ズッコケおっさん、ズッコケて西から東に
『ガンバレ みんなガンバレ 黒いカラスは 東へ西へ』
これは井上陽水の歌『東へ西へ』の歌詞の一部からの引用である。
著作権等の権利保有者からの歌詞の一部の引用についてクレーム等があった場合、速やかにして引用を取り消す所存である。
また何者たちから、井上陽水を呼び捨てにするとは何事ぞ不埒千万斬り捨て御免、と襲撃された場合、笑止千万打撲して痛みの残る左手首が目に入らぬか……あっ助さん格さんもう反撃せんといいよ紛失した印籠いま届いたから、と斬ることをやめない二人を遠くからなだめる役に徹したい。
安易に止めに入って斬られたくないからね。
では、この印籠が、ではなく、次の一文が目に入らぬか。
『ガンバレ みんなガンバレ ズッコケおっさんは 西から東に』
これは先述の歌の歌詞の引用ではない。
井上陽水さんの歌詞に『ズッコケおっさん』なんて名詞が登場するわけがない。
歌詞の一部を引用しただけではなく、不埒千万であるが一部を替えさせていただいた。
ズッコケおっさん、つまり、私が西から東に、とは如何なることか。
現在、私は頭文字Iの県に住んでいる。
私はそこでズッコケながら育ったのだが、生まれは違う。
生まれたのは頭文字Yの県だ。
近畿地方を基準に東西南北でいえば、Iは東に位置し、Yは西に位置する。
つまり、私は(生まれたYの位置する)西から(住んでいるIの位置する)東に(に引っ越した)というわけである。
因みに東のIと西のYの直線距離は約九〇五キロメートル。
九〇五キロメートルとは一キロメートルの九〇五倍だ。
カルピスを水で九〇五倍薄めたら全く水の味、と驚愕するのと同じくらい驚くキロメートル数と倍数だ。
なぜYからIに引っ越すことになったのか。
詳細には書けないが、両親同士がズッコケて解散したからである。察せ。
そのあおりを受け、幼子だった私もズッコケて母に連れられ西から東に引っ越した、というのが真相である。
両親同士がズッコケて解散したことについて思うところはあるものの、今更どーのこーの言うつもりは毛頭ない。
両親のズッコケのあおりをうけ、幼子だった私もズッコケたことについても、今更どーのこーの言うつもりは毛頭ない。
唯一言いたいことは、距離を考えろ、である。
九〇五キロメートルだぞ。
一キロメートルの九〇五倍だぞ。
そんなこんなでIでの私のズッコケ人生がスタートしたのである。