信頼できる騎士
翌朝、目が覚めるとこちらを見ているレオン様と目があった。
「おはよう、ユリア。」
「…おはようございます、レオン様。」
暖かい日差しが部屋に差し込み、レオン様の優しい微笑みが照らされる。
「眠れたようで良かった。」
「レオン様のおかげです…。」
ずっとレオン様は私を抱きしめていた。
今もずっとね…。
「ユリア、朝食を食べようか。」
「そうですね。」
私たちは朝食を食べに向かった。
席に座るとやって来た国王陛下と王妃様。
「ジェリス国王陛下、エリー王妃様。おはようございます…。」
私を見たエリー様は走るように私の元へやって来た。エリー様に握られた手は強く握られた。
「ユリア、怪我は本当にないの!?」
エリー様も知ってるのね…
「はい。怪我はしていません…。レオン様が助けに来てくださったので…。」
そっと私の肩に手を置くジェリス国王陛下。
「すまない…。私の注意不足だ…。」
「そんな…。そもそも、私が夜に屋敷の庭に一人で出なければこんなことには…。」
そう。これは私にも責任がある。
一人で屋敷の庭へ出たから。
だから、騒ぎになったんだ…
「お父様、お母様。まずは朝食にしましょう。話はそれからです。」
レオン様に頷く国王陛下と王妃様。
私たちは席に座り食事を始めた。
◇ ◇ ◇
朝食が終わり食器は片付けられ目の前にあるのはアンナが淹れてくれた紅茶だけ。
「お父様。」
「ああ。」
レオン様の合図に国王陛下は答え話し始めた。
「ユリアさん、君が昨日暗殺者されそうになったことはレオンから聞いた。そこで、君に護衛をつけることにした。」
護衛……
「安心してくれ。王都の騎士団だ。信頼できる人間を君につけるよ。四六時中レオンが一緒にいれるのならいいのだが…そういうわけにもいかないからな…」
分かってくれと頭を下げる国王陛下。
「ジェリス国王陛下。頭を上げてください…!私は大丈夫です。それに国王陛下の安心できる方々なら安心です。」
「ありがとう。」
そんなとき、屋敷の中へ入ってきたのは二人の騎士だった。
「ユリアさん、紹介しよう。この二人が君を護衛する騎士だ。」
「ユリア様、今日から護衛させていただきます。クリストフ・アステルです。よろしくお願いいたします。」
「私、今日からユリア様の護衛を務めるスターレフ・ケレウスと申します。よろしくお願いいたします。」
「ユリア・フレインです…。よろしくお願いします。」
クリストフさんとスターレフさん…
すごくガタイの良い人たち…
「クリストフは騎士団の副団長でスターレフは騎士団第一部隊の隊長だ。ユリアさん、安心してくれ。」
「はい…。ありがとうございます。」
一応、屋敷の外にも騎士団の何人かを配置し、屋敷自体の警備も強化するらしい。
「ユリアさん、君には悪いが、今日から一人での外出は辞めてもらいたい。屋敷の庭でもだ。また同じようなことが起きてはならないからな。」
仕方ないことよね…。
「はい。分かりました。」
一人で自由を過ごすことは当分は難しそう…
その場はその話でお開きになった。
「ユリア、実は今から他国との貿易の話にお父様と行くことになっている。その…悪いが…。」
分かってる。
私はこの屋敷で待っていなければならない。
だから心配しているんだろう。
レオン様は多分、いくら王都からの信頼できる騎士とはいえ信用はしていないんだろう。
「大丈夫です。レオン様の帰りを待ってます。」
そう言えば少し不安そうな顔をしている。
(大丈夫だから…)
私はその想いを込めて自分からレオン様を抱きしめる。伝わったらいいのに…この気持ちが全てあなたに。
「ユリア、二日後には帰ってくる。それまで待っていてくれ。」
「はい…!待ってます…!」
そうして私はレオン様を見送って屋敷の中へ戻った。
「ユリア様、今日はどうなさいますか?」
何をしよう…何も考えてなかった…
「ユリア様、書斎に行ってみるのはいかがですか?」
「書斎?」
「ええ、色んな本がありましたよ…!昨日セレンと書斎を掃除したので!行きましょう!落ち着けると思いますよ…?」
アンナは私を心配してくれているのね…
「ありがとう…。じゃあ書斎に行こうかしら。アンナ、案内してくれる?」
「はい…!かしこまりました…!」
私はアンナの後ろについて行って書斎へ向かった。
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