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赤い眼  作者: 二次元
2/7

右翼隊

「停車!第一ポイントだ。A,D,Gの右翼隊は降りろ。」


ボスの命令に従ってA,D,Gの3名がトラックを降りた。


そして周りを確認すると素早く森に入って行った。


3人が森に消えるとトラックは再び動き出した。



△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼



「おいA。直線距離だと館まで1000m無いよな?」


とDが言った。


「まあな。館の100m手前で待機って命令だが、正直俺ら3人で簡単にいけるぜ。」


「だったらそうしねえか?相手が女だったらそれなりの楽しみもあるしな。」


と下卑た笑いを浮かべながらDが言う。


「確かにな。館って言うくらいだから金目のものもたんまりありそうだしな。俺達でやっちまうか?」


「そうこなくちゃ。」


「所でGはどうなんだ?反対なら俺とDでやっちゃまうぜ?」


「ハハハハ、Gが反対な訳ないだろう?なあG?」


そう言ってDが後ろを見るとニタリとGは笑って見せた。


「なんだDとGは知り合いか?」


「ああ。同じム所いたんだよ。」


とDが答えた。


「お前らの事だから一生かかっても刑期が終わらない事をやってきたんだろ?」


「人の事は言えないだろう?Aさんよ。」


「ちげえねえ。」


そう言ってAとDは声を出して笑い合いGは無言で不気味な笑みを浮かべていた。


「ちょっと待ってくれ。」


とAが唐突に二人を止めた。


「ん?」


「ちょっと小便。丁度そこに沼があるしな。お前らも来るか?」


「連れションの趣味はねえよ。」


「じゃあ行ってくるわ。」


そう言って片手をあげながらAは沼の方に消えた。



△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼



Aが用を足し終え「ふう」と一息ついた瞬間突然硬い鱗を持つ何かがAの体に巻きついた。


声を上げようとしたけれど圧力が強すぎて息を吸う事も吐く事も出来ない。


Aが出来たのはその場に倒れる事だけだった。


Aは必死にもがいたけれどびくともしない。


そうしているうちにアバラがボキボキと音を立てて折れ始めて口から血の泡が出てきた。


背骨が圧迫されて折れたとわかった時は今まで経験した事が無い激痛が走った。


そして下半身の感覚が全くなくなった。


全身の骨が折れ地獄の苦しみにもがくAが最後に見たのは赤く光る二つの瞳だった。




△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼




Dが時計を確認するとAが離れてもう5分経っていた。


「おい遅くねえか?」


と言うAの問いかけに対してGは黙って頷いた。


「行ってみようぜ。」



沼に着いた二人が見たのはAの無残な死体だった。


体は不自然に折れ曲がり、眼や口は限界まで開かれていて舌や眼球が飛び出しそうに見える。


アバラごと肺が押しつぶされているらしく不自然に胸がひしゃげている。


「こりゃあ蛇の仕業か?ひでえな。声を上げることすらできなかったんだろうな。

おい周りに気配はあるか?」


Gは周りを見回すと首を横に振った。


「ヤバイやつがもういないだけましってことか。

これだけの事をやってのけるんだから相当でかいぞ。

蛇を倒すには食ってる所を襲撃するのが一番いいんだが、エサは食わずに放置かよ。

まあそんな場面にでくわしてもナイフごときでどうこう出来るとも思わないけどな。」


Dが座り込んでAの死体を隅々までチェックしながらそう言った。


そして不意にAの胸やズボンのポケットに手を入れて中身を確かめ始めたDにGは眉をひそめた。


「何・・してる?」


「何って決まってるじゃねえか。あの世じゃ金も武器も役に立たねえ。

俺達もこいつみたいにならないように少しでも準備しなきゃならねえし

金だって使ってやらなきゃ可哀想だろ?

ほらお前も手伝え。」


Gはひとしきり考えた後結局Dを手伝い始めた。



「くそ!無線機もいかれてやがる!」


Aが腰につけていた無線機はAの体同様破壊されていた。


無線機は班長に一つ支給されていただけだしこれで右翼隊は孤立したも同然になった。


「武器は期待してなかったからしかたねえが、食料も潰れてるし金も何も持ってやがらねえ。」


「それより・・館へ。」


グチるDを制するようにGがポツリと言った。


「おい正気かよ!これはどう見ても引き返すべきだろうが!」


「分け前・・増えた。」


「言われてみりゃそうか。他が着く前に急ぐぞ。」


Dはそう言うと館に向かって走り始めてGも後に続いた。



△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼



二人が森を走って暫くすると頭の上から枝を揺らして複数の何かが移動する音が聞こえた。


Dが上を見ると腕が長い何かが樹木を伝って自分たちと同じ方向に進んでいる。


「おい、やべえぞ!チンパンジーの群れだ。」


Gも同じように気付いたらしい。


だが二人が気付いた頃にはすべてが遅かった。


チンパンジー達は次々と降って来て二人の上に覆い被さってきた。


「こ・こら離せ!このエテ公!」


そう叫びながら暴れるDだったが、次々降ってくるチンパンジー達の重みに耐えきれずその場に倒れ込んでしまった。


チンパンジー達はDの頬を掴むと容赦なくその肉を引きちぎって食べ始めた。


「い・痛てえ!。よせ、やめろ!ぐあああああああ。」


チンパンジーは頬だけでなく耳も引きちぎり指も容赦なくへし折ってきた。


目を突き全身に噛みつき引き裂いてきた。


そして最後に赤い眼をしたひときわ大きいチンパンジーが降って来てDの腕を引きちぎった。


その頃にはもうDは絶命していた。


Gも同様だった。


ただこちらは倒れる前にナイフによる攻撃で数匹のチンパンジーを道連れにしていた。



こうして右翼隊は全滅した。



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