第五十八話 グリモアの依頼
読んでくださりありがとうございます。グリモアの話とは一体どういうものなのでしょうか。
「ギルドカードを拝見しましたが、ジャロ様は☆2のコマンダーで間違いありませんかな?」
「ええ、そうです。それがどうかしましたか?」
「次のランクに上がるご予定なんぞはありませんかな?」
「……? 一応このクエストを報告すれば☆3に上がる予定ではありますが……」
「なるほどなるほど」
そんな話をしているとどうやら地上にたどり着いたようで、グリモアはジャロの方へ振り返った。
「あなたのその腕を見込んで一つ依頼がございます。聞いていただけますかな?」
「依頼……ですか?」
「ええ、そうです依頼です」
そう言うとグリモアは何やら喋り始めた。
「実はあなたが来られる前に賊に入り込まれましてね。私が持っている本を一冊盗まれたのですよ。本来であれば楽に捕まえられたはず……なのですが、逃がしてしまいましてな。その本を取り戻していただきたいのです」
「……本ですか? 別にそれは構いませんがどうして逃げられたんです?」
「賊が逃げた先にうちのシスターの制服を着ている者がいましてな。捕まえてくれと叫びましたが、その者が急に煙幕を出して驚いている間に2人ともどこかへ行ってましてね。今思えばあの者は偽物のシスターだったに違いありませんな」
「へえ、偽物のシスターですか。ここには何回か訪れましたが、変なシスターなら見たことがありますよ。クエストで来たというのに知らないと言って追い払われたのです」
「そのようなことがあったのですか。それは申し訳ありません。……ちなみにそのシスターの髪色を伺ってもよろしいですかな?」
「髪色……、ですか? 赤色でしたよ。随分目立つ髪色のシスターがいるものだと思いましたから」
「……ふむ、どうやら同じ人物のことを話しているようですな」
そう言うとグリモアは何やら紙切れを取り出した。そこには人の顔らしき絵が2つ描かれていた。その内の女性の方の顔は以前のシスターの顔にそっくりに描かれていた。
「依頼というのはここに描かれている2人の人物を捕らえて、私の本を取り返していただきたいのです」
「なるほど、わかりました。本の名前を教えてもらえますか?」
「“星読みの調べ“でございます。あなたがやってくださるなら心強い。ギルドに伝えておきますのでそちらから受注して取り掛かって貰えば良いかと思います」
「ギルドから受注すれば良いんですね、わかりました」
ギルドから受注するということはクエストであり、詳細を見ればどこを捜せば賊が見つかるのかヒントがありそうだ。それじゃあギルドに戻ってクエストを受注しますか。
しかしあの赤髪のシスターは偽物だったのか。乱暴な言い草だったから納得は出来るけども教会に潜入でもして何がしたかったんだろうか。“星読みの調べ“が純粋に欲しかったからだろうか? それなら譲ってほしいと頼めばいいのにな。まあ、ディアノルトの教会に来てた黒ローブの男みたいな方法だと無理なんだけど。
ジャロが出会ったシスターは偽物だったようです。確かにシスターにしては乱暴な口調だったように思います。
さて、このグリモアの依頼にはフラグが必要です。この場合は実績と言った方が正しいかもしれませんね。イベントを進めること自体は教会を何度も行き来することで可能ですがこの依頼はギルドランクが上がるもしくはその直前に発生します。
もしこのフラグが発生してなければランクが上がった後もう一度教会を訪れる必要が出てきます。……とても面倒な仕様ですね。
(追記)誤字があったようなので修正しました。報告いただきありがとうございます。