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急1話 時をかける敗北者。


 急1話 時をかける敗北者。


 『ゼンドート』との狂気的な面談をした後。


 貴賓室を出た『猿の17番』は、

 肉体的にも精神的にも疲れ果てたので、

 廊下の隅に座り込み、壁にもたれかかって、

 午後の訓練が始まるまで、ちょっと休もうとした。


 ――その時だった。

 17番の全神経に電流走る。


 『マジで落雷にあった』……ぐらいの、

 とんでもない衝撃に包まれる。


 ギギギギっと眼球が上下左右に躍るサルサ。

 肉体の全てが沸騰するような、強烈な衝動。


 その異常な事態に気づいた『モンジン』が、


(お、おい……17番、大丈夫か?!)


 と声をかけたが、17番は白目をむいてブクブクと危ない感じのアワをふいている。


 モンジンは、


(くそっ! ゼンドートに何かやられたのか?!)


 と、疑ったが、

 しかし、そうではなかった。

 いや、ある意味で、その認識で正しいのだが……


「ぶはぁああ!」


 ギュンっと、

 海の底から浮かび上がったみたいに、

 一気に息を吸って、眼球を定位置に定める17番。


 何度か、深呼吸をしてから、周囲を確認し、



「はぁ、はぁ、はぁ…………や……やったぁ! 成功だぁあ!! よし、よし、よぉおおし!!」



 何度もガッツポーズをしてから、

 続けて、


「今回は、アイテムと経験値だけじゃなく、『記憶』も過去に飛ばすことができた!」


 などと、そんな風に歓喜を叫ぶ17番に、

 モンジンが、


(おい……どうした? 大丈夫か? それとも完全に脳をやられたか?)


 と、声をかけるが、

 17番は、そんなモンジンの心配をシカトして、

 慌てた感じで、『頭の中だけの会話』を開始する。


(喜んでいる場合じゃなかった! 『センエース』! 助けて! このままだと9番が死ぬ!)


 そう言いながら、17番は、周囲を確認しつつ、

 念のため、誰もいない場所までダッシュで移動しながら、


(正直、もう、君だけが頼りだ。ボクじゃ勝てない。可能性があるとしたら……君だけだ)


(さっきから言っている、その『センエース』ってのは誰だ?)


(君だ! 自分の本名も忘れたのか!)


(初対面の時からそう言ってんだろぉが。ちなみに、オラは、そのセンなんとかなんていうおかしな名前じゃねぇぞ。この俺様の本名なんだから、もっとイカしていて、カッコいいはずだ。スピリットアスとか、ウルギアスとか、アポロギスとか、そんな感じの)


(はしゃいでいる場合じゃない! もう時間がない! てか、今日は何日?!)


(21日ですよ、おじいちゃん)


(くそ……予定では、もっと前にタイムリープするはずだったのに……色々とバグってやがるんだ、くそったれ!)


(口が悪いですよ、おじいちゃん)


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