第五十三話 三度教会へ
読んでくださりありがとうございます。また教会へ行くようです。三度目の正直ですね。果たしてクエストは進むのでしょうか。
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ギルド ヴァルトプトル支部
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さて、無事にギルドへ戻ってこれたから、これでステータスが全部回復したって訳だ。後は教会に行くだけなんだが、またクエストが出来なかったら嫌だなぁ。他のクエストを達成したらいいことにならないかな。そもそもあと☆2のクエスト一回でいいんだから☆2だったらなんでもいいよね。クエストボードを一回確認してみよう。
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クエスト一覧
現在受注可能なクエストはありません
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……ありゃ? そんなことってあるんだ。っていうことはもう教会に行けってことだな。これでクエストなんて聞いてないって言われたらそれはもうバグだな。よし、じゃちょっと遠いけど行くとしますか。
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ヴァルトプトルの教会
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「おや、お客様ですか……ええと、どうしましょうか。今ミサどころではないのですが……」
「あ、ギルドよりクエストで来たのですが……」
「クエスト……。あぁ、清掃でいらした方でしたか。教会長を呼んで参りますのでしばらくお待ちください」
どうやらクエストに取り組むことが出来るっぽいな。取り組めないまま何回もここに通うのは正直あんまりしたくないしね。
ジャロが言われた通りその場で待機していると、教会の中から恰幅の良い初老の男性が出てきた。恐らくこの人が教会長なのだろう。
「どうも私この教会の教会長をしております、グリモアと申します。クエストで来られた方でしょうか?」
「あ、はい。清掃活動と聞いていますが……」
「失礼、ギルドカードを見せてもらってもよろしいですかな?」
「あ、どうぞ」
「……、ジャロ様で間違いないですね。確かにギルドより伺っていた人物と同じであるようですな。ではご案内いたします」
そう言うとグリモアは礼拝堂……ではなく、その横の建物の下り階段を進んでいった。ジャロはその後ろ姿にふと感じた疑問をぶつけてみることにした。
「ギルドから来た人間でもやっぱり確認はするものなんですか?」
「ええ、教会という立場上不特定多数の人間がここを訪れます。ですから素性を割りやすい人間には確認するようにしていた……はずなんですがね」
そう言うグリモアはやや歯切れが悪そうだ。
「はず……とはどういうことでしょうか?」
「こちらの話です。クエストには関わりありませんのであまりお気になさらぬようお願い出来ますかな」
気にするなと言われても、気にしてしまうのが人間である。そんな含みのある言い方をしなかったらそもそも気にもならないのにおかしな人だなとジャロは思うのであった。
そんな会話をしながらジャロとグリモアは教会の階段を下に、下に下っていった。しかし地下室とクエスト詳細では書いてあったが入り口はずいぶんと地下にあるようである。そしてやや強固そうな重々しい金属の扉の前でグリモアは足を止めた。
ようやくヴァルトプトルの教会長が登場しました。彼は司祭を兼任しています。なので他の教会長よりも忙しかったりします。初老ではありますがまだまだ元気なので引退する気はさらさらないようです。