表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あの夏  作者: はっち
2/2

タイトル未定2024/05/04 23:25

父のオープンカー。向日葵色の母が大好きだった色。そのオープンカー、母の小言も虚しく、しっかり納車した。

巷は夏休みだ。父は20周年であるメモリアルイヤーを母と、何なら子供達と一緒に過ごしたっかったらしく、オープンカーで、かっこいい父親を演出したかったらしい。そんな事のために300万以上する車を何故欲しがったのか。

 父と母は、実は結婚式を上げてない。写真を記念にということもなく、新婚旅行はおろか、普段外食すらしていない。理由は、普通に貧乏と言うこともあるが、実のところ、親戚に監視されてるのだ。昔から、ずっとそうだったと、母は言っていた。それが、何故かは母に聞かされたこともない。

だけど、今考えると、少しわかるような気がする。

親戚の集まりで、なんだか母だけとても毛嫌いされていた。母は、周りの親戚たちにとても気を遣い、何度も何度も謝っていたように思う。何が、悪かったのかが今は判然としない。

 母が、なにか犯罪者まがいのことをしているのは、正直私が知ってる優しい母からは想像だにできなかった。でも、周囲を取り囲む環境、そして人脈から考えて、彼女はもしかしたらヤンキーだったのでは、とは推測できた。

 いや、ごめん。推測じゃないのは、小さい頃から知ってる。

 「地獄艦隊女子レディース」総長高蓮日向子。

関東きってのレディースで、目に留まる者は、基本ガンくれる。男の暴走族とも流したりは(一緒に走るよ)するけど、結局最後は喧嘩だ。その繰り返し。どこかの、暴走族を潰しては、また喧嘩。何度も繰り返されるそんな現実を前に、日向子は一言「やーめた」と言った。

 面倒くさくなったのである。

 その頃、出会った男性と恋仲になる。名前は福寿だ。

「年寄クセ〜」

名前って大事だよね!っと彼は言ったが、彼女は心底明るい笑顔で笑う。

「名前とかどうでもいい。お前、笑ってろよ。福寿なんて、ご利益あるし」

 思いっきりつなぎで、思いっきり刺繍で「地獄艦隊隊長」とか書かれてるものに身を包んで彼女は言ったのだ。

「福寿の嫁さんになりたい」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ