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あの夏  作者: はっち
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あの夏を思い出すと明日の希望になるのです

あの夏はなんだったか、とても印象深くて。

今思えば、ただ空が高く、ただ青かった。それだけだったように思う。青春真っ只中っていうのが、本当の理由?かもしれない。

雨が降れば、何故かスコールかってほど降って、バカな同級生達が、我先にと浴びに行ってた。

それを見て、バカなやつらだと、女子達で笑ったものだ。

 青春の1ページという言葉がよく似合うと思っていた、あの夏。

 そして、全てが変わってしまった夏でもあったように思う。



 そう、そしてそんな印象的だった夏。何を思ったのか、父がアメ車を買ってきた。黄色い可愛いオープンカー。母の大好きなひまわりの色だ。だが、母には内緒だったらしい。当然母は怒りの稲妻を落とした。

「何だって外車?しかも、オープンカー!私には軽を買ってくると言ったわよね?」

「いや~?ボーナス出たし」

「は?二人で何日も掛けて決めたあの時間は何だったの?!お互いにこれでいいって、お金を掛けすぎるのも、これからの教育費のためにもよくないってあれだけ話し合ったでしょう?あれは、何だったのよ!」

 母の怒りが爆発している。当然のことだろう。ホウレンソウは社会人なら身についているものだ。それは家族も同じ。なんなら、母はきちんとはなしあった結果だといっていた。

「こんなオープンカーご近所でなんて噂されると思ってるの?若い愛人でも作ったんじゃないかってごかいされるわよ!あなたは近所付き合いしないからいいかもしらないけど。こっちの身にもなってほしいわよ!」

 愛人などある訳がない。近所でも愛妻家の父。惚気を聞かされることはあっても、文句の一つ聞いたことがない。あんな夫が欲しいと斜向かいの佐々木さんも言っていた。

 でも父も多分なんの考えもなく、そんなものを用意したわけではない。

 私も兄も知りえない計画の為の足がかりだったのだ。

 なんと言っても近所で有名な愛妻家の父だ。サプライズするとしたら当然母だ。私達も、父が意図もなく母との約束を違えてまで、そんな車を買って来るとは思えない。

 いや。いっそ本当に買ったのだろうか?

 いまや、夏の真っ只中。私達兄妹は夏休みに入ってる。兄は高3の夏で部活は引退してるし、二歳下の私も文化部で活動もない。後半には合宿があるのは毎年のことだが、今年は部員数が減っていて、それも微妙だ。

 この感じで、父と母の結婚二十周年。

 父はソワソワしていて、最近の若い人がつけているアクセサリーは何かとしきりに私に聞いてきていた。私は、サッカー部の主将でモテる兄とは違って地味で異性となんの関わり合いもないような私。服は森ガールっぽく、できるだけ目立たないように気を遣ってきた。と言って、無難にまとめないと地味すぎて、それはそれで目立ってしまう。なんと言ってもファッションセンスがないのだ。どっちつかずやり過ごすのが、私のお守りみたいなもんだった。

 神様、よろしくお願いします。パリPたちにイジられませんようにって、感じだ。

 とにかく私に聞くより、兄の彼女に聞いたほうより良い答えは出るというのに。

 それでも、父は

「夏花が選んでくれるアクセサリーを日向子に贈ってあげたいんんだよ」

と言うのだ。父の名前は福寿だ。冬の福寿草から取られたらしい。小さい頃はおじいちゃんみたいと、随分からかわれていたらしい。母は、笑って、名前なんかどうでもいいと言ったらしく、その時の話を、度々飲んで気持ちよくなった際に、一通り話す為、何度も同じ台詞を聞いれいる、一目惚れじゃないのかと思う。父は否定しているが。

 私はそんな母にかなり似ているらしく、母の細い首に似合う細く細かいネックレスを父はずっと探していて。



 だから。

「日向子これ似合うかな〜?もう一回夏花付けてみて。だって、日向子可愛いし、こんな細いのだったら、目立たないよなあ?」

{パパさ、もういい加減ママにつけてもらったら?私何十回も付けては外し付けては外ししたところで、パパの大好きなママがここにいるわけじゃないし」

「でも、夏花、日向子の子供だから色々知ってるでしょ。同性だしさ」

「同性って言っても、ママとタイプ違うし」

「違くないよ。ままとそっくり!産まれたときから、そう思ってた!」

自信満々だなぁと、娘は思う。他人に一度も言われたことないのに。

何なら、兄も言わない。欠片を沢山集めれば、いずれかはママに近くなる日もくるかもしれない。


なんたって、遺伝子上はちゃんとママの娘だしね!!

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