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第八十九話 ジャロは不審者ではありません……よね?

 読んでくださりありがとうございます。ジャロは実は不審者なのかもしれません。


――

ヴァルトプトルの教会

――


 さて、クエストとしては2度目なんだけど、なぜだか何度も訪れた場所に再び戻ってきたぜ。ええと、とりあえずグリモアさんを呼んできてもらいたいんだけどなぁ。いつもならその辺にシスターが1人はいるんだけど今はいないのかな? とりあえず入るだけ入ってみるか。


 ジャロが教会の入り口の扉を開けると、最近忙しかったのであろうかシスターが静かな寝息を立てていた。ジャロはそれを見て静かに教会に入ろうとした、無論無闇に起こしては可哀想だからである。尤も起こさなくてはグリモアは呼んでもらえないのだが。


 ところでこのヴァルトプトルの教会の入り口の扉は木で出来ている。開けること自体は静かに音も無く開けられるが閉まる時はそうはいかなかった。静まった辺りにやけに大きくギィと軋む音が響いた。


「……むにゃ? ……扉の軋む音?」


 眠りから覚めたシスターの目の前には教会の人間にしては見たことのない顔をしているが聖職者らしいローブを着た青年がいた。その青年は何故だか渋めのハンチングを被っていた。


「あなたは誰ですか! 聖職者のような服装をしていますがそれにしては帽子や靴が変です」


「怪しい者ではないです。依頼を受けてここに来まして……。驚かせてしまってすみません」


「依頼……。えっと、そうおっしゃいますと冒険者の方で?」


「はい、そうです。……ええと、グリモアさんを呼んできてもらえますか?」


「失礼いたしました。すぐに呼んで参ります」


 まあ仕方ないよね、ふと目が覚めて目の前に知らない人がいたらびっくりするもんな。それにしても怪しい人か……。まあ聖職者のローブ着てハンチング帽を被ってる人なんて僕くらいか。……怪しい人ねぇ。


 怪しい人呼ばわりされたことをやや引きずっているらしいジャロは自分の服装を見ながらぶつくさと何やら考えていた。そこへ先程のシスターに連れられグリモアがジャロの下へ現れた。


「おやおや、ジャロ様ご無沙汰しております。早速ローブを着ていらっしゃいますな。大変似合っていると思います」


「グリモアさんはそう言いますがね、先程怪しい人と言われて自分の服装を眺めていたところですよ。変ですか?」


「そうですな、私としましてはちと帽子とローブが合っていないような気がしますなぁ。とはいえこの辺りの冒険者と言うものは取り合わせの悪い服装をよくしてますので、あなた方は特に服装に頓着していないものだと思っておりました」


「普段は気にもしないんですが怪しい人と言われると気にもなりますよ」


「なるほどなるほど。そういえば水の国で誰だったか冒険者出身の方が服装について見た目を改良したとか何とか聞きましたなぁ。そこまで気になるなら行かれてはどうです? 尤も噂でしかないので信憑性はあまりありませんがね」


「へぇ、水の国に行ってみたいとは思ってましたが、ますます行きたくなりました」


「えぇ、行ってみると良いかと思いますな。ええと、それから何だったかな……、おおクエストでここにいらっしゃったのでしたね。ついてきてくださいな」


 そう言うとグリモアは教会の地下室へと向かい始めた。前回と同じく下へ下へと階段で下っていった。どうやら前回の地下室と場所は同じのようであった。


 アムニスヴェーレではどうやら服装の見た目が変えられるようです。これでジャロが不審者を無事脱却できます。

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