ。」


と俺は答えた。


「俺もだ。」


とCも答えた。


FとIは顔を見合わせていたが結局


「仕方ねえ。行くぜ。」


「そうだな。」


と答えて結局全員が行く事になった。



△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼



「少し変更するぞ。CとFとIは正面入り口から入れ。Jは私と裏口からだ。」


とボスは指示してきた。


本来は右翼の3人が裏へ回る予定だった。


けれど全滅したものは仕方ない。


俺とボスは藪を伝って裏手へまわった。



△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼



「おいこのままやる気かよC。」


と最後尾のIが先頭のCに問いかけた。


「確かに聞いてたよりはずっとヤバイ仕事だが、ここまで来て手ぶらで帰れないだろう?」


「そりゃそうだな。」


とFが同調した。


「仕方ねえな。ぐああああああああああああ。」


と突然Iの悲鳴が響き渡った。


CとFが驚いて振り返るとIの肩に大型のネコ科の動物が噛みつき押し倒していた。


二人をにらんだその眼は闇に赤く映えて不気味な事この上なかった。


そして動物はIを咥えたまま木の上へ飛び上がり森の奥へ消えた。


「お・おいどうするC?追うか?」


「バカ言え!追って何が出来る?あいつには悪いが見捨てるしかない。」


2人がそこまで話した所で正面の館の右側の森から大量のサルの鳴き声が、左側の上空から大量のコウモリがこちらに向かって来ていた。


「やべえぞF!館に逃げ込め!」


「わかった!」



2人は全速力で館に向いドアを開け中に入った。


戸を閉て暫く経つとコウモリがぶつかる音がいくつもドアの向こうから聞こえてきた。


「何とか助かったな。」


「ああ。」


館の中は意外と物が無く、絵すらかかっていなかった。


その上まるで生活感が無いのだ。


二人にはそれよりも気にかかる事があった。


「おいC。ここなんか臭うぞ。」


「ああ、かなりひでえ。」



△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼



「J。ドアを確かめろ。」


「わかった。」


俺はボスから命じられるまま裏口のドアノブを回してみた。


ドアは素直に開いた。


「別に怪しい所はなさそうだが。」


そう言って振り返った俺はボスに迫る大きな黒いカゲを見た。


「おいボス!危ない!」


ボスが反応するより早くその大きなカゲの右腕が一閃し、ボスは数m吹っ飛ばされた。


そのカゲは大きなグリズリーの様な熊で俺の方を一瞥してすぐに立ち去った。


俺を見たその眼は赤く光っていた。



ボスが飛ばされた場所に行ってみたらボスは落とし穴に落ちていた。


それもただの穴じゃない。


底に斜めに切った木を何本も立てた罠つきだった。


そのうちの何本かはボスを串刺しにしていて、ボスはとても助かりそうになかった。


そのボスの唇が何か言っていた。


『なんで・・わたしが・・・』


そう言ってるように見えた。

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