三日後に……。
目を覚ました瞬間、空気が冷たくそして重く感じた。
部屋は石の壁で触れれば冷たい。窓は鉄格子でここは牢獄か何かだと気づく。
(一体ここはどこなの……?)
確か…寝室でアンナと紅茶を飲んでいるときに扉が開いて、黒い布をつけた暗殺者が入って来た…
で…アンナが突き飛ばされて、私は首に手刀をされて…
気絶してここに連れてこられたってことね…
最後、アンナの泣き叫ぶ声が聞こえたけど……
(アンナは無事かしら……)
そう考えていたとき、外から足音が聞こえてきた。
ヒールをコツッコツッと鳴る足音。
それはどこか軽快そうだった。
「あら、やっと目覚めたのね?ユリアさん。」
「…アリスさん。」
笑顔で私を見るアリス。
だけどその笑顔はどこか狂気じみているように見えた。
「どう?ヴァルグア王国へ帰ってきた気分は。」
(やっぱり…)
そんな気はしていたけど、本当だと分かれば嫌気がさす。
「最悪な気分よ。」
誰がこの国に帰りたいと言うものですか。
私はこのヴァルグア王国の王子に婚約破棄された恥晒し令嬢だとあなたのお父様であるアルガド公爵が言っていたじゃない。忘れたとは言わせないわ。
「母国に帰ってきた気分が最悪だなんて…とんだ馬鹿な女ね!あははっ!」
狂ったように笑うアリス。
「あなたが私に暗殺者を送ったのね。」
アリスは手を叩く。
「正解〜!だけど…失敗したの…だから、今度は殺さず誘拐したら話が早いと思って!」
「話が早い…?」
「ああ、馬鹿なユリアさんには分からないか…。」
(どう言うこと…)
「リューク様があなたと婚約するらしいわ!あなたをヴァルグアに連れ帰ったと言ったらすごく喜んでたの!三日後には正式に婚約発表!だから…もうあなたはここからは逃げられない。レオン様との生活はもう終わったの!ぜーんぶ、幻よ!あははっ!」
リュークと婚約…?
しかも三日後?
「ふざけないで!私はリューク様とは婚約しないわ!私にはレオン様がいる。それにあなたが今はリューク様の婚約者じゃない!」
「この間言ったでしょ?私はただのあなたを嫉妬させるために、そしてレオン様との婚約を嫌だと思い泣きついてくるようにするために頼まれた駒にすぎないの。」
リュークもアリスも…
狂ってるわ…
「それに私がアンナ男と婚約すると思う?あり得ないわ!だってこの国は財政も終わっていれば、貿易もできていない。それに比べてフェルナリア王国は全て上手くいって上場していく国と言われている。」
アリスはお金目当てなんだわ…
それも全て、自分が至福を肥やすための。
「そのフェルナリア王国の王子であり次期国王になるレオン様とあなたのような価値も大した地位もない底辺令嬢が婚約?笑わせるな!レオン様に相応しいのはこの私…。ヨバンナ家以外にレオン様に似合う家はないわ!」
くだらない。
あなたのその目的。
レオン様にバレないとでも?
たとえレオン様があなたと婚約しようがあなたのその性格じゃすぐにバレる。馬鹿はどっちなのかしら?
「レオン様はここに来るわ。必ず…」
そう言うとアリスは笑った。
「あははっ!馬鹿じゃないの!?あんたにそんな価値あるわけないでしょ?あなたのような人間に国を動かすようなことをレオン様がすると思っているの!?国王陛下も許可しないし、絶対にそんなことしないでしょうね!ほんっと愚かなユリアさん!」
(……っ!)
冷静に…落ち着いて…
キレてはダメ…
あくまで私は冷静にいないとやっていけない…。
「それはどうかしら。後が楽しみね。」
私の言葉に顔を赤くし機嫌が悪くなったアリス。
───パチンッ
(……っ)
頬がヒリヒリと痛む。
アリスに平手打ちされた。
「あなたはここで終わりよ!リューク様と婚約し、生涯この国で愚かに死んでいくのね!あはははははっ!!」
それだけ言い残してアリスは牢獄から出て行った。
心配だった。
もし、アリスの言う通り、レオン様が来てくれなかったら…
私はリュークと婚約しなければならない…
それに大々的に宣言されると言うんだから…
そうなればもう…逃げられない…。
レオン様…
(レオン様…早く…早く助けに来て…)
でないと…私、三日後に他の人の妻になってしまいますよ…。
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