第七十八話 カナリアより報告
読んでくださりありがとうございます。カナリアからの話って何だと思いますか?
「それで……だ。ジャロよ、ギルドよりお前に報告しなければならないことがあるんだ」
「報告……ですか?」
「そうだ。以前お前が指名依頼の時に出くわした賊を覚えているか?」
「あぁ、ビエラとか名乗っていたアイツですか。あの時は逃げられてしまったんですが、その後どうなったんです?」
「最近門番の警備態勢が腐敗していたようでな。ギルドの管理が行き届いてはなかったようなんだ」
そう言われるとジャロにも心当たりがあった。門番にいつもよりジロジロ見られている気がして居心地が悪かった上に、ギルドから警備の強化の指令が来たとも門番の口から聞いていた。
「そして該当門番への詰問の結果、賊を国外に逃した可能性が高いということが分かった。これはギルドとしても恥ずべき事態だ。賊発見の手がかりともなった情報提供者のお前にはこれは伝えておかなければならないことだ。ギルドとして謝罪しよう。せっかくの情報を活かすことは出来なかった。申し訳ない」
「発見の手がかりって言っても僕賊逃してますからね。むしろこっちが申し訳ないって言うか……」
「なんと! お前ってかなり謙虚なんだな。賊を捕らえるエキスパートじゃないんだからお前がそこまで思う必要なんてないんだよ。……まあそう思ってくれてるならこっちもありがたいがな」
「それで……ビエラはどこに行ったとかって分かってるんですか?」
「ヴァルトプトルからなら闇の国ディアノルト、水の国アムニスヴェーレそして火の国ヴォルカパルスの内のどれかなんだがな。該当門番のところからならヴォルカパルスになる。それはそうなんだがあそこはちょっと厄介なんだよな」
「厄介……と言いますと?」
「あそこだけはギルドの管轄外なんだよ。自警団って名乗ってる奴らが取り仕切ってる。まあ目立って悪い噂もないからギルドも放置してるんだけどな。だが何かあった時にギルドが動員されないからお前らは気をつけないといけない場所なんだよ」
「へぇ、そんな危うい場所なんですか」
「とは言ってもお前が行くことは当分無いな。ヴォルカパルスに向かう場合はギルドランクが☆5以上じゃないとギルドから許可が下りないんだよ。もし行きたければランクを上げるんだな」
そう言うとカナリアはギルドの奥に去っていった。ジャロはビエラの言っていた言葉が気がかりであった。それはビエラがゲッコウ団幹部のビエラと名乗ったことである。それはつまり何かしらの組織の存在が明らかでありそしてビエラよりも上の階級の者が存在しているということを指している。またビエラの仲間モンスターに例の人造モンスターがいたこともまた気がかりであった。
「……ビエラ、……CM・試作型。そして、……アトリエ」
とりあえず気がかりになるものを呟いてはみたけど関係性が全くわからないな。でもどう考えてもビエラが火の国に向かったのならそこにさらなる手がかりがあるはずだから、これからの目標はギルドランクを☆5まで上げることだな。クエストを頑張らないと。
ヴォルカパルスには当分行けません。次の国は進むなら水の国アムニスヴェーレになります。どんな国なんでしょうか。楽しみですね。
ちなみにヴァルトプトルからアムニスヴェーレに向かうにはヴァルトプトル東の関所からトルク街道を通過して向かうことになります。トルク街道にはモンスターは出現しないのでそのあたりのクエストはまれにしか存在しません。