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十七話 過ぎゆく時間
「この村の山道は、捕らえた者を逃がさないように工夫がしてある。」
シギの話によると、あの山道には人を帰さぬように、視覚的な罠が張ってあるそうだ。迷い込んだら一本道。帰る頃には分かれ道。と言ったところだ。崖から落ちそうになったことを伝えたら
「あれは落ちても死なない。途中で網に引っかかる。その網の近くには人が張っていてな、落ちてくる者を捕まえるんだ。」
と言われた。
「どうしても人を食わねばならんのか?麓の街へ出稼ぎに行く者はいないのか?」
「雪が多くてな、冬の間この村は完全に下界と遮断される。帰ってくる手段が無い。」
「村を捨てて出て行くわけにゃいかんのか?」
「ダメだ。先祖代々こうやって村を守ってきたんだ。今更そうもいかんさ。」
「そうか」
さて、あと何日で私は肉となるのだろう。シギに聞いても分からないと言っていた。だが近いうちにそうなるだろう。
コッコッコッ…
洞窟に、一人の足音が響いた。
もうそろそろ終わりです。




