番外 スイ
また、長い眠りから目を覚ました。身体を起こすが誰も居ない。一瞬、見捨てられたのかと不安に思う。だが
「あ、起きた?」
そう言って笑ってくれる者がいる。眠っている間に、村の者を失った。何もかも失った。しかし、ハルは言った。
「なに言ってるんです、私がまだ居るじゃないですか。」
ただ眠っているだけで、神と崇められた。ただ眠っているだけで、神と崇められているだけで、私は何もできなかった。それなのに、ハルは全てを許してくれたのだ。これ以上の喜びは無いように思えた。相変わらず、私が起きている間はペンダントを外しているようだが、それでも良いのだ。
子どもが生まれた。名前はアキにした。女の子だった。いずれ、私が厳冬に籠もり、深い眠りについたとて、ハルと共に待っていてくれるだろう。
いつかまた、この村を再建しよう。それまでに土地を作っておかなくては。今度は誰も悲しまぬように。今度は誰も苦しまぬように。また、皆が笑ってくれるように。それまでハルは待っていてくれるだろうか?
「もちろん、死ぬまでお付き合いしますよ。」
その言葉は、いつまでもいつまでも、私の救いとなった。私の慰みとなった。
今年もまた、厳冬に籠もり、今度は私がハルを待とう。




