ズッコケおっさん只ひとり
「吾輩は猫である。名前はまだ無い」
夏目漱石の長編小説であり、処女作である『吾輩は猫である』はこの一文から始まる。
さて、次の一文はいかがか。
「吾輩はズッコケおっさんである。名前はあしのクンだ」
この一文で始まる小説などあっただろうか。
そう首を傾げた読者は正しい。
なぜなら、その一文で始まる小説は存在しないからだ。
ごめん。騙すつもりはなかったんだ。
ズッコケおっさんとは、私のことである。
あしのクンとは、私のことである。
つまり、私はズッコケおっさんことあしのクンである。
ズッコケおっさんの呼び名は児童文学『ズッコケ三人組』の作品名からお借りした。
実際に私はズッコケっぱなしのおっさんだ。
人生で面白いほどにズッコケ続けている。
人生どころか、先日、転倒=ズッコケて怪我をした。
転倒時の体の動きのキレが抜群だったので、アスファルトに倒れ込んだ直後に周りの視線を気にする余裕すらなかった。
このエッセイのタイトル『ズッコケおっさん只ひとり』も『ズッコケ三人組』から着想を得たものだ。
着想を得る前、一瞬だけ『劇団おっさん(ひとりぼっち)』とのタイトルが脳裏を過ぎったが、日本語の理解できる人にも理解されない危険性があったので取り下げた。
何より私は劇団主催者でなければ、劇団員でもない。
だいたい(ひとりぼっち)なんて陰陰滅滅のイメージしかない。
それに比べて『~只ひとり』との表現は渋い。
そんな私ではあるが、『小説家になろう』にてローファンタジー小説を投稿していた時期がある。
現在、諸事情で連載をストップして非公開にしているローファンタジー小説『同居人は戦いの女神さま』がその時期に該当する作品だ。
また、その作品とは別のローファンタジー小説を新作として投稿する準備を進めている。
このエッセイではズッコケおっさんのズッコケた日常を描きつつ、それらのふた作品の進捗情報もちょくちょくご報告したい。