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厳冬籠もり春を待つ  作者: 猫面人
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四話 考察

 帰りの車の中で、人間の冬眠について考えていた。しかし、自分の持つ知識では周期的に冬眠に入るヒトの存在など、有り得ないと言わざるを得なかった。冬眠とは、代謝を抑えることでエネルギー消費を減らし、食料の少ない冬を乗り切ろうという、生物の知恵だ。代謝を抑える為には、体温を低下させ、呼吸を減らし、心拍数も抑えねばならない。だが、ヒトの体は30℃以下まで下がると、体温調節機構がマヒし、自力で復温出来なくなってしまう。20℃以下では心臓が止まる。もちろん呼吸や心拍数だけ抑制しても、結果的に体温が下がってしまい死に至る。

 

 やはり無理か。いや、どこかで極低温の状態で、三週間飲まず食わずで生き延びた男がいると聞いたことがある。その男は遭難していて、発見された時には体温が22℃しか無かったという。この男は、その後何の後遺症も残さず回復したそうだ。あながち完全に有り得ない訳では無いようだ。ならば、有り得る。あのスイという男は冬眠が出来る。という前提で事を進めよう。なかなか楽しくなってきた。私はこれから人間の神秘に、人類の新たな可能性に遭遇するかもしれないのだ。興奮しない訳が無い。ああ楽しみだ。楽しみで楽しみで仕方ない。

ふと気が付くと、見たこともない道を走っていた。

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