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51話 決定打にかけるなぁ。


 51話 決定打にかけるなぁ。


 神器をゲットした喜びと、今後、これと同じぐらいのアイテムを全部で100個回収できるかもしれない期待が、ボクの中で、炭酸の泡みたいに弾けて混ざる。


 その感情の暴走が、数秒の時間経過により、ちょっと落ち着いたところで、


「ただ、これ……見えるだけなんだよなぁ」


 なんだってそうだけど、『何かを手に入れたことによる幸福』ってのは、すぐに薄れていってしまう。

 現状の幸福ってのは、簡単に『当たり前』になって……そして、自分が持っているモノに対するちょっとした不満ばかりがどんどん積もる。

 人間ってのは、なんて悲しい生き物なんだ……


「仮に、相手の存在値が721です! って、正確に分かったとしても、現状だと、そういう化け物の対処のしようがないから、『見えたとて』って感じだ」


(まあ、それはそうだが)


「もちろん、この先の人生において、このアイテムが役に立つ場面は多々あるだろうし、シンプルにすごいのは事実だけど……なんていうか、『決定打』にかけるなぁ。これだけじゃあ、人生を一気に大逆転させることはできない」


 言ってもしょうがないことだけれど……できたら、

 『装備するだけで貴族と同じ火力を得られる武器』とかが良かったなぁ。

 あるいは、『無条件で貴族級の攻撃魔法が使えるようになる指輪』とか。

 または、『一度死んでも蘇ることができる薬』とか。


(神眼モノクルは、そのレベルと同等の神器だから、『ありえない高望みってわけでもないが……)


「だよね。話を聞く限りだとそうだよね。よし、じゃあ、明日以降、ダンジョンを攻略しまくって、『人生好転に影響が大きいアイテム』をゲットしてやる」


 正直、今回……転移のワナにかかったり、リミットギリギリの闘いだったりしたから、ダンジョン攻略というモノに対して、若干のトラウマを抱えてしまったところがある。

 だから、ダンジョンに挑むことに対して、普通に、怖くて震えている部分もあるけれど……でも、いつだって、ワクワク感ってのは、恐怖を超えていくもの。


 またダンジョンでトラブるたびに、ボクは『ダンジョン攻略なんてしなければ良かった』と言いつつ、けど、結局、ダンジョンに潜ってしまうんだろう。

 

 いままで、ボクはパチンコや競馬をする人の気持ちがほぼ分からなかったけれど、

 今回の件で、『破滅するギャンブラー』の思考が少しだけ理解できた気がした。


 人間は、脳汁には敵わないのだ。

 なんて、情けない生き物なんだろう……

 でも、それでいい!



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