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人間は考える葦である。
まだない
4月15日誕生日だ、
そうらしい。
10歳になった。歳の数え方に「つ」がつかなくなった。
なにかこの世界が変わるのだろうか、
そんな淡い期待とともに朝を迎える。
今日は託宣の日だ。
才能を神に教えてもらえるらしい、
なんの才能だろうか?
僕に意味をもたらしてくれるのだろうか。
教会に行くと、
宙に浮いた手が紙に文字を書いていた、左手で書いていた、私と同じだ。
片腕しかないからなのか、その手で紙をくしゃくしゃにして神父に投げた。
神父に、託宣の書かれた紙が渡された。
私はゆっくりその紙を広げる。
「0→∞」
教本のような文字でそう書いてあった。