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第三百十一話 突然の裏切り

 読んでくださりありがとうございます。クエストも無事達成したようなので後は自警団の所へ戻るだけですね。とっても簡単……なはずです。


 ラヴァタートルを見事討伐し古井戸から出てきたジャロを、近くで見ていたらしきティバルが近づいて来て拍手で讃えた。


「お見事ですな。やはりモンスターが住み着いてしまうのは厄介ですね。特に何かある訳でもない古い井戸ですから撤去を検討しておきましょう。見事討伐して頂いたお礼にこちらをお受け取り下さい」


『ティバルの指環を手に入れた』


 ティバルの指環? ティバルって言うとこの人だよな。特定の人名が入っているアイテムを受け取っていいのかはちょっと分からないけどお礼って言っているしありがたく受け取っておこうかな。


「その指環は私が大事にしているものの一つでしてね。是非大事に使ってくださいませ」


「そんな貴重なもの頂いて良いんですか?」


「ええ、お礼で渡しているのですから遠慮なくお受け取りください」


 大事にしているものと聞きやや受け取りづらいと感じたジャロだったが半ば押しつけられる形でその指環を受け取ったのである。


「先程の戦闘で傷つかれたでしょうから少し教会でお休みになってください。私は少し用事がありますのでここで失礼します」


 そう言うとティバルはそそくさと去って行った。ジャロはティバルの好意に甘えて教会でひと休みしてから自警団のところへ戻る事にしたのである。……一連の出来事にジャロは特に疑問を持たなかったが、ジャロにとっての分岐点が知らぬ所で訪れていたのであった。


――

自警団相談所

――


 さて、テストとやらも無事に終わったしこれでとりあえずこの国で活動することが出来るようになりそうだ。受付に報告しに行って……、うん? あそこにいるのはティバルさんか。教会に居なくてもあの大量の宝石で分かるな。用事って言っていたのは自警団にあったのかな。


 自警団相談所にはティバルもいたのだが、特に気にせずジャロは受付でクエストを報告しようとした。しかし並ぼうとするジャロをティバルが何故だか指差しておりティバルの近くはやや騒がしいようであった。


 ……なんか騒がしいし、指差されているような……。あ、誰か近づいて来たな。ソウガさんじゃないから誰かな?


「君かね? ジャロとか言うコマンダーは」


「えっと、そうですが何か」


 男の突然の質問にそう答えたジャロはいつの間にか囲まれている事に気がついた。しかし囲まれる原因がジャロにはさっぱりわからなかった。


「善良なる市民の報告によれば、君は指環を持っているな」


「……指環ですか? 確かに持っていますけど、……これです。……あの何で僕は囲まれているんですか?」


 ジャロの質問に男は答えなかった。代わりにジャロが見せた指環を奪うとティバルの方へ振り返ったのである。どうやら指環をティバルに見せているようだ。


「……、この指環で間違い無いか?」


「はい! 間違いありません! この男に無理矢理強奪されたのです」


 ……は? 強奪? むしろ無理矢理押しつけられたまであるのになんて事を言うんだこの人は。


「どう言う事ですか。僕は確かにティバルさんからこの指環を受け取りましたが強奪なんてしてません。むしろクエストのお礼と言われて貰ったものです」


 ジャロはその男に必死で訴えた。しかし男の表情は渋かった。やや睨むような目つきでジャロの顔を見ると口を開いたのである。


「双方の意見が食い違うようだな。……がしかしこの国で長く生活してきた教会長と来たばかりの素性もよく知らんコマンダー、どっちが信用出来る? 君には悪いが私は微塵も君の言う事が信じられんのだ。……自警団長トガンの名において君を罪に問おう。牢獄へ連れて行け!」


 ジャロを取り囲んでいた人たちによってジャロは牢獄へ瞬く間に連れ去られてしまったのである。ジャロは連れて行かれながらどうしてこんな事になったのかと自問自答を繰り返した。しかしその問いを結論づける答えはどうしても出てこなかった。


 無実の罪によりジャロは投獄されてしまうようです。一言で言うなら嵌められたという訳です。恐らく教会長が受け取った手紙にこの筋書きが書かれていたのでしょう。恐ろしい話です。

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