タイトル未定2024/05/04 23:25
父のオープンカー。向日葵色の母が大好きだった色。そのオープンカー、母の小言も虚しく、しっかり納車した。
巷は夏休みだ。父は20周年であるメモリアルイヤーを母と、何なら子供達と一緒に過ごしたっかったらしく、オープンカーで、かっこいい父親を演出したかったらしい。そんな事のために300万以上する車を何故欲しがったのか。
父と母は、実は結婚式を上げてない。写真を記念にということもなく、新婚旅行はおろか、普段外食すらしていない。理由は、普通に貧乏と言うこともあるが、実のところ、親戚に監視されてるのだ。昔から、ずっとそうだったと、母は言っていた。それが、何故かは母に聞かされたこともない。
だけど、今考えると、少しわかるような気がする。
親戚の集まりで、なんだか母だけとても毛嫌いされていた。母は、周りの親戚たちにとても気を遣い、何度も何度も謝っていたように思う。何が、悪かったのかが今は判然としない。
母が、なにか犯罪者まがいのことをしているのは、正直私が知ってる優しい母からは想像だにできなかった。でも、周囲を取り囲む環境、そして人脈から考えて、彼女はもしかしたらヤンキーだったのでは、とは推測できた。
いや、ごめん。推測じゃないのは、小さい頃から知ってる。
「地獄艦隊女子レディース」総長高蓮日向子。
関東きってのレディースで、目に留まる者は、基本ガンくれる。男の暴走族とも流したりは(一緒に走るよ)するけど、結局最後は喧嘩だ。その繰り返し。どこかの、暴走族を潰しては、また喧嘩。何度も繰り返されるそんな現実を前に、日向子は一言「やーめた」と言った。
面倒くさくなったのである。
その頃、出会った男性と恋仲になる。名前は福寿だ。
「年寄クセ〜」
名前って大事だよね!っと彼は言ったが、彼女は心底明るい笑顔で笑う。
「名前とかどうでもいい。お前、笑ってろよ。福寿なんて、ご利益あるし」
思いっきりつなぎで、思いっきり刺繍で「地獄艦隊隊長」とか書かれてるものに身を包んで彼女は言ったのだ。
「福寿の嫁さんになりたい」