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4・寮に入ります

王都は周りをドーツナという町が囲んでいる。

キグナスも栄えた町だったが、ドーツナの雰囲気はまた違っていた。

活気があるのだ、とにかく活気がある。騒がしく、みんな動き回っている。


乗合馬車の停車場はドーツナの町はずれにある。

こんな騒がしいところを馬車が走れるわけがないのだ。

王様や貴族の馬車が通る専用の道はあるが、そこを乗合馬車が行くことはできない。


私はきょろきょろしながら街の中を進む。

さすがに寄り道をするだけの度胸はない、まっすぐ王都に入る門に向かった。


「はい、身分証明書を見せてください」


身分証明書はローズ学園の学生証だ。

合格が決まるとローズ学園から学生カードが送られる。これがないと王都に入ることが出来ないからだ。


「おっ、ローズ学園の新入生か。おめでとう、頑張って勉強するんだぞ」

「ありがとう、頑張ります」


これでもローズ学園の寮に一番近い門から入ったのだが、

「遠い、遠いのです。王都の中の交通手段は無いのですか」

空に向かって叫んでしまった。

実際は大した距離ではないが、知らない町、知らない道を不安いっぱいで歩いているので、いつまでも歩いている気分になったようだ。


荷物は寮にすでに送られているはずだ。この辺は秘密組織の下っ端がやってくれることになっている。


学園生徒全員が入る寮は大きい。さすがに見落とすことはなく、無事たどり着けた。


「こんにちは、薬学科新入生の えーとミーナです」

寮の受付には受付係の人がいる。夏休み中は新しく来る生徒のために毎日出勤しているそうだ。


「ようこそローズ学園に。薬学科のミーナさんですね。それでは部屋まで案内するので着いて来てください」


私の入る部屋は二階だった。

部屋の中には二段ベッドが二つある。


「この部屋ではミーナさんが一番乗りね。荷物も早くついてたみたい。あと3人来るから、着たら案内してきますね。」


私の次の来たのは、サンザナ領パンチョ町のペネロペだ。私と同じ薬学科の生徒である。

そして次に来たのが、ソーラ領にある港町リンマから来た、魔法科のエマだ。

最後に来たのが、クエンチェス領の田舎の村から来たキャロルである。


『よかった。キグナスの人が来なくて』

キグナスのことを聞かれても答えることが出来ない。

身分がばれない様にするにはどうしよう。

私はできることは、喋らないようにすることだった。


4人がそろったので、自己紹介をすることになった。


「パンチョ町のペネロペです。家は薬師です。本当は姉が去年入るはずだったんですが、好きな男の人と別れたくないと言って、今年代わりに私が来ました。薬師の娘ですが、姉が継ぐと思ってマナの勉強をしてきませんでした。誰か教えてくださ。以上」


こいつマナが使えないのに来たのか。


「ソーラの港町リンマから来たエマだ。海の魔獣は魔法で倒す。親父も魔法を使って冒険者をやっている。俺は剣や銛の鍛錬もしているので冒険科の野郎どもと腕比べをしたくてここに来た。ペネロペ悪いが、 俺は魔力は感じられるがマナは感じられん残念だがマナは教えられない。」


「私は、クエンチェス用の田舎の村から来ました。名前はキャロルです。村には年寄りの薬師が一人だけで、村長から無理やりお前が後を継げと言われてローズ学園に来ました。私もマナの使い方がわかりません」


駄目だ駄目だ、この部屋全員マナが使えないじゃないか。


「えーと、ソニ じゃなかった、ミーナだよ。キグナスのほうから来たんだよ。マナっておいしいの」

これじゃアホだ。身分を隠そうとしたら、変な言葉使いになっちゃたよ。


「えーと、寮って3年間一緒のようね。みんな仲良くしていきましょ」

さすが村長に頼まれるだけのことはある。キャロルはしっかりしていた。

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