第六十五話 バイクだけでは乗れません
読んでくださりありがとうございます。突然ですがバイクだけ持っていても乗れません。現実同様免許の類が必要なのです。
「え? 良いんですか? 貴重なものなんでしょう?」
「こっちはタダで2台持ってかれるとこを助けてもらったんだからな。お礼に1台差し上げたって全然かまわないぜ。うちで一番性能がいいコイツをもらっていきな」
「そういうことなら、ありがたくもらっておきますね」
これはラッキーだな。かなり高価なものをタダで手に入るんだもんな。いやぁ全然金が足りないからバイク買うのはまだ先かと思ったけどこういうことになるとは思わなかったな。
『“黒いバイク”を手に入れた』
「だが、バイクだけ持ってても乗れはしないからな。ちゃんとライセンスというかバイクの乗り方だな。それを知らないとうちも乗せるわけにはいかん。さっきの戦闘を見る限り、ギルド所属のコマンダーってことで合ってるか?」
「あ、はい。そうです」
うわぁ、ゲームの世界にも免許みたいなのってあるのか。これ試験があったりそのライセンス取得の為にもお金がいったりするのかな。
「なら問題ないな。これを使えばそれでいいぜ」
「これ……とは?」
『ジャロは“騎乗の巻物“を使った アビリティ:騎乗を習得した』
「これでお前さんはバイクを乗りこなす能力が身についたってことだ。コマンダーさんは楽で良いね」
どうやらこれで問題は解決したらしい。ライセンス試験を覚悟したジャロはやや拍子抜けした顔をしていた。
何はともあれジャロはグリモアの依頼を達成し、しかも期せずしてバイクまで手に入れたのである。首尾としてはかなり順調である。とはいえビエラとの戦闘でかなり消耗しているのでジャロは報告がてらギルドへと戻るのであった。
――
ギルド ヴァルトプトル支部
――
さて……と、ギルドに戻ってきた訳だが、グリモアさんの依頼ってギルドで受注した訳だから報告もギルドかと思っているんだけど。……もしかして教会に行くべきなのかな? ええい、ままよ。ギルドに報告したらわかるからとりあえず並んでみよう。
「こちらギルド受付になります。何か御用ですか?」
「クエストの報告に来ました」
「かしこまりました、それではギルドカードを提示してください」
「……どうぞ」
「はい、ありがとうございます。ジャロ様ですね。受注クエストは……、おや? 納品がまだのようですね。依頼の品を納品していただけますか?」
あ、こういうクエストって納品扱いなんだ。なるほどね、ええと納品の手順は……これでいいかな。
「はい、納品承りました。これにより依頼が達成されました。こちらが報酬金になります。ご確認ください。そして報酬なのですが……、申し訳ありません、しばらくお待ちください。ギルドマスターを呼んで参ります」
このクエストは報酬金の他に報酬があるクエストである。ジャロはこういったクエストを達成するのが初めてなので報酬に少し期待をしているのだが、何やら受付は歯切れが悪そうだ。
これでバイクに乗ることができるようになりました。……簡単だなあ。現実の免許もこういう風だったらいいのに……。と未だ何一つ免許を持っていない私の嘆きであります。
ちなみにバイクですがバイク屋で購入できる塗料で塗装が可能です。自分の好みのバイクにカスタマイズができるのは良いですね。
(追記)一部誤字がありましたので修正しました。報告していただきありがとうございます。