十五話 囚人
昨日シギを怒らせてしまったが、面倒なので放って置くことにした。
ハルに会いに行こう。そう考え、ハルの家へ向かった。
ハルは居た。都合もいいらしい。とにかく話をしよう。と言っても、実験は村ではできない。本人の了承が無くては研究所に連れて行くこともできない。これはいわゆる暇つぶしであった。
「どうもハルさん。一つ質問良いですかね?シギの守ってる祠って、一体何があるんです?」
「答えられません。村の者だけの秘密です。」
「ふむ、そうですか。やっぱりですか。まあ良いですがね、それじゃあシギとは一体どういったご関係で?」
一瞬、ハルの顔が歪んだように見えた。
「それと、スイの冬眠に何の関係があるんですか?」
まあそうなる。確かに関係は無いのだ。
「いえね、研究をする為にはやはり研究所に行く必要があるわけですよ。それはやっぱりスイさんの承諾が無いといけないわけです。そこでね、ハルさんの方から説得していただきたいと思いまして。しかし、何かの間違いがあっては困るのでね、ハルさんってどんな人なのかなと知りたいのですよ。」
無理やりだ。何を言ってるかよく分からない。だが何を言ってるか分からない状態にする事が目的なのだ。適度にはぐらかしてやらねば。私にしては頑張った方だ。
「佐伯さん。私のことが知りたいと?長老から話は聞きませんでしたか?」
「ええ聞きましたとも、巫女さんなんですってね。何でも、スイさんがお選びになったそうで。」
「そうです。あの男が選んだんですよ。私の意思とはまるで関係無しに。私はシギと婚約する予定だった。それなのにですよ。恨みましたね。今でも私には触れさせません。こんなプレゼントを貰っても、何も嬉しくはありませんでした。」
そう言って、胸のペンダントを見せる。
「ハルさん?」
「なんですか?あなたが私のことを知りたいとおっしゃったのでしょう?これが私です。神に仕える巫女?そんな大層なもんじゃございません。恋人との仲を引き裂かれた、哀れな独りの女でございます。」
ドアが開いた。突然のことだった。長老のナツと男が3人入ってきた。
「佐伯殿、なにやらこの村について嗅ぎ回ってるようで。いろいろとわしらにとって都合の悪いこともありましてな、来ていただけますかな?」
ハルは俯き、私を見ないようにしていた。
「それは申し訳ない。ナツさん。ところでその都合の悪いこととは、なんですかな?教えていただければ今後気をつけることもできますし」
長老は男達に目配せする。男達は私を取り囲むように立っている。
「それはの、佐伯殿。村の食糧が底を付きそうなのじゃ。」




