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鍛冶師とSMプレイ

鍛冶師の名前に表記ブレがあったのを、ホメロスに統一しました。

 次に連れてこられたのは鍛冶屋だった。


 建物内に入ると、槍や斧などが乱雑に並んでいた。もうすこしきれいに並べようとは思わなかったのだろうか。



「なんだおまえ、この間来たばっかだろ?まさかこの短期間で剣が折れました、いや欠けましたとかふざけたこと言うんじゃねえだろうな」


 無精髭の生えた男性が、ギロリとテトのことを睨みつけた。


「違うよ、ホメロスさん。今は巡回ついでにこの新入りへ街の案内を押し付けらてるところでね。さっきマルベルのところに行ってきたところさ」


 どうやらこのいかにも職人らしい装いの男性はホメロスさんというらしい。彼はマルベルさんの名前を聴くと苦虫を噛んだように顔を歪めた。


「ああ、あいつか。あの女、この間夜のプレイで使いたいからって拘束具作らせてきやがった。まったくふざけやがって」


 拘束する方なのかされる方なのかどちらなんだろう。もしくは交互に立場を入れ替えたりするのだろうか。ついつい下世話な妄想をしてしまった。


「マサト、こちらは鍛冶師のホメロスさんだ。これもその人が作ったんだよ」


 そう言ってテトはポンポンと腰に下げた剣を叩く。


「へー、すごいですね」

「鍛冶屋なんだ。鍛冶屋が武器を造るのにすごいもクソもあるか」


 と、ホメロスさんは、不機嫌そうな顔をぷいっと背けた。なにか俺が気に入らないことをしてしまったのだろうか。


「照れてるんですよー。この人堅物ぶっちゃって。ホントはただ口下手なだけなんですから」


 上品に笑いながら奥の奥から出てきたのは温和そうな女性だった。


「それにしても孤児院の新入り? 珍しいのね。ああ。自己紹介がまだでしたね。わたし、こちらのぶきっちょさんの妻でマリーって言います」

「誰が不器用だ。俺は鍛冶師だぞ!」

「お手々の話をしてるんじゃありません。それが分からないなんてやっぱりぶきっちょじゃないですか」


 マリーさんにぴしゃりと言われて、ホメロスさんは唇を尖らせてそれ以上言い返さなくなった。柔らかい声や佇まいから優しそうな人だと思ったけど、どうやらそれだけではないらしい。


「で、今はその新人に関わりそうな場所を案内してるわけなんだけど」

「俺、自衛の為とはいえ刃物を持ったりはちょっと……」

「誰が素人に刃物なんて持たせるもんか。武器に限らず金物は大体ここで作ってもらうんだ。鍋やら包丁やらなんでもごされさ。孤児院で使ってるものの手入れを頼むことも多いからね。その雑用をさせるために案内してるだけだよ」


 確かにこの世界では、日本と違ってホームセンターに行けば量産された調理器具がずらりと並んでいるわけじゃないんだもんな。


「素人が刃物なんて持ったところで自衛できないどころか自分が怪我するだけだっての」


 ホメロスさんもそう吐き捨てる。


剣をパニックになりながら振り回し、自分を傷つける姿が容易に想像できたので、その予想は多分正しい。どうやら俺が剣を持つ、なんて未来はなさそうだった。


「と、いうことで今後使いっぱしりにする予定のマサトだ。よろしく頼むよ」「あ、よろしくお願い、します」

「また来た時覚えてりゃな」

「わたしはもう覚えたから大丈夫ですよー、マサトさん」


 冷たく言い放つ鍛冶屋に、優しくフォローする奥さん。アメとムチとはこういうことかと思いながら、俺たちは鍛冶屋を後にした。


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