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光魔法の使い手

 エルミーは性格的に神を信じていない気がする。というか神なんてクソ喰らえと思っていそうである。一応テトにも確認を取ってみたが、やはり信仰心ゼロどころかマイナスらしい。協力者として申し分ないだろう。唯一問題があるとすれば多分、というか確実に俺のことが嫌いということだけである。唯一の問題が致命的ではあれど、とりあえず話を持ちかけてみることにした。


「ということで瘴気を祓うようなオリジナル魔法を開発したいんだけど協力してくれないか」

「寝言は寝て言え」


 孤児院の食卓、二人きりになったタイミングで話しを切り出せば、やはりというか、ぼくの頼みは一刀両断された。


「頼れるのはエルミーだけなんだ」

「神父様に頼めばいいじゃない。喜んで協力……はしてくれないかもね。宗教的にまずいのかも。ああ、だからわたしの方に来たってわけ」


 エルミーは「なるほどね」と合点がいったように半目でぼくを見る。


「悪いけど、わたしはたしかに光魔法の使い手だけど、クリーンしか使えないのよ。だから力にはなれないし、そもそもなる気もない」

「そこをなんとか……」

「嫌。だって、瘴気を祓う魔法を開発する、なんて時間をドブに捨てろって言われてるようなもんじゃん。どうせ自分だけじゃどうにもできないくせに、魔法ならなんだってどうにかできると思ったからわたしにお願いしてんでしょ?異世界から来たあんたは知らないかもだけど、魔法は万能じゃないのよ」


 尽くに図星だった。浅い考えを見透かされた俺は思わず「んぐッ」と変な声をもらす。


「でも他の方法よりは可能性があるっていうのは確かだろ?」

「もし光魔法で瘴気がどうにかできるっていうんなら、神父様がいてハンスが死ぬのなんておかしいでしょ!」


 さきほどから、エルミーの言葉は実に的を射たものばかりだった。少なくとも現時点で、光魔法で瘴気を消すことはできない。それは確かだった。


「魔法でも、瘴気はどうにもできない。それが答えでしょ?キュアを作った聖母でも、瘴気をどうにかする魔法は作れなかった。そういうことよ」

「それを今から俺たちで開発するって話だろ?これは」

「過去の誰にもできなかったことが、わたしにできるわけないでしょ?この清掃屋のわたしに」


 そう吐き捨てたエルミーの顔は、なんだかとても悲しそうに見えた。それから何度懇願してもエルミーの答えは変わらなかった。


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