5話 あまりにもエロすぎた。だから仕方なかった。反省はしている。
5話 あまりにもエロすぎた。だから仕方なかった。反省はしている。
《雅暦1001年7月7日》
オッサンが死んだ。
正確に言うと、自殺をした。
もがれたチ〇コを治してもらおうと神殿にいって、
『これは治らない』と言われて、絶望して、首をくくった。
……気持ちは分からないでもない。
ボクも、去勢されたら……自殺を考えるかもしれない。
『ボクが殺したようなもんかなぁ』……とか、考えてみたりもしたけど、
「流石にこれは、ボクが殺したってことにはならないよね? 勝手に自殺しただけだもんね? ねぇ、ボク、悪い? ボクは関係ないよね?」
(俺に聞いてる?)
などと、トンチンカンなことをいう『モンジン』に、
ボクは、
「当たり前だろ。ボクは、『無』に尋問をするほどイカれちゃいないよ」
と、力強く首をタテにふる。
(ここまで見た感じ、お前は、だいぶ『イカれている寄り』だとは思うが、まあ、それはさておき……あのオッサンの自業自得なのは間違いないが、自殺の原因はお前だろ)
「うぐぅ……」
と、『ぐうの音』しか出なくなっていると、
そこで、9番がかえってきて、
「先輩、ポル様、死んでませんでした」
「え……マジで? あんな、ガッツリと、首を吊っていたのに? 脈なかったし、息もしてなかったけど?」
「ギリギリのところで、息を吹き返したみたいです。どうします?」
「いや、どうしますって言われてもなぁ……ちなみに、あのオッサン、今、どこにいるの?」
「神殿で息を吹き返したあとは、『礼拝堂』にいって、女神様にお祈りしていました。『どうか性器を治してください』って、必死に。たぶん、今もずっと」
「……まあ、ボクも、同じ状況になったら、同じことをするかもしれないなぁ……」
その後、しばらくしてから、
オッサンはトボトボ帰ってきた。
去勢される前と後で別人……とまでは言わないけど、
凶暴性みたいなものが、明確に低下しているように思えた。
モソモソと、覇気なく食事をとり、
はやいうちから、ベッドに入って、イソイソと眠りだした。
そのザマを見て、多少は気の毒に思ったりもしたけど、
でも、まあ、これまでの傍若無人な色々とか、9番にしようとしたコトとか、
その辺のあれこれを考えると……
まあ、やっぱり、普通に自業自得だよね。
あんたが悪い。
よって、元には戻さない。
将来的には……まあ、考えなくもないけどね。
★
ボクと9番は、サラっと家事を終わらせて、
馬小屋の寝床に向かう。
2人並んで、ワラの上で寝ころんで、空を眺める。
暗くなり始めた空。
うっすらと見えだす無数の星。
仄暗く淡い赤が、柔らかい青に溶けて、哀しいぐらい幻想的に世界を浸す。
なんだか、産まれて初めて自由に生きている気がした。
「すぅ……すぅ……」
ボクにしがみついてゴロゴロしていた9番が、
気付いた時には、ぐっすりと深い眠りについていた。
死んだ(と思った)オッサンの処理で、
今日一日、奔走していたから、疲れたのだろう。
……相変わらず、過剰に整った顔をしている。
髪はサラサラで、まつげが妙に長い。
(変な気分になってくる……勘弁してほしいな……)
ボクは、しがみついている9番をひっぺがして、立ち上がる。
「……さて……それじゃあ、始めるか」
小さな声で、ボソっとそう言うと、
ボクの中にいるモンジンが、
(なにを?)
「実験だよ。魔王召喚に関して、ボクは何も知らないからね。どこまで出来るのか、詳細を確かめておきたい。そうじゃないと、今後の計画が立てられない」
ボクは、この魔王召喚の力を使って成り上がるつもりでいる。
これだけの凄い力があるのに、いつまでも奴隷のままでいるなんてありえない。
この世界では、力や金があれば、身分をあげることは可能。
『奴隷として生まれたら、何があっても死ぬまで奴隷』……なんてことはない。
まずは平民を目指し……ゆくゆくは貴族を目指す。
魔王召喚の力があれば不可能じゃない。
「まずは、モンジン。魔王召喚について、君が知っていることを全部教えてくれ」
(……いいだろう。その代わり、お前も『俺の役にたつ』と、正式かつ真剣に誓え)
「いいよ。ギブ&テイクでウィンウィンの関係になろう。ボクは君のために働き、君はボクのために働く」
(よし……で、何が知りたい?)
「とりあえず、まずは、一度に召喚できる数と種類かな。召喚できるのはゼラビロスだけ? それとも、他の魔王も召喚できる?」
(今のところ、一度に召喚できるのは一体までだな。種類でいうと、ゼラビロス以外にも、もう二体ほど……『パリピーニャ』と『マパネット』って魔王を召喚することが可能だ)
「今のところ……ってことは、この先、色々と増える可能性があるの?」
(たぶんな。知らんけど)
「知らんけど、って……ちゃんと教えてよ」
(かくしているわけじゃねぇ。その辺の詳細は、覚えてねぇんだよ。俺の記憶に関して、細かく言っておくと……『エピソード記憶はゼロで、意味記憶の方は虫食い状態』……みたいな感じだ)
「ふーん……よくわからないけど、まあいいや。じゃあ、とりあえず、その二体の魔王が、どんなやつか見ておこうかな。モンジン、どっちか召喚して」
(あいよ、じゃあ、パリピーニャから。……おいでませ、魔王召喚)
サクっと召喚された魔王……
それは、女性タイプの魔王だった。
それも、とんでもなくエロい感じの、銀髪ロングの褐色肌長身爆乳お姉さんだった。
魅力が溢れ出ている完璧なプラチナブロンドのロングヘア。
つい崇め奉りたくなる妖艶な瞳、健康的なはずなのに頭おかしくなるほど煽情的な極上の褐色肌。
重力に逆らい完全な半球を描く豊かなおっぱい。
露出はそこまで多くないのに、チラチラ見えるわずかな肌が、ボクの脳をダイレクトに、激しく暴力的に、こねくり回してくる。
身長は180センチあるかないか……股下の長さが、とんでもないことになっていて、もはや、モデル体型がどうとか、そんなチャチな次元ですらなかった。
まさに女神。
この都市の結界を張っている『女神ユウガ』が、どれだけの美貌の持ち主なのか知らないが、エロさと言う点においては、さすがに、この『魔王パリピーニャ』の方が勝っているだろうと断言できる。
これ以上のエロさは、ありえない。
そんなものが、この世にあってはいけない。
「うぅわ……すっご……え、マジ? ほぼ理想と言っていいスタイルしているんだけど……え、マジ? やっば、ムッホ」
その美しさと妖艶さにどぎまぎしていると、
パリピーニャは、しとやかに、ボクの足元に傅いて、
「偉大なるマイマスターよ、さあ、ご命令を。どのような要求であろうと、あなた様の命であれば、喜んで従いましょう」
声もしっかりエロかった。
マジかよ。
こんなにエロいお姉さんが……ボクの命令を、なんでも聞いてくれるって?
マジかぁ!
よかったぁあ!
どんなに苦しくても、自殺とかしなくて……ほんとによかったぁああ!!
「え、え、じゃあ、あ、あの……お、おっぱいとか、触っても……いいですか?」
「どうぞ、ご随意に。私の全てが、あなた様のもの」
「うそだろ! まじか! うーわ……あ、じゃあ、あの……失礼します……」
ドキドキしながら、ボクは、魔王パリピーニャの胸に触れようとして……
けど、
「んー……でも……これ……いいのか?」
さわる寸前で、持ち前のチキンが発動してしまう。
「この魔王召喚って、『強制的に言うことを聞かせている』って状態だよね? その状態で……こういうことをするのって……なんか……やってることが、『オッサンが9番にやろうとしたコト』と変わりなくない?」
(まあ、広い視点で言えば、変わりないかもな、知らんけど)
「じゃあ、ダメじゃない?」
(俺に聞かれてもな。……別に、お前の好きにすればいいだろうが。触りたきゃ触ればいいし、やりたくなきゃ、やめればいい。てめぇの欲望を人に尋ねるな)
「うぅ……」
そこでボクは考えた。
人生で一番考えた。
17年+11年という、そこまで長くもないけど、短くもない人生の中で、
間違いなく一番、頭を使った。
そして、導きだした結論は、
「……腕なら……いいかな?」
(だから、俺に聞くなって。恥ずかしいバカだな)
「腕なら……いいはずだ……だって、腕だし。上腕二頭筋なんて、ただの水とたんぱく質だし。サラダチキンとかと大差ないし……」
(……まあ、お前がそう思うんなら、そうなんだろう。お前の中ではな)
「大丈夫だ……そうだよ……腕にタッチするなんて、ただのコミュニケーションだよ。欧米挨拶のハグとかと比べたら、腕に触れるなんて、もはや、触ってないのと一緒だよ」
ボクは自分に言い聞かせながら、
パリピーニャの右の上腕に、ソっと触れてみた。
ふにゃりと、トロけるように柔らかかった。
頭がおかしくなりそうだった。
「……ん」
と、パリピーニャが艶のある小さな嬌声を出したのに驚いて、
「うおっ」
ボクは反射的に、手を離し、
『額に浮かぶ汗』をぬぐいながら、
「はぁ……はぁ……すごいぞぉ……信じられない柔らかさだぁ……腕でコレだと、おっぱいだと、どうなるんだ……っ! 下手に触ろうものなら、指が爆発でもするんじゃなかろうか!」
色々と暴走しているボクに対して、
モンジンが、だいぶ冷めた視線を送っているのが分かった。
見るな。
今のボクを見るんじゃない。
今のボクはボクであってボクじゃないんだ!
だからボクは何も悪くないんだ!
「くっそぉ! さわりたい! おっぱいをさわりたい! けど、ダメだ! ここで触ったら、やっぱ、ダメだよぉ。催眠系のエロ同人みたいになっちゃうもん、これ! 胸糞になっちゃうよ、だめだよ! だめだめ……でも……くそぉおお! ダメだ……頭ではわかっているのに、体が抗えない……ボクは……ボクはなんて弱いんだ……くそ……ごめん……ボクは……ボクは……弱い!」
ボクの手が、パリピーニャのおっぱいに触れそうになった……
その直前で、
スゥっとパリピーニャが消えてしまった。
……どうやら、ボクが『自分の弱さ』と葛藤している間に5分が経過してしまったらしい。
なんてあっという間なんだ……
5秒より短い5分だった……
「はぁ……はぁ……はぁ……」
ボクは、四つん這いになり、軽度の過呼吸になりながら、
「あ、あ、あ、ぁ、危なかった……ボクの理性が、あとちょっとだけ脆かったら……アウトだった……ギリギリだった……くそぉ、魔王め……まさか、こんな精神攻撃をしかけてくるとは……次、会った時、覚えていやがれ……次こそは……次こそはぁあっ」
(すがすがしいほど、キモいねぇ。……人間ってオモシロッ)
00000000000000000000
名前『パリピーニャ』
メインクラス『デストロイヤー』
『殺龍鬼』
『ガンスレイヤー』
サブクラス 『チャンピオン』
『エレメンタルマスター』
『ナイトライダー』
・称号『豊麗の魔王』
《レベル》 【380】
[HP] 【155000】
[MP] 【0】
「攻撃力」 【1900】
「魔法攻撃力」 【0】
「防御力」 【530】
「魔法防御力」 【320】
「敏捷性」 【700】
「耐性値」 【200】
「魔力回復力」 【0】
「反応速度」 【529】
11111111111111111111
【第一章 完!!!】
【まず読んでいただいたことに感謝を<m(__)m>】
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