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初めて迎える朝

契約を結んで初めて迎える朝。

窓から差し込む日差しが眩しく目を細めてしまう。

そして、隣を見ればレオン様の姿。

その寝顔はとても綺麗で見惚れてしまうほどだった。


(…一緒に寝てしまった……)


結局、私は昨日の夜に用意された自分の部屋に帰ることはなく、レオン様の部屋に招かれ一緒にベッドに横たわり眠りについた。もちろん、何もしていない。だけど、彼のそばに入れるだけで嬉しいと少し思えた。


私は窓の前に立ち、外を眺めていると、


「ん…」


と声が聞こえ振り向くと目を覚ましている彼の姿。


「おはよう、ユリア。」


「お、おはようございます…レオン様…。」


目を軽く擦りながら起き上がるレオン様。


「ユリア、こっちにおいで。」


レオン様は私を呼び手招きする。

私がそばにいけば、ベッドに腰掛けるように促される。


「ユリア。君は寝顔までかわいいんだな。」


「〜〜っ!!」


そう言って私の手を握るレオン様に私は視線を逸らした。


「こっちを見てくれ…。」


「い、今はダメです…!!」


私、今どんな顔しているんだろう…

きっとみっともない顔をしているはず…

私がダメと言ったのにも関わらず、レオン様は無理矢理にでも私と視線を合わせてくる。


「照れてるのか…?顔が真っ赤だ。」


…恥ずかしすぎる…


「…言わないでください…。」


私がそう言えば、


「あははっ!すまない…。かわいくてつい。」


と笑いながら謝るレオン様。


(レオン様ってこんな風に笑うのね…)


また一つ、レオン様のことを知れてすごく嬉しかった。嬉しさが表情に現れていたのか、レオン様に不思議そうに聞かれた。


「どうしたんだ?そんなに嬉しそうな顔をして…」


「え?いえ…なんでもありません…!」


(顔に出てたんだ……本当に感情が顔に出るのを直さないと…)


「ユリア。条件に書いただろ?嘘はつかないことと…。」


「あ……。」


そうだった…私が昨日条件に嘘はつかないことって入れたんだった…


「すみません……。」


「で?どうしてそんなに嬉しそうだったんだ?」


私の目を見つめて聞いてくるレオン様に私は思わず目を逸らしながら話した。


「…レオン様のことを一つ知れたので…嬉しかったのです……。」


「何を知れたんだ…?」


そう言って指で私の顎を掬い上げるレオン様。


「〜〜っ!!」


「また顔が真っ赤だ…。早く言わないとずっとこのままだぞ…?」


この人…本気だ…

言うまでこのままにしているつもりだ…

私は意を決した。


「…レオン様があんな風に声を出して笑うなんて想像もしていなくて…だから、そんな新たな一面を知れて嬉しくて…」


「そうか。」


そう言って私の顎から指を離すかと思えば、次はその手がそのまま頬にやってくる。


「…レオン様…?」


「俺もユリアの新たな一面を知れた。」


私の新たな一面…?


「ユリアはよく照れる…。そのせいか今も俺を見ようともしない…。」


私の心の内は彼に全て見透かされているみたい。


「ユリア、こっちを見てくれないか…?」


私はゆっくりとレオン様を見れば、交わう私たち二人の視線。それがどうしても熱く、吸い込まれるようで、夢中になる。


「ユリア。この国に来て不安だろう。だが、君にはすぐにここに慣れてもらう。だからまずは、俺と少し出かけないか…?」


確かに、この国に来て不安ばかり。

この国のことを私は何も知らない。

右も左も分からない。


レオン様と…二人…

それはつまり…デート…?


「…デート…ですか…?」


私がそう言えば明らかに動揺し、頬から手を離すレオン様。その耳は赤くなっているのが分かった。


(レオン様も照れるのね……また一つ知れたわ……。)


そんな彼に少し意地悪をしたくなった。

彼が“悪魔”と呼ばれるような人とは違うと分かっているからこそ、何も怖くない。私は彼の手を握り指を絡めながら言った。


「レオン様。こちらを見てください…。私は今、あなたを見ているのに…レオン様は私を見てくださらないのですか…?」


「そ、そんなわけないだろ!俺は君だけを見ている…!ずっと…君だけを…」


慌てて私を見ては強く手を握るレオン様。


「ふふっ…!意地悪をしてしまいました…すみません…。照れているレオン様がつい、かわいらしくて……っ!!」


私がそう言えば突然ベッドに私を押し倒すレオン様。

私はその状況にさっき言ったことを酷く後悔をした。


(やりすぎた…かな…?)


少し不安になる…

どうしよう…嫌われたかも……。


「かわいいのはどう考えても君の方だ。ああ…震えてる…怯えてるのか…?だけど俺はこのまま俺以外誰も知ることのできない奥深くまで君に触れて、すべてを自分だけのものにしたい…俺以外見えないようにしたい…」


嫌われたわけではなく安心したけど、その姿は獣のようで、怖くなる。鼓動はうるさく鳴り響くけど、それはまるで、私の恐怖心とは全く違うように聞こえた。


「今すぐ君の身体中に俺だけのものだという印をつけたいところだが…時間がそれを許さないな…それに、君を大切にしたいから無理矢理なことはしない。でも……」


私はレオン様に手を引かれ起き上がる。

そして彼の上に跨るように座らされた。


「俺はもう十分、ユリアを待ったんだ…だから、もう…これ以上待つつもりはない。覚悟してくれ。」


そして私の頬に優しくレオン様の唇が触れた。


「…っ!!」


「これでもかわいく見えるか…?」


「……いえ…」


「なら良かった。」


震える声で否定する私を見て、満足したように頬を優しく撫でるレオン様。


私のこの胸の高鳴りは彼へに対する恋心の始まりなのかも知れない…


そして覚えておかないとね…


(レオン様にかわいいは禁句……)


彼に言わないように気をつけよう…

いつも読んでいただき誠にありがとうございます!もしよろしければ、ブックマークや☆評価を頂けますと今後の作品づくりの励みになりますのでよろしくお願いします!!

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