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53 第四皇女。ちょっと行って来ます!

「あ〜ぁ。ついにこの日が来ちゃったかぁ……。この大量の仕分け、本当に今日中に終わると姉上はお思いなのですか?」

「終わるかどうかじゃなくて、どうにかして終わらせるのよ!」

「無理だと思うけどなぁ……」

「さっきから貴方、ずっと喋ってばかりじゃないの。口ではなくて、手を動かして!」

「えーーー。確かに口も動いていますけど、手だって、それなりに動かしてますって! ねえ、姉上。少しだけで良いから、お茶休憩にしませんか?」



ああ、もうっ! ジョルジュったら!


あら、失礼。気を取り直して……。

こんにちは。ルイーズ・ドゥ・グルノーです。


まだ時間は充分にあると思っていたのだけれど、なんだか毎日があっという間に過ぎてしまっていて……。

私、明日のお昼過ぎにはこのレンファスのお城を出発して、ザルツリンド王国へ向かわなくてはなりませんの。そう、明日です。



ザルツリンド王国から “親書” が届けられてから、おおよそ1年。

『第三皇女(←はヘンリエッタお姉様)のルイーズ・ドゥ・グルノー(←は第四皇女)を婚約者に』なんてとんでもない内容が書かれていたため、どっちの皇女がザルツリンド王国へ向かうのかで先ず揉め、聖教会からは聖女を手放す気はないと一方的に宣言され、聖教会の関係者がザルツリンド王国まで確認に向かったりして……。と、いろいろありました。


最終的に(ルイーズ)がザルツリンド王国へ向かうのですが、今まで我がグルノー皇国と、ザルツリンド王国とはそれほど積極的に交流をして来なかったらしくて……。

結局のところ、いろいろと不明点が多いまま私は出発することになりそうなの。



今回私は、ザルツリンド王国の第二王子ハインリッヒ・フォン・ザルツリンド様の婚約者候補としてザルツリンド王国に入ります。

元々は、婚約者として迎え入れるというお話だったのだけれど、1年後に互いに不満がある場合は私は戻って来ても良いらしくて……。

何度か王同士が書面でやり取りした結果、お父様が「だったらそれって正式な婚約者ではなくて、あくまでも婚約者候補だよね!」ってことで押し通したらしいわ。


お父様って、やんわりとした優し気な雰囲気に見えるけれど、なかなかどうして押しが強いのよ。

婚約者候補ならば、もし1年後に私が国に戻って来ても『婚約破棄された傷物皇女』って不名誉なレッテルを貼られずに済むかもしれないからだそうよ。

そうは言っても、もしも私が戻って来れば、口さがない貴族たちの餌食になることは避けられないでしょうね。


まあ、でも、そんなことを気にする私ではないわ。

だって、ザルツリンド王国に滞在している1年の間に、私にはやってみたいことがいっぱいあるのだもの!

くふふ。どうせなら楽しまなくっちゃ損よね。



「姉上。ご不在中の売り上げ金なのですが……。今まで通り、商業ギルドの姉上名義の口座に入金しておけば良いですか?」

「そうね。それで良いわよ」

「では、今後の新製品に関しては、この書面に書かれた日程で随時投入するということで良いですか?」

「ええ。それでお願い」



巫山戯た態度を取ることも多いジョルジュだけれど、真面目に仕事をすればかなり優秀なのよ。

ラファエルお兄様がご結婚後にお父様の公務を手伝い始めてお忙しくなってしまって以降、ドゥガン商会とのお仕事は殆どジョルジュが1人で取り仕切っているといっても過言ではないわ。

私は研究や商品開発は好きだけれど、商売に関しては全然向いていないしね。

ただ、そのジョルジュも、もうすぐハーランド王国へ留学することが決まっているの。だからジョルジュが不在の2年間は、お祖父様とお祖母様が商会のお仕事のお手伝いをして下さることになっています。



「ねえ、ジョルジュ。商業ギルドの私の口座って、本当にグルノー皇国以外のギルドでも使えるのよね?」

「そうだと思いますよ。兄上もそう仰っていましたし」

「そうよね。なら良いの!」



向こうに行ってから、私が自由に使えるお金があるか分からないものね。

グルノー皇国で流通している金貨を持って行ったとして、それを交換せずにそのままザルツリンド王国でも使えるかは私には分からないわ。

だったら、ザルツリンド王国に行ってからあちらの商業ギルドでお金を引き出せば、それは絶対にザルツリンド王国の金貨の筈よね?



「姉上は、ザルツリンド王国の商業ギルドでお金を引き出すおつもりですか?」

「必要になれば、そうするつもりよ」

「……それ、本気で言ってます?」

「もちろん! でも、どうしてそんなことを聞くの?」

「それは姉上が……」

「なあに?」

「いえ。もしも商業ギルドでお金を引き出す場合、事前に必ず料理人のローラに相談することを提案します!」

「どうしてジネットではなく、ローラなの?」

「ローラだけが、姉上と同行する者の中で唯一まともな金銭感覚の持ち主だと思えるからです」

「……? そうなの?」

「そうなのです! 相談だけでなく、ギルドへは必ずローラと一緒に行って下さいね。あと、絶対に護衛をつけて貰うこと! 絶対に、ですよ!」

「分かったわ」



くふふ。ギルドで金貨を引き出したら、絶対に近くの屋台で串焼きを買って、ローラと一緒に食べるわよ!



  ◇   ◇   ◇



「ルイーズ。残っていた仕事は全て片付いたのか?」

「はい、お祖父様。なんとか終わりました」

「それならば良い。後のことは私とセシリアに任せて、ルイーズはザルツリンド王国での日々を楽しんで来なさい」

「そうよ、ルイーズ。戻って来たら、いろいろと楽しいお話を聞かせて頂戴ね」

「ありがとうございます、お祖父様、お祖母様」



出発前日の夕食は、皇城に普段からいる家族だけで和やかに食卓を囲んでいます。


お父様としては、ヴィンガル公爵家に嫁がれているアデルお姉様のご家族や、聖教会にいらっしゃる大聖女のクロエお姉様と聖女のヘンリエッタお姉様のお二人、それにレーヌ公爵家のローレンス様といった方々を大勢お招きして、盛大に私の送別晩餐会を開きたかったようなのだけれど……。


そんな派手なことはしない方が良いと、ラファエルお兄様から献言されてしまったみたいなの。

私も出発前日の食事会が大袈裟なものにならなくて本当に良かったと思ってます。ラファエルお兄様には感謝しないとね。



「明日の出発の時間なんだけれど、私とアマリアは公務のために外出してしまっているんだ。ルイーズを見送れないのが気掛かり打けれど、気を付けて行くんだよ」

「ごめんなさいね、ルイーズ様」

「お気遣い感謝致します。ラファエルお兄様、アマリアお義姉様」

「姉上、僕はちゃんと見送りに出るからね!」

「ありがとう、ジョルジュ」

「それにしても、さっき見て驚きましたが『身一つで来れば良い』とザルツリンド王国側から通達されていた割には、随分と大荷物ですよね」

「当然よ、ジョルジュ! 間に受けて簡単な支度で行かせてしまって、あちらでルイーズが侮られるようなことがあってはなりませんからね!」



ザルツリンド王家とのやり取りの中に、私に必要なものは全てザルツリンド王国で用意するので、私は身一つで来れば良いと書かれていたらしいの。

でも、それを読んだお母様が、もし本当に身一つで行かせて、私の立場が悪くなるようなことになっては大変だと仰って譲らなかったらしくて……。

ジョルジュが言ったように、荷物が次から次へと増えてしまったのよ。


私としては、さくっと行って、さくっと帰って来るつもりだったのに……。

でも、大好きなお母様を悲しませたくはないので、ありがたく全てザルツリンド王国へ持って参ります。

お越し頂き & お読みいただき、ありがとうございます♪

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