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宣言は恐怖の始まり?

「失礼ながら、アリスさんはリューク王子殿下との婚約はどうされたのですか?私が婚約破棄されたあの場でリューク王子殿下が宣言されていましたけど。」


私がそう言うとアリスは笑いながら言った。


「ふふっ!あれは嘘なの…。リューク様がユリアさんを嫉妬させたいと言っていたから、私は手伝っただけですわ…!」


リュークが私に嫉妬させたいですって?

そんなわけないじゃない…。


「なら、どうしてあの場でレオン様との婚約を勧められ、宣言されたのでしょうか。」


私が聞けばまた笑って話し始める。


「ふふっ!それはね、ユリアさん。リューク様はあなたが泣きついて来るのを待っていたの。他の家に嫁ぎたくない。あなたの妻でいたいって泣きながら言ってくるのを…。リューク様は話していたわ。あなたとは何もしていないって。だから、あの日、泣きついてきたら全てそこで初夜を迎えるって。そういう計画だったの。」


鳥肌が立った。

なんて酷い考えなの…。

泣きついてくるのを待っていた?

泣きついてきたら初夜を迎える?

気持ち悪い。

吐き気がするわ…。


「ねえ、ユリアさん。リューク様はあなたを待っているわ…。だから、早く帰ってリューク様と婚約し直して?それに、あなたの公爵家ならリューク様の方がお似合いよ?あなたみたいな大した地位のない公爵家がフェルナリア王国のエルディアス家に嫁ぐなんて……ふふっ…!」


「そうだ、アリスの言う通りだ…。君は身の程をわきまえろ。」


アリスに続くようにそう言うアルガド公爵に心底腹が立つ。


「あら、いいドレスね…。レオン様のプレゼントかしら?まあ、そうよね…あなたみたいな令嬢がそんな高価なドレス買えるわけないものね。だけど…似合ってないわ…。ドレスが可哀想。あなたにはボロボロのドレスが似合いそうだわ…!プレゼントしてあげる!」


「そのドレスはアリスの方が似合いそうだなぁ。あははっ!」


「もう、お父様ったら!ふふっ!」


もう嫌だ…

どうして嫌な気分にさせられなければならないの…。

さっきまで…幸せだったのに…


そう心の中で呟いている時だった。


「話はそれだけか?アルガド公爵。」


「…というと?」


「耳障りだ。今すぐ俺たちの目の前から消え失せろ。」


今までに感じたことのない恐怖…

これはレオン様から感じる…。

レオン様な顔を見れば怒りに満ちていた。


その姿はまるで、“悪魔”のようだった。


「ユリアがリューク王子と婚約していたことはもちろん知っている。夜会の場で婚約破棄され、俺に嫁ぐことをその場で宣言されたこともだ。」


私が全部話したからね。


「だが、俺は嬉しい。ユリアが俺の元へ嫁ぎに来てくれて。」


(…っ!)


「意味が分かりません…。」


「そのままだ。ユリアは俺の初恋相手だ。8歳のときに出会いそこから約十三年もの間ユリアだけを想っていた。お前たちが俺へ縁談の話を突きつけて来たときも俺はユリア以外の女性と婚約する気が無かったから断ったんだ。」


「…っ。」


悔しそうな顔をするアルガド公爵とアリス。


「だからお前には感謝しているよ、アリス嬢。リューク王子をユリアから奪ってくれて…。そのおかげでユリアが俺だけのものになった。」


改めて言われるとやはり恥ずかしくなる…

本当にあなたのものになっているから。


「で、でも、ユリアさんはそうは思っていないはずですわ!ねえ?ユリアさん!」


苦し紛れにそう言うアリスには相当な焦りが見えた。そして彼女の目は私を睨んでいた。


まるで、私にレオン様を愛していないと言えって命令しているみたいね。


でも、そんなことを言うわけないでしょ。

だって、嘘はつかない約束だもの。


愛する人との約束を破る人間がどこにいるのよ。


そして私はレオン様を見ながら伝えた。


「私は、レオン様を心の底からお慕いし、愛しております。レオン様以外の男性を見ることなど、これから先、生涯あり得ません。」


私の宣言を聞いたレオン様は私を見つめながら顔を赤くし微笑んだ。


そして違う意味で顔を真っ赤にしているアリス。


「もういいわ。帰る。」


急いで屋敷を出て行ったアリスとそれについて行くアルガド公爵。


「あ、言うことがあったな…」


そう言ってレオン様はアルガド公爵たちを追いかけるから私も一緒に行った。


「アルガド公爵、アリス嬢。最後に一つ言いたいことが。」


「なんでしょうか。」


アルガド公爵はいかにも不機嫌だった。


「そのリューク王子に伝えておいてくれ。俺の妻であるユリアは顔を真っ赤にし、毎日触れたくなるほど可愛く愛おしいと…。」


(〜〜っ!!)


「…かしこまりました。」


明らかに嫌そうだ。

私も一つ言っておこうかしら…


「アリスさん。」


「……。」


私を睨むように見るアリス。


「私、レオン様と約束したのです。嘘はつかないと。もし、嘘をついたらすぐに謝ると。私はレオン様と約束したので嘘はつきませんわ。どれだけあなたが私を睨んでも。愛する人との約束は守るものでしょ?」


「チッ。」


私が話し終えると舌打ちのような音が聞こえたけど…

聞こえないふりをしておこう。


そして馬車は走り出し見えなくなった。


「ユリアが…俺を愛してるって言った…。」


そう呟くレオン様。


「嘘じゃないですからね…!」


念の為に伝えておくとまた微笑んで外にも関わらず抱きしめられた。


「もちろん、分かっているさ。愛してる、ユリア。」


「私も愛しています。」



◇ ◇ ◇



「でも、大変なことになりそうだ。」


「どうしてですか?」


「確かにそうね…」


屋敷の方から声がして振り返れば近くに国王陛下と王妃様がいた。


「ジェリス国王陛下、エリー王妃様。」


「お父様、お母様…。いつから聞いていたのですか。」


「いつからって最初からだ。」


最初からって…ということは私がレオン様を愛してるって言ったところも…


「ユリアさんがレオンを愛してるって言った瞬間出ようと思ったけどジェリスに止められたのよ…今はダメだって…。でも、ユリアさん、かっこよかったわよ!素敵だったわ!」


「あ、ありがとうございます…!」


恥ずかしい……隠れたい……


「ですが、大変なことになりそうって一体…」


「あの人たちよ。何してくるか分からないわ。多分、ユリアさんを狙って何かしてくるでしょうね。たとえば…暗殺者とか…もしくはありもしない噂をでっち上げてヴァルグア王国だけでなくここフェルナリア王国でも流すとかね。」


そんな…


「もしくは…ユリアの家であるフレイン家に危害を加えるという脅迫や潰してから来るか。」


レオン様の言うこともなぜかあの人たちならやりそうだと思った。


「あるいは、ユリアさんの両親をここに連れて来るか、指示を出してここに来させ、レオンとの婚約を破棄しリューク王子との婚約を結べと言いにくるとかだな。」


確かにジェリス国王陛下の言ったこともやりそう…


「レオン。分かっているわね。」


「もちろんです、お母様。」


「ユリアさんをしっかり守るんだぞ。」


「ユリアさんが少しでも傷つくことがあったり、傷ついたときは私が許さないから。一つの油断もせず、レオン、ユリアさんをしっかり守りなさいよ。」


「はい。お父様、お母様。」


レオン様…。


「ジェリス国王陛下、エリー王妃様、レオン様。ありがとうございます…!」


私はこの人たちにどれだけ助けられるのだろう。

私もいつか、レオン様を守れるようになれたらいいなぁ…。



────────────────────



───アルガド公爵とアリスの馬車の中


「お父様。私、あの女を潰したい。」


「おいおい…。公爵家の令嬢がそんなことを言うなぁ…。」


「だって…。」


「分かっているさ…。」


「本当!?お父様!何か考えがあるの!?」


「あの女を潰すんじゃない。消せばいいんだ。」


「消す?」


「ああ。簡単なことだ。」


───殺すんだよ。

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