ズッコケおっさん、新作で早くもズッコケる
「千里之行、始於足下」
中国の春秋時代の哲学者である老子が書物に記した一文だ。
その一文は『千里の道も一歩から』の語源となる。
なら、次の一文はどうか。
日本語で書く。
「千里の道の一歩目からズッコケる」
これは老子が書物に残した一文ではない。
俺が作り出した一文だ。
その一文を砕いてみる。
「長編予定の新作が早くもズッコケる」
昨日(二〇二五年一月二十一日)から、小説家になろうにて新作の投稿を始めた。
新作の小説名は『伝説ではなかった軍人少女、キャンバス上で踊る』。
ジャンルは魔法なしのドタバタ系ローファンタジー。
更新頻度は最低でも週一と予定している。
先述したが、その新作が早くもズッコケている。
物語の導入部となる『序章』の書き方でズッコケたわけではない。
ゲス男っぽい人物を主人公に据えたのでズッコケたわけでもない。
ズッコケたのは、小説名である。
ハハッ、すげぇ初歩的。
今の小説名は熟考に熟考を重ねて決定した。
序章を投稿したのち、束の間の充実の時間を過ごした後、違和感を覚えた。
小説名、なんか淡白じゃね? そーですねー、なんか儚いですねー、Oh,yeah!
閑話休題。
淡白だと感じた箇所は『キャンバス上で踊る』だ。
ストレート過ぎて、引っ掛かりがないのである。
例えば、以下のように一言付け加えたらどうだろうか。
『伝説ではなかった軍人少女、キャンバス上で華麗に踊る』
『華麗』を一言付け加えてみた。
どうだろうか。
引っ掛かりができて、より読者のイマジネーションを刺激する小説名になったのではなかろうか。
次、いってみよー。
『伝説ではなかった軍人少女、キャンバス上で蝶のように踊る』
次は『蝶』だ。
軍人少女が蝶のようにキャンバス上で踊るとは、これ如何に?と関心を惹くこと間違いなし。
さあ、次だ、次。ばっちこーい。
『伝説ではなかった軍人少女、キャンバス上ではにかみながら踊る』
赤面の軍人少女がはにかみながら踊ると連想させるのも、なかなかではないか。
と、まあ……時期を見て、小説名の『キャンバス上で踊る』に一言付け加える予定だ。
ズッコケたら起き上がればいい。
千里の道の一歩目からズッコケても起き上がればいい。
起き上がらなければ、ただのズッコケたままのおっさんだ。
千里の道を何歩で歩き切れるかは知らないが、ズッコケたら何回でも起き上がってみせる。
……いや、待てよ。
ズッコケても起き上がらずに匍匐前進する方法もあるぞ。
なんて、ね。冗談、冗談。