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十一話 痩せこけた者達
「助けてくれ!殺される!」
必死の形相で男が入ってきた
「どうされました?」
そう聞いても男は、殺される。殺される。と、うわごとのように繰り返すだけだった。ハルの方を見ると、困ったような、後ろめたいというような顔で男を見つめていた。どうしたものか。そう思っていると老婆が入ってきた。
「すまんな、ハル殿。おや、お客人かの?」
そう言って私の方を見る。肉付きの薄い、痩せこけた顔をしている。そこには不気味な程表情というものが無かった。
「佐伯といいます。彼は一体?」
私の邪魔をする男を指差して言った。
「この子は村の者の子でな、可哀想に、精神の病を患っていての。」
数人の痩せた男が入ってきた。皆、一様にハルに頭を下げ、精神病だという男を引き連れ出て行った。老婆も去り際に
「佐伯殿。ここは何にも無いところじゃが、まあゆっくりしていくとええ。」
と言い残して行った。ハルはずっとうつむいたままだった。
その後、私はハルに別れを告げ、車へと戻った。研究はしたかったが、ハルの様子がおかしく、そういう雰囲気では無くなってしまったのだ。ハルや、ハルへの村の者の態度。なにやらこの村には事情がありそうだ。私は人見に今日あったことを伝え、大量の食糧に圧迫感を覚えつつ、眠ることにした。




