第八十話 ファング頑張る
読んでくださりありがとうございます。ファングがロングホーン・カブトに対してかなり頑張るようです。
ううん、鼓舞か……。いや別にラッキーではあるんだけど、ダメージがどれくらいかが知りたいんだよね。まあ良いか、次どうしようかな。ファングで倒しきれなかった時のためにまもりを下げさせておくか、爪牙でダメージを稼ぐか……。でもどうせファングの次はアトラスで居合一閃するんだからここはダメージを出来る限り稼いでおきますか。
『ファングの爪牙 ロングホーン・カブトに19のダメージ』
『ロングホーン・カブトの通常攻撃 ファングに14のダメージ』
おお、結構ダメージもらうな。でもこっちの方がダメージは多いから押し切れるかな?
『ファングの爪牙 ロングホーン・カブトに19のダメージ』
『ロングホーン・カブトの刺突 ファングに25のダメージ』
……やっぱりコイツ厄介だわ。そうか通常攻撃より刺突はかなり威力高いもんな。いやぁこれ押し切れればいいけどこれ以上回復は……出来ないな。倒しきれなかったらアトラスに居合一閃して倒してもらおう。
『ファングの爪牙 ロングホーン・カブトに18のダメージ』
『ロングホーン・カブトを倒した 甲虫の抜殻を手に入れた 経験値を182手に入れた』
あ、倒し切れたか。ポーション一回使ったとはいえファングってロングホーン・カブトに競り勝てる性能を持ってるのか。いやあ戦力アップだね。じゃあ遠慮なく宝箱を回収しようか。
『銅の宝箱を手に入れた』
さて、ここにずっといてまたエンカウントしても面倒だもんね。さっさと立ち去りますか。あ、先頭は流石に手負いのファングだと厳しいね。まあアトラスでいいでしょう。
先頭をアトラスに入れ替えてヴァルトプトルに戻ろうかとしていたジャロの目の前に、最早見慣れた謎の白い光が出現していた。イベント発生の現れである。しかしジャロはもう既にロングホーン・カブトの複数討伐の規定数を満たしており、これ以上の戦闘の必要性はクエスト進行という面では不要ではあった。
……ええと、イベント戦ってことだよね。しかもクエスト的にはロングホーン・カブトで確定の流れ。別にイベント戦を踏む必要性はない。だってもう2体倒してはいるから。そしてポーションはさっき使っちゃったからもう残りは1つしかない。これだけ戦わない方が良い条件は揃ってる。それはそう、分かってる。
だけどさぁ、強敵だから戦わずに帰ってきましたっていうのはちょっと違う気がするんだよね。アトラスは倒されちゃうかもしれないけど、ここで退くのはちょっとカッコ悪い気がする。……よし、行こう。
『玉虫色の甲冑を手に入れた』
うん、アイテムが手に入ったんだね。なぁ、……返してくれよ、なけなしの勇気をさ。これでもちっぽけな勇気を振り絞ったんだぜ? はぁ、なんか複雑な気分だわ。
戦闘に身構えたジャロは肩透かしを食らったようだ。アイテムが手に入ったことを喜ぶべきか、無駄に覚悟を持ったことを悲しむべきか。複雑な気持ちを抱いたまま、手に入ったものを確認することもなくジャロはヴァルトプトルへ戻っていった。
ジャロはドールマリアの魔導書を手に入れた時のことを完全に忘れているようですね。謎の白い光はイベントを確かに表しますが必ずしもイベント戦ではありません。
なけなしの勇気は返っては来ませんがアイテムが手に入ったのはその勇気の褒美ってことにしときましょう。手に入ったのは玉虫色の甲冑というアイテムです。一体どんな性能なんでしょうか。