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22 第四皇女と聖女の気持ち。

そう言えば、以前ヘンリエッタお姉様の話をしたと思うのだけれど、覚えているかしら?

私のすぐ上のお姉様で、この国の第三皇女。

ヘンリエッタお姉様は、光の属性があることが判明して、6歳の時(私が4歳の時)から聖教会で暮らしています。


既にお嫁に行かれたアデルお姉様や、先日ハーランド王国への留学から戻られたラファエルお兄様、それから、甘ったれだけど可愛い弟のジョルジュ、この3人と比べてしまうと、接している時間が短いせいもあって、ヘンリエッタお姉様と私の間には少し距離がある感じがします。


立場的には、第一皇女のクロエお姉様も同じだと思うのだけれど……。

クロエお姉様と私では11歳も年が離れているし、私が生まれた時にはもう既にクロエお姉様は聖女の力に目覚めていて、聖教会でお暮らしだったから、お城にはいらっしゃらなかったし……。

もうそうなると、クロエお姉様とヘンリエッタお姉様とでは比べる次元が違うと言うか。


言葉にして説明し辛いのだけれど、私とヘンリエッタお姉様の関係は、ちょっと微妙に複雑なのです。



ヘンリエッタお姉様が癒しの力を得たのは、聖教会で暮らす子どもたちが聖女候補でいられる年齢の本当にギリギリの時でした。


てっきり私はヘンリエッタお姉様は聖女にはなれずに、お城に戻って来ると思っていたの。

だから、お姉様が帰城していらした時に、うっかり言ってしまったのよ。「お姉様が戻って来られるのが楽しみです。これからはずっとお城で暮らせますね!」って。

だって、お母様も聖女候補のままで終わったって仰っていたし。それほど珍しいことでも無いと、その時の私は思っていたわ。


私の言葉を聞いたヘンリエッタお姉様は小さな声で「そうね」とだけ仰いました。


ヘンリエッタお姉様が癒しの力を得て「正式に聖女と認められた」とお父様のところへ連絡が入ったのは、それから10日も経っていなかったと記憶しています。



正式に聖女となって以降、ヘンリエッタお姉様は以前よりも更にお城へ戻られる回数が減りました。


私と弟のジョルジュは、自分で言うのもなんですが、家族からとても可愛がられて(甘やかされて?)いると思うのです。

ジョルジュは一番小さいし、この国では希少な男の子だし。まあ、見た目も可愛いし。

私に関しては、光の属性では無かった(←と皆は思っている)から、聖教会に取られずに済んだってことが大きな理由なんじゃないかしら。

だって、やっぱり親って、子どもの成長を近くで見守りたいものなのでしょう?

子どもだって、家族と一緒に暮らしたいと思うわよね?

だから私、ヘンリエッタお姉様もきっとお城に帰りたいのだろうな、と思っていたの。

でも、そうじゃなかったみたい……。


もともと、凄く仲が良かったわけでは無いけれど、ヘンリエッタお姉様が聖女になられてから、ますます気不味い感じになっちゃいました。

私だけじゃなく、たぶんお互いにそう感じていると思うのです。



  ◇   ◇   ◇



「近々、ヘンリエッタがルルーファ王国へ聖女として派遣されるそうだよ」

「まあ、本当ですの?」

「ああ。今日、クロエの方から、そう連絡があった」

「ヘンリエッタ本人からでは無く?……クロエからなのですか?」

「そうだ。どうやら、かなりの人数での大派遣団の一員として選ばれたようだ」

「……そうですか。それで」



今日の夕食後に。お父様とお母様がそんな話をされていました。

最初にお父様がこの話をしはじめた時、お母様は嬉しそうだったのに、最後の方はなんだか沈んだお声になっていて……。


なんとなく、詳しいことをお聞きしてはいけないのかしら? という気がして、私は黙っていたの。

これでも、ちょっとは私も気を遣えるようになったのよ!




「ねえ、お兄様。さっきの、お夕食の時にお父様たちがされていた話なのですけど」

「もしかして、ヘンリエッタのルルーファ行きの件?」

「そうです。お姉様の派遣って、良いことなのですか? それとも……」

「ああ。うーん。そうだな、微妙? って感じだね」



普段、聖女様たちはグルノー皇国各地に点在する聖教会で暮らしていて、その地域の人たちに対して癒しや治療を行っています。

クロエお姉様もヘンリエッタお姉様も、それから大聖女様のマリアンヌ伯母上様も王都にある聖教会の所属です。


所属地域での普段のお仕事とは別に、聖女様たちは他国からの依頼を受けて派遣されることもあるそうです。

これこそが、グルノー皇国が他国とうまく付き合っていくための重要なポイントらしいの。



ラファエルお兄様の話によると、その聖女様の派遣にもいくつかのパターンがあるそうよ。


難易度の高い順だと、まずは結界の修復、もしくは、新たな結界が必要になった場合。

これは確実に大聖女様でなくては受けられない依頼なので、派遣されるのは大聖女様です。

現在大聖女様は全部で7人。その中からお一人、場合によっては、お二人が選ばれます。

その他に、大聖女様のお世話をする人たち(大抵は元聖女候補だった方)それから、諸々の雑務を担う聖教会の関係者たち、そんな感じのメンバーで派遣団が組まれるそうです。


次は、特定の町からの依頼。

依頼の内容としては、土地の浄化とか、大人数への癒しとか、流行り病への治療などなど。

その場合は、聖女様の中でも力のある数人が派遣されるそうです。その他の人たちに関しては、大聖女様の時とほぼ同じ。


特例として、王族や高位貴族からの内密な依頼もあるそうです。

例えば、知られたくない病気の治療とか、呪いの解呪とか(←できるの?)

この場合は、力のある聖女様で、尚且つ貴族の家庭の出身者(できる限り高位貴族が望まれる)が派遣されるそうです。


余談ですが、聖女引退後にリスカリス王国へ嫁がれたグレーテ叔母様も、王弟殿下の骨折の治療に呼ばれたのが、最初の出逢いなのだそうです♡


コホン。話を戻しますね。


最後の例が、ヘンリエッタお姉様の派遣団のパターンです。

国からの依頼で、その国のあちこちの町や村を回って治癒や治療をするための派遣です。

この場合、特定の誰かということでなく、聖女一向が来るなら診て欲しいという人たちへの治癒や治療。

まだ聖女の力に目覚めたばかりの新人聖女や、それ程聖女としての能力が高くない方、5〜7人の聖女様たちで編成されるそうです。

派遣団全体の人数に上限があるため、参加する聖女様の人数に対してお世話係が少なく、日程も非常に長くなるため、貴族の家庭出身者は参加を嫌がる方も多いとか……。




「そうなのですか。それでお母様は、あんな表情をされていたのですね……」

「僕も、そんな派遣にヘンリエッタがわざわざ参加する必要は無いと思うけどね」

「断ることもできるのですか?」

「断ると言うか、そもそもこの話がヘンリエッタにいったことの方が不思議なくらいだよ。いくら聖教会に所属しているとは言っても、ヘンリエッタはこの国の皇女だからね!」

「それって……?」

「僕の予想では、ヘンリエッタは今回の派遣団に()()()()()()のだと思うよ」

「えっ?」

「自分の存在価値を周りにも示したい! おそらくヘンリエッタは、そう考えているんじゃないのかな……」

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