ズッコケおっさん、ズッコケたことを悔やみ、アカウント名の改名を考える
「注意一秒、怪我一生」
これは工場や工事現場などで聞かれる安全標語である。
では、次の一文はいかが。
「ズッコケ一秒、恥一生」
この一文は、ズッコケは一秒で済むのに、誰かにズッコケを見られた恥ずかしい気持ちは一生続く、という意味である。
これは工場や工事現場などで聞かれる安全標語ではなく、私の心の壁に貼りつけられた自戒のための標語である。
その隣には『老け込みは敵だ!』との貼り紙がされている。
恥ずかしい気持ちの場合はひとり勝手に悶えていれば、どうにかなる。
しかし、ズッコケで負った怪我は不自由さを作るので、ひとり勝手にどーのこーのというわけにはいかない。
このエッセイの第一話にて、実際に転倒=ズッコケたことについて書いた。
転倒時の体の動きのキレが抜群だったおかげで、それなりに怪我を負った。
怪我の影響でいまだに痛みが残っているのは、左手首である。
利き手の右手首ではなくて、本当に良かったと思える。
その心に他意はない。
ひとまず左手首の痛みの対処として、テーピングしたり湿布を貼ったり。
その対処で左手首の痛みの根本的な原因を解決できるとは思っていない。
痛みがこのまま続くのであれば、病院に行くしかないだろう。
そうなったら、そのズッコケを悔やんでも悔やみきれない。
もしも。
私が想像している以上に左手首の状態が思わしくなく、手術が必要となったら。
そして。
全身麻酔での手術を終えて目を覚ましたら、左手がミキプルーンの苗木になっていたら。
はい、そこ。
わかっています。
なぜ手術後に左手がミキプルーンの苗木になるんだ?
その疑問、重々わかっています。
でもね。
手術を無事に終え、左手首の痛みがなくなった。
そう書いてしまったら、普通のエッセイになってしまうでしょう?
ズッコケに悔やみ、病院で手術を受け、左手がミキプルーンの苗木になる。
ミキプルーンの苗木となった左手を見ながら、ますますズッコケに悔やみ、運気の流れを変えるために『あしのクン』というアカウント名をこのように改名するだろう。
ミキプルーンあしのクン
もう一度、書く。
ミキプルーンあしのクン
ミキプルーンのCMに中井貴一さんと出演できそうなアカウント名である。
いや、無名の人間が大物俳優の中井貴一さんと出演できるわけがない。
それなら、ミキプルーンあしのクンという名でYouTuberデビューし、活発な活動を続けて有名になればいい。
有名になれば、中井貴一さんとのCM共演が夢ではないかもしれない。
いや、待てよ。
ミキプルーンを取り扱っている三基商事株式会社から『ミキプルーンという名称を使うの禁止』とクレームがつく可能性がある。
いや、可能性があるというよりは可能性が滅茶苦茶高い。
どうも、駄目っぽいね。
ここはひとまず左手首の痛みが大事にならないように対処を続けよう。
その期待が裏切られ、仕方なく病人に行き、万が一手術になった場合、左手がミキプルーンの苗木にさせられないように願おう。
……いや、願わなくてもミキプルーンの苗木にさせられることはないけどね(冷めた終わり方が普通のエッセイ)。