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第二百八十五話 ウェザリア四世は笑う

 読んでくださりありがとうございます。さてジャロは手紙を届けに行くようですね


――

アムニスヴェーレ

――


 さて、ちゃんと手紙を届けないとね。ギルドに寄っても良いんだけど、とりあえずまっすぐ王殿へ行きますか。


 ジャロはアムニスヴェーレに着くなりすぐに王殿へ向かうようだ。王殿の門番とやりとりをして王殿へ入ることを許可されると最早慣れた足取りで国王のいる部屋まで歩いて行った。部屋への扉の近くには見知った人物が1人立っていたのである。


「おや? ジャロ様ではありませんか。国王様へ何か用事でございますか?」


「そうなんですアリエテさん。ムーロサッケルの新しい国王からの手紙を預かっておりまして」


「なるほど、かしこまりました。国王様、コマンダージャロが参りました。……どうぞお入りくださいませ」


 ジャロが部屋へと入ると初めてジャロがこの部屋に入った時と同様に国王は重厚に装飾があしらわれたチェアに足を組んで座っていたのである。しかしながら国王の眉間には深く皺が寄っていた。その顔を見た瞬間ジャロにはかつて無いほどの緊張が感じられた。


「ふむ、ジャロか。済まない緊張させてしまったな。ムーロサッケルでの情勢が掴みづらくてなここの所張りつめておったのだ」


「国王様、僕はそのムーロサッケルの新しい国王から手紙を預かっているのです」


「新しい国王……だと? 今すぐ私に見せなさい。……ほうほう、なるほど」


 ウェザリア四世はジャロから手紙を受け取るとすぐさま読み始めたのである。ジャロは手紙の全容を知らなかったが、読み進めるウェザリア四世の眉間のシワが徐々に収まって行くのを見た。どうやらウェザリア四世にとっても良い内容だったようだ。


「ジャロ、良き手紙を持ち帰った。この手紙はムーロサッケルを助けたのかもしれないがこの国も助けられたと言えよう。……少し待て。アリエテ! アリエテはいるか!」


「……お呼びでしょうか」


「今より軍事演習を中止し、通常通りの演習に戻るよう守護部隊に伝えよ」


「かしこまりました」


 軍事演習なんてやっていたのか。それじゃあ僕が手紙を届けるのをのんびりしていたら下手すると無意味な戦争が始まっていたかもしれないってことか。……危なかったな。


「さて、待たせて悪かったな。……この手紙には先代のガロン王以降の国政はレイテントの恣意的な関与があるとし全面的な謝罪が書いてある。そして謝罪の意の表れとして今後この国におけるレイテント及びそれに関わる者の活動の一切の禁止が書かれておる。そして国王として新たにトリバなる人物が就任し友好関係をそちらがよろしければ築いていきたいとある。私も多少は知っているがこのトリバなる人物について知っていることを教えてもらえるかな?」


「知っていること……ですか。ええと、トリバ様は心優しい少年で信頼出来る人物かと思いますが……」


 ジャロの言葉を聞くとウェザリア四世は豪快に笑い出した。変に緊張感があったとは思えない展開にジャロは困惑するばかりであった。


「うははは、いや済まない。そうかやはり少年か。名前を見てもしやとは思ったが、噂では流行り病で亡くなったとされていたトリバ王子が国王に就任したという事だろう。それも国に根深く関わっていたレイテントを追放してだ。君が言う事は本当だろう。友好関係を結びたいとあるがこちらからもお願いしたい。ふふ、是非一度彼にも会ってみたいものだ」


 豪快に笑ってそう話すウェザリア四世の顔は実に晴れやかであった。



 こうしてムーロサッケルとアムニスヴェーレ間の緊張関係は解消されました。まだ幼いトリバですがトラブルにもならずに済んで良かったです。

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