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センエース~『2垓年』努力した童貞。理不尽に全てを奪われたが、必ず全て取り戻す~  作者: 閃幽零×祝百万部@センエースの漫画版をBOOTHで販売中
第一章 色々あるけど、なにはともあれ、魔王パリピーニャの美貌がエグすぎて理性が持たない。こんな美女がボクの命令に絶対服従とか、ボクはもうダメだ。おしまいだ。
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1話 超絶イケメン魔王召喚。


 1話 超絶イケメン魔王召喚。


 ――ボクは月光寺時一。

 日本で死んで、地獄みたいな異世界に転生した。

 この世界のイメージは、まさに、『進撃〇巨人』。

 『女神の結界に守られたこの巨大都市』の周辺は、

 『バカみたいに強い魔王』が、うじゃうじゃはびこっている。


 龍型の魔王が、あちこち空を舞い、

 人型の魔王が、そこらで睨みをきかせ、

 巨人型の魔王が、たまに、遠くから、でっかい石を投げてくる。


 『女神の結界』が無敵すぎるので、街に被害は一切出ていないが、

 街の外は、どこもかしこも、魔王だらけなので、

 人間は、一歩たりとも街の外に出ることが出来ない。


 外に出られないってことは、逃げられないってことだ。

 この格差が激しい、地獄みたいな街から。


 ――『巨大都市ユウガ』。

 人口1000万人を超える、とんでもなく大きな都市。

 この街で、ボクは、奴隷として、

 子供の時からずっと、毎日、朝から晩まで、

 酷い待遇で、コキ使われてきた。



「17番! お前は本当に使えないな。やる気も根性もなく、顔も頭も悪いし、力もない。なんでお前みたいなやつを養わないといけないんだ。ふざけるな!」



 そう怒鳴りながらビンタしてくる、この小汚いオッサンは、ボクの飼い主。


 ボクは、このオッサンからご飯と寝床を与えられて生きている。

 そして、『仕事がうまくできないから』と、いつも怒られている。


 ボクの、この世界での名前は『猿の17番』。

 『動物の名前+数字』が、この世界における、奴隷の基本的な名前。



 ★



 《雅暦がれき1001年7月5日》


 ……今日、ボクは11歳になった。


 17歳の時に日本で死んで、

 11年、この地獄で生きてきた。


 誕生日にケーキやプレゼントなんて、もちろんない。

 誰も、ボクが産まれたことを祝ってなんかくれない。


 ……くそったれ。



 ★



 食料の買いだしにいく途中で、

 『街の外を闊歩かっぽしている魔王』を観察する。

 これがボクの日課。


 あいつらが、この街に乗り込んできて、『ウチのオッサン』や、『偉そうにふんぞり返っている貴族たち』を、ボコボコにしてくれたら、どんなに楽しいだろう。

 ――とか、そんなことを妄想して、どうにか、精神を保っている。

 そうでもしなきゃ、発狂しそうだった。


 ボクの地獄はいつまで続く?

 死ぬまで?

 いつ死ねる?

 くるしい。

 つらい。

 死にたい。


 ……でも死にたくない。

 人間っていうのは、変な生き物だ。



「そこの坊ちゃん、こっちに来てみないか? 一緒に遊ぼう」



 『人生の辛さ』について思いふけっていると、

 『街の外にいる魔王の一体』が、結界の向こう側から、ボクに話しかけてきた。

 黒いツノが生えた、超イケメン細マッチョの成人男性型魔王。


 魔王は知性も高いので、普通にしゃべることができる。

 破格に優れた魔力・身体能力・スキル・技・知性……

 すべてが、人間を大幅に超えている怪物の中の怪物。

 そんなのが、外には数えきれないほど存在している。

 この世界、ヤバすぎ。


「やめておくよ。死にたくないから」


 そう言ってから、ボクは魔王に背を向けて歩きだす。

 ニラまれているのを感じた。

 背中に突き刺さる視線が痛い。

 『生物としての格の違い』みたいなものを、視線だけでもヒシヒシと感じる。


 正直、むちゃくちゃ怖い……けど、この街にいる限り、やつらは、絶対に、ボクに手出しできない。



 ★



 ――転生する前は、とにかく、彼女が欲しかった。

 彼女なんていらなかったけど、どうしてもほしかった。

 でも、モテなさすぎて、女の子の手を握ったこともなかった。


 だから、記憶を持って転生した時は『やった』と思った。

 異世界転生系の小説やアニメみたいに、

 好き放題無双しまくって、素敵な女の子とアレやコレや!

 ……なんて夢を見てた。


 ……神様はボクに対して厳しすぎる。

 ボクの何が、そんなに気に入らないんだ。


「あの、すいません。125ユウガのパンに、200ユウガを払ったので、おつりは75ユウガです。20ユウガたりません」


「ちっ……」


 間違いを指摘すると、店主はウザそうな顔をして、


「バカヅラした奴隷のくせに、まともに計算できるのか」


 と、吐き捨てるように言って、

 残りの20ユウガを投げつけてきた。


 普通に痛かったし、腹も立ったが、ボクは、


「すいません、ありがとうございます」


 と、ペコペコ頭を下げて、その場をあとにする。

 あの店主は平民なので、奴隷階級のボクはへりくだるしかない。


 ……重たい食料を担いで家路についている途中で、

 ドンッっと、誰かにぶつかってしまった。


「もうしわけありません」


 反射的に謝ったけど、




「奴隷が……私に触れるなど……」




 ぶつかった相手が悪すぎた。

 貴族階級の成人男性。

 着飾っていて剛健。

 この辺一帯――『外周西南西エリア7』を治めている、ウルベ卿。

 3人の見目麗しい女性従者を連れている……一目でわかる権力者。


 ウルベ卿は、心底不愉快そうな顔で、

 肩を震わせながら、腰の剣を抜いて、


「どこまでもバカにしやがって……いい加減にしろ!!」


 ボクの右腕を、肩からスパっと切り落とした。

 蝉の刻印が入ったその剣の切れ味は抜群だった。


 ――このイカれた世界で11年生きてきたボクだけど、流石に、コレには驚いた。

 嘘だろって思った。


「うわぁあああ!」


 当然のように泣き叫ぶ。

 燃えるような痛み。


「ううっ! ううううう!!」


 のたうち回るボクの顔を、

 ウルベ卿は、


「うるさい」


 強めに蹴り飛ばしてきた。


 ……すごいなって思った。

 ここまできたら、もう悲しくもなかった。


「うぃいい……うぃい……」


 うめいているボクに、

 ウルベ卿は、ゴミを見る目を向けてきて、


「高貴なる魔法の剣で切ったんだ。出血はない。だから、さほど痛くはないはずだ。みっともなく、ピーピーわめくな。情けない奴隷め」


 いや、痛いけどね。

 そりゃそうだ。

 だって、『血が出なくなるだけ』だろ?

 じゃあ、痛いだろ。

 逆に、なんで痛くないと思える。

 バカなのか?


「神殿に行けば、すぐに治せる程度のケガだ。この程度の罰で済ませてやったのだから、感謝の一つぐらいしてみせたらどうだ」


 すごいことを言っている。

 今まで、一度も接点がなかったから、知らなかったけど、この人、ここまでヤバい人だったのか。


 ――そこで、

 ウルベ卿が従えている『3人の従者の中の1人』が、


「ウルベ卿……先ほどの件がありますので、お気持ちはお察ししますが、八つ当たりはその辺で。今のあなた様に、ゴミの相手をしているヒマはありません」


 『黒髪くろがみ翠眼すいがんで目つきが鋭い美形の女性従者』にそう言われて、

 ウルベ卿は、


「……ぁ、ああ、わかっている。行こう」


 ボクから視線を外し、何事もなかったかのように、

 他の従者と共に、スタスタとこの場を去っていた。


 ウルベ卿の従者は、基本的に、性根が腐っているらしく、時折チラっと振り返っては、ボクを見下してニヤニヤしていた。

 『腕を切られてのたうちまわっている子供』を見て笑える神経が分からない。


 あの『翡翠の目をした闇属性っぽい美女』だけは、ボクに『あわれみの視線』を向けていた。

 笑われるのも、同情の視線を向けられるのも……心情的にはどっちも同じ。

 情けなくて仕方ない。


「う……うぅ……」


 まだまだ腕は痛むけど、ウルベ卿が『魔法の剣』を使ったのは本当らしく、出血はしていないので、この傷で死ぬことはなさそうだった。


 ボクは、『落ちている腕』を拾って、買い物かごにいれると、はいずるように、家路についた。


 ……地獄すぎる……



 ★



 どうにか、頑張って家につくと、


「買い物一つに、どれだけ時間をかければ気がすむんだ、このグズが!」


 ボクの飼い主である小汚いオッサンが、バカ大声で怒鳴ってきた。

 耳が潰れるかと思った。


「ん?! 貴様、その腕はどうした?!」


「ウルベ卿にぶつかってしまって……切られました……魔法の剣で切られたので、出血は止まっていますが……まだすごく痛くて……片腕だと、荷物を持つのも大変で……それで、遅れて――」


「このクソガキぃ!! 貴族に粗相そそうをするとは何事だ!! 腕を切られるなんて、よっぽどだぞ! 飼い主の監督不行き届きで、おれが罰せられたら、どう責任をとるつもりだ!!」


 そう叫びながら、ボクの腹に前蹴りを入れてきた。


 ボクは家電みたいなもの。

 家電を大事にする人もいるけど、ぞんざいに扱う人もいる。

 奴隷を『大事な資産』だと考える『賢い人』もいれば、

 奴隷をストレス解消の道具ぐらいにしか思ってないバカもいる。


「なんで、おれは、こんなにも運がないんだ! 必死に働いて、ようやく手に入れた奴隷が、よりにもよって、こんなグズだとは!! くそ、くそ、くそ!! 女がよかった! 女なら、グズでも、いくらでも使い道があったのに!!」


 この世界は本当に地獄だ。

 死にたい。

 もう、いっそ死にたい。


 ……けど、やっぱり、死にたくない。

 一度転生したボクに二度目はない……そんな気がする。

 もしかしたら、また転生できるかもしれないし、今度は幸せな人間に生まれ変われるかもしれない……けど、保証はない。


 だから、どうしても、死にたくないと思ってしまう。

 死ぬのは怖いんだ。

 なんでだろう。

 わかんないよ。


「……ぅぃい……あぁ……」


 腹を押さえてうめいているボクに、


「ぺっ、クソガキが。今度、また、おなじようなミスをしたら、家畜のえさにしてやるからな」


 ツバをはきかけてきた。

 そして、弱っているボクを、生ゴミみたいに、隣の馬小屋へ、ポイっと放り投げる。


「う……うぅ……」


 痛くて、苦しくて、心が辛い。


「はぁ……はぁ……」


 体と心の痛みに震えていると、

 そこで、


「……ん?」


 目の前を、

 『ユラユラと白くゆらめく、火の玉』が通った……


「なんだ……いまの……」


 と、目で追っていると、

 そこで、火の玉がピタっと止まり、



「……おい、そこのガキ……お前、俺が見えているな? 絶対に見えているな?」



 と、声をかけてきた。


「おい、聞いてんのか、クソガキ。完全に、目ぇ合ってるよな? お前、間違いなく、俺を視認しているな?」


「あ、はい……見えてはいます。あなたは……ほかの人には、見えないものなんですか?」


「ああ、完全霊体だからな。逆に、なんで、お前が見えてんのかわかんねぇ。まあ、それは今のところ別にいい。それより助かった。おかげで、ちょっとは可能性の芽が出てきた」


「えっと……どういうことでしょう?」


「悪いが、りつかせてもらうぞ。異論反論を聞く気はねぇ。こっちも切羽詰まってんだ。記憶も、力も、体もなくして、ほとほと困っていたところに垂れてきたクモの糸……逃してなるものか」


 そう言いながら、その喋る火の玉は、

 ヒュっとボクの方へと飛んできて、

 ボクの胸の中へ、トプンと入ってしまった。


「うわ! え! 体に入ってきた! きもっ! うわうわ!」


 突然の奇妙な出来事にパニック。

 アワアワしていると、脳内に声が響いた。


(よっしゃー、体、ゲットだぜ!)


「うわっ、脳内で声が響くっ。気持ち悪――」


(この程度の不快感ごときでガタガタぬかすな。俺なんか、力は封じられているわ、体もねぇわ、あげくに、自分の名前すら覚えていないわという、地獄の三重苦だぞ。俺と比べれば、どんな奴の不幸も余裕で霞むぜ)


「不幸具合でいうと、ボクもそこそこなんですけど……今日なんか、腕切られたし……」


(腕の一本や二本でガタガタぬかすな。俺なんかなぁ……なんだったかなぁ……だいぶ不幸な境遇だった気がするし、ケガ系や病気系や呪い系に関しても、それなりに重たいものを背負っていた気がするが……くそ……まったく思い出せねぇ……せめて、名前ぐらい思い出したいんだけどなぁ……えっと……えっと……モンジン……カドヒト……違うなぁ……俺、誰だよ、くそが)


「あ、あのー」


(なんだよ)


「よくわかりませんが……なんだか怖いので、できれば、ボクの体から出ていってくれませんか?」


(バカめ。まだ主導権を握っている気でいやがる。もう、この体は俺のもの。既に、お前の方が、『お客さん』なんだよ。つまり、出ていくとしたら、テメェの方だ)


「えぇ……」


(切羽詰まっているって言ってんだろ。まったく思い出せないが、俺には、何か、『大きな使命』があった気がするんだ。何かしらを何かしらしないといけないという、重大な使命が。……それを思い出して、使命を果たすために、お前の体を有効活用させてもらう。その間、お前は黙って寝てろ。お前の意識なんかいらん。俺の邪魔にならんように――)


「ボクの体を乗っ取った……というわりには……ボク、だいぶ自由に動けるんですけど」


 手足をスイスイと動かしてみる。

 おおむね、ボクの意志通りに動かすことができた。


(ば、ばかな……完全に体を乗っ取ったはずなのに! ……なんでだ! どうして! ……って、俺、全然、自由に動けねぇじゃねぇか。指一本、動かせねぇ! てめぇ、どうやって、俺を抑え込んでいやがるんだ! ただのクソガキにしか見えないが、てめぇ、実は、かなりうての武神だな!)


「いや……ただの奴隷ですけど……」


(……ぐっ……くそぉ……マジで、なんもできねぇ……そして、この身体から抜け出すこともできねぇ……あああっ! 詰んだぁあああああ!!)


「えっと……なんだかよくわからないですけど、お気の毒です」


(なにか……なにかできないか……『体』はあるんだ……さっきまでと違って、多少は、できるコトがあるはず……)


 火の玉が、ボクの中で、何かごそごそしている。

 何をしているのか知らないけど、体の中でごそごそされると、なんだか、ぞわぞわして気持ちが悪い。


(なにか……なにか…………………………あったぁ!!)


「えっと、なにがあったんですか?」


(なんでかは知らんが、お前の体を媒体ばいたいにするコトで、この世界のセントラルコードに刻まれた『魔王ズファクトリィ‐システム』とコスモゾーン経由で連結できるようだ。制限時間は1日最大5分……み、短ぇ。……こ、これでどうやって戦えばいいんだ……っ)


「あ、あの……何を言っているか、さっぱり分からないんですが……」


(とりあえず、一回、マジで出来るか試してみるか……)


 ボクの中で、火の玉がそう呟いた直後、

 足元に、何やら禍々(まがまが)しい魔方陣が出現した。


「え、ええぇ……なになに?!」


(虹を集めた虚空! 玲瓏れいろう蒼穹そうきゅう! 幻想の戒光かいこう! 貫くような銀河を見上げ、きらめく明日を奪い取る! さあ、うたおう! 詠おうじゃないか! たゆたう銀河をいろどりし、オボロゲなはいけんじながら! ――おいでませ……魔王召喚!!)


 そのポエマーな呼びかけに応じるように、

 足元の魔方陣が、

 カァアア!!

 と、力強く輝いた。


 そして、出現する。

 ――魔王。

 黒いツノが生えた超イケメン細マッチョの成人男性型魔王。

 今日の夕方、買い物にいく前に見た……あの魔王……


「う、うわぁ……うわぁああああ……っ」


 結界の内側……『人間が住まう、こちら側のエリア』に、魔王が立っている……

 その事実を前にして、普通に腰がぬけてしまった。


「あわわわ……ま、ま、魔王……魔王っ……っ」


 腰が抜けてまともに動けない。

 けど、死ぬほど怖いから、どうにか、這いずって逃げようとする。


 そんなボクに、

 魔王は、片膝をついて、


「偉大なるマイマスターよ、さあ、ご命令を。決死の覚悟で、あなた様の命に従いましょう」


 丁寧な態度で、そう言った。

 夕方に会った時は、ボクに対して、強い殺気を放っていたのに、今の魔王は、別人のように、『敬意のある態度』を示してきた。


 魔王の従順な態度に、ボクが驚いていると、

 火の玉が、


(いい態度だ! 気に入った! ではさっそく――)


 と命令しようとしたが、

 しかし、魔王は、火の玉の話を聞いている様子がない。


(あれ? おーい! 聞いてるかぁ? 偉大なるマイマスター様が、丁寧に『命令してしんぜよう』というのに、その態度はいかがなものかなぁ!)


 叫んで、わめいて、

 そして気づく。


(ぉ、俺が召喚した召喚獣なのに……俺を認知できない……だと……? な……なんでだぁ……っ)


 なんだか、絶望している様子。


 そこでボクは、つい、はずみで、

 ――魔王に、


「ぁ、あのさ……あの家にいる小汚いオッサンを……死なない程度に、ボコボコにしてきてほしい……って頼んだら……聞いてくれる?」


 と、いつも夢見ていたことを、お願いをしてしまう。

 すると、片膝をついていた魔王が、スクっと立ち上がって、


「拝命いたしました、マイマスター」


 そう言って、一度頭を深く下げてから、

 スタスタと家へ向かっていく。


 その後ろ姿を、呆然と見つめていると、

 ボクの中にいる火の玉が、ボソっと、


(まさか、お前がマスターとして認定されるとは……最悪だ。俺は召喚することしかできないのか……)


 そんな風に、なげきつつ、


(おい、ガキ。仕方ないから取引だ。お前の役に立ってやるから、お前も俺の役にたて。ギブ&テイクでウィンウィンの関係を構築しようじゃねぇか)


 と、そこで、家の中から、

 グガシャァン!

 という派手な音が響き渡った。


 その音を聞いたことで、

 ボクは、ハっとして、


「あ、やばい……やばいことしちゃった……え、死んだ? これ、ボク、殺人? ボク、人を殺したことになる? いや、でも、『死なない程度に』って命令したから殺しはしないよね……だったら、殺人では……ない? ぁいや、でも、魔王が人を殴ったら普通に死ぬよね?」


 ここまで立て続けに、色々なことがおきて、心がフワフワしていたのだけれど、




「ぎゃぁあああああ! なんで魔王がぁあああああああ!」




 オッサンの泣き叫ぶ声を耳にしたことで、

 ちょっとだけ冷静になり、


「まだ、生きてる……でも、これ、まずいか……まずいねっ!」


 考える余裕もなく、

 ボクは、魔王をとめるため、

 ほとんど反射的に、家の中へと突入していった。


 流石に人殺しにはなりたくない。

 誰だって、そうだよね。


 ドアをあけて中に入ると、

 オッサンが半殺しの目にあっていた。

 顔面ボコボコで、体も傷だらけ。

 あちこちから血が出て、口からアワをふいている。

 恐怖と痛みから、糞尿も、まき散らしている様子。


 ……けど、死んではいない。

 間違いなく生きている。


 どうやら魔王は、ボクの命令を忠実に守ってくれている様子。


 死なないなら……止める必要もないかな……

 正直、ボコボコにされているオッサンの姿を見て、

 ボクはとてもとても爽快な気分になっていた。








00000000000000000000

 名前『猿の17番』

 メインクラス『召喚士』

 サブクラス 『たま〇ぎ剣士』

 ・称号『奴隷』


 《レベル》     【6】

 [HP]      【83】

 [MP]      【11】

 「攻撃力」     【2】

 「魔法攻撃力」   【3】

 「防御力」     【5】

 「魔法防御力」   【3】

 「敏捷性」     【2】

 「耐性値」     【2】

 「魔力回復力」   【1】

 「反応速度」    【3】

11111111111111111111




00000000000000000000

 名前『ゼラビロス』

 メインクラス『殺戮者』

       『破壊者』

       『ハイウィザード』

 サブクラス 『魔銃使い』

       『スターシーカー』

       『ドラゴンマスター』

 ・称号『無頼ぶらいの魔王』


 《レベル》     【380】

 [HP]      【68000】

 [MP]      【75000】

 「攻撃力」     【250】

 「魔法攻撃力」   【532】

 「防御力」     【288】

 「魔法防御力」   【772】

 「敏捷性」     【328】

 「耐性値」     【559】

 「魔力回復力」   【1025】

 「反応速度」    【290】

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― 新着の感想 ―
月光時、サブクラス玉ねぎ剣士とか、育成したらトンデモバケモンに成長するしかない。 雅暦1001年7月5日とかセンエースの為にあるような日で草。 蝉原知ってると、女神ユウガ、どうあがいてもヤバさを隠せ…
投稿乙です。 蝉原TSのネタを使う辺りホント伏線エグいですね。 応援してます
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