49話 100万以上は確実か……
49話 100万以上は確実か……
『――エグゾギア【魔王】、出撃準備完了――』
その声を最後に、センがガっと目を開ける。
視界は良好。
すべてが、いつもよりもはるかに鋭く見える。
ブシューっと、全身から煙が吹き上がる。
動き出してみる。
想像以上にスムーズ。
「……いい子だ」
そう言いながら、センは、右手を動かしてみた。
そして、魔力とオーラを右手に集めてみる。
激烈な質量のエネルギーが集まっていくのが分かる。
「凄まじいパワー……ほんのちょっと経験値を注いだだけの現状でも、存在値100万以上は確実か……」
そのとんでもない力を目の当りにして、
3番が、
「これは……夢……か?」
あまりにも理解できる常識の範疇を大幅に超えすぎているため、
目の前で起こっている現実でありながら、
なかなか受け止めることが出来ずにいる。
それは、今回が初参加の3番だけではない。
黒猫の99番も、
「ぁ……ぁ……」
あまりにも大きすぎる異次元のパワーを前に、ただただ困惑するばかり。
そこで、センは、
「……エグゾギア、解除」
一旦、エグゾギアを腕輪に戻して、
生身の状態に戻ると、
「さすがのパワーだが……5分かぁ……5分なぁ……5分で、ゼンドートを殺し切れるかなぁ……」
と頭を抱えているセンに、
3番が、
「今の魔法を使えば、ゼンドート伯爵なんか、一撃だろ! 何言ってんだ?!」
困惑が暴走して怒りに発展するという、稀によくある例。
「というか、なんだ、今の魔法! ま、ま、魔王ですら、矮小に思える……い、異常な力……っ」
「ゼンドートの底力はあんなもんじゃない。最低でも、さっきのエグゾギアの1万倍以上の出力があると思った方がいい」
「バカか?! そんなわけあるか! あんたが最強だ! ぶっちぎりで!! どうやったら、さっきの化物状態のあんたに勝てるんだよ! あんなパワー……デコピンで、この都市全部が吹っ飛ぶんじゃないか?!」
そこで、99番も、
「17番……私も、流石に、さっきエグゾギアとやらの力を使っておきながら、ゼンドート伯爵に勝てないということは……ないと思うんだが?」
「お前らの感想はどうでもいい。勝てると思うなら、勝手にそう思ってろ。それでも、誰も困りはしない。お前らとゼンドートが闘うことはないからな。ゼンドートは俺がやる。つぅか、俺しか、あいつの相手はできない」
そこで、3番が、青ざめた顔で、
「ほ、本当に……ゼンドート伯爵は……そんなポテンシャルをひめている……のか?」