7話 絶望の殺し方。
7話 絶望の殺し方。
(……センエース。正直に言ってほしい。勝算はどのぐらいある?)
17番の声音があまりに必死だったので、
センは、一度、目を閉じた。
本気の問いには本気で返すのがセンエースの流儀。
センエースは、あえて、数秒をためてから、
「勝算? アホなことを聞くな。……俺は、俺より強い程度の雑魚には負けない」
(ゼンドートのモノマネなんか求めていない! 本音を聞いている!)
「だから、言ってんだろ。俺は、俺より強い程度の雑魚には負けないって。シックリくるぜ、この迷セリフ。矛盾しまくっているバカゼリフなのに、心が、全力で叫びたがっている」
(……)
「――ふるえるぞハート。燃えつきるほどヒート――」
(きゅ、急にどうした?)
「別に。……ちょいとファントムに韻を踏みたくなっただけだ。あるだろ。そういう気分の時も」
そういいながら、センエースは、午後のトレーニングへと向かった。
「やるしかねぇ……腹は決まった。あとはもう一直線だ」
体の、あらゆる関節を、バキバキとならしながら、
「……さて、それでは、限界をひねり潰そうか。教えてやるよ。絶望の殺し方を」
★
午後の訓練は、ゼンドート発案の訓練――チーム組み手。
『セン(17番)』のチームには、『カルシーンと99番』が含まれており、
敵チームには、『ミケとゼンドート』が含まれている。
チーム分けをしたのはゼンドート。
目的はシンプルで、『セン(17番)』のカマキリを見るため。
『セン(17番)』の『麻痺カマキリ』は、魔王をも麻痺らせた一級品。
ただ、召喚士である『セン(17番)』自体のスペックが低いので、宝の持ち腐れになる可能性が大いにある。
乱戦の中で、どのように『麻痺カマキリ』を活用するのか……『セン(17番)』が、集団戦の中で、どのぐらい、小器用に動けるのか。
その辺をチェックするのが最大の目的。
もちろん、それだけではなく、他のメンツの動きをチェックする事も目的の一つ。
ゼンドートは、性格こそアレだが、間違いなく有能な男。
彼の行動には、必ず、複数の意味がある。
チーム組手の訓練が始まってすぐ、
ゼンドートは、センに接近戦を仕掛けていく。
自分の攻撃をどのようにかわし、どのようにカマキリを使うか。
ゼンドートは、それが見たかった……のだが、
――センは、
「ふんぬらばぁあ!」
「むっ」
センは、迫ってくるゼンドートに対し、
ショートフックのカウンターを合わせにいった。
大した速度でもなかったので、ゼンドートはサクっと回避する。
このまま、センをぶんなぐって気絶させることは容易だが、それは目的ではない。