スパイ
王都にある王宮つけばすぐにお父様が待つ執務室へ向かう。お母様もいるらしい。だが、心配だ…。
お母様はユリアを本当に大切に思っている。
俺の十三年間の想いを認めてくれた。
お母様が倒れなければいいのだが…。
───トン、トン、トン
「ジェリス国王陛下。レオンです。」
「入れ。」
その合図で俺たちは執務室へ入った。
「あら?レオンだけじゃないのね。」
「お父様、お母様。お話があります。」
お父様たちは俺の妙な雰囲気と、後ろにいる三人の雰囲気を見て只事ではないのだろうと気づいたようだった。
「話せ、レオン。」
「昨日、ユリアが誘拐されました。」
「なんだと!?」
「ユリア…さんが…っ」
「エリー様!」
アンナが急いでお母様の身体を支えた。
お母様をソファーに座らせアンナは元いた位置に戻った。
「なぜだ。」
そしてクリストフが代表して話をした。
なぜ誘拐されたのか。
一体、屋敷の中で何が起きていたのか。
俺に伝えた通り事細かく話した。
「優秀で信頼できる騎士を護衛につけ、屋敷の警備につけたのにも関わらず…一体、なんてことを。ユリアさんの行方は!?」
「掴めておりません…。」
「くそっ!」
…どうすればいい…
どうすればユリアの居場所が分かるんだ…
「分かった。おい、あいつを呼んでこい。」
「あいつ…?」
「お呼びでしょうか、国王陛下。」
(!?いつのまにこの部屋に…)
「紹介しよう、この男はレイノルだ。この男には極秘スパイとして犯罪を減らすために潜入してもらっている。」
(スパイか…)
「レイノル、お前に仕事だ。ヴァルグア王国に行き、そこの王家、サトクリフ家に潜入しろ。そして、ユリアさんの行方を掴め。そしてもう一つ。ヨバンナ家への潜入もしてくれ。王家が何もなければ手がかりはヨバンナ家だ。ただし、決して誰にも見つかるなよ。」
「かしこまりました。何か掴めれば逐一報告させていただきます。」
「頼んだぞ。」
そして一瞬にして去っていったレイノル。
あんなのがいたのは初耳だ…。
「あいつは信頼できる男だ。数々の犯罪組織を潰してきたんだ。安心しろ。奴ならすぐに手がかりを見つける。なんせ、あいつは頭のよく、勘のいい男だからな。」
…すぐに見つかればいいのだが…。
「レオン。お前はどうしたい。」
「私はユリアを暗殺しようとし、誘拐した奴を許しません。そしてその指示をだした奴も全員…。」
「お前はユリアさんの居場所が分かったらどうする。」
「すぐにでも行きます。ユリアを助けに。」
「…分かった。居場所が分かり次第お前はすぐにヴァルグア王国へ向かえ。騎士団を連れてだ、分かったな。」
「はっ!」
俺は三人を連れて王宮を出て屋敷へ帰った。
夕食は必要ないといいすぐに寝室へ向かった。
「ユリア…。」
最後にユリアがいたのはこの部屋だ…。
ベッドに横たわれば微かに残ったユリアの香り。
(ユリア…ユリア…!!)
会いたい…
この腕で君を抱きしめたい…
そして君に伝えたい…
愛していると…
そして、正式に
妻にならないかと…。
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