第二百八十四話 黒き動きは再びうずまく
読んでくださりありがとうございます。さてレイテントの動きを止めたのでもう黒い動きは無くなりました。……という訳にもいかないんですよね。
「そうだな、☆5なら火の国ヴォルカパルスにも行く事が出来る。……まあギルドの管轄から外れるから勧めはしないがな。まあ気分が乗れば行ってみると良いさ。あそこは物騒だが仲間モンスターの育成をするにはもってこいだ」
あ、そうか。ギルドランクが上がったことでヴォルカパルスにも行く事が出来るようになったのか。それは嬉しいな。……それだと☆6まで上げる必要性が低そうだけど上げられるのなら上げた方が良いのかな? まあ良いやとにかく手紙を届けなくっちゃね。
マバロとウィーノの2人と別れジャロは王殿から出るとそのままの足でアムニスヴェーレへと向かって行った。
一方その頃火の国ヴォルカパルスの外れにあるとある場所では……。
部屋の扉がノックされ男が1人入っていった。部屋の中には沢山の書類に目を通している白衣を着た男が1人いるだけであった。その男はかけていた眼鏡を押さえながら入って来た男の顔をじっと見つめていた。
「報告! ハレー、シアン両名がじきに帰国される模様であります!」
「ふむ、報告ありがとう。詳しいことはこの資料に書いてある通りだね。……しかし、あの2人がしくじるとはね。まあ良いやサンプルは十分取れたし、ハレーたちには元の役目に戻ってもらうよ。ビエラを呼んできてくれるかな?」
「かしこまりました!」
男は威勢よく去って行った。その姿を見届けると再び男は書類に目を通し始めた。次の書類に差し掛かろうかとしたその瞬間扉がノックされた。男が入室を促すと黒い服に身を包んだスキンヘッドの男が入って来たのである。
「お呼びでしょうか」
「あぁ、君か。君が以前報告して来たコマンダーを覚えているかい?」
「報告って言うと……、あぁジャロって言う奴の事ですか? あいつがどうしたんです?」
「僕が受け取った報告によればハレー、シアンの両名が任務に失敗した要因となった一つにジャロと言う名のコマンダーがいるらしい」
男のその言葉にビエラはニヤリと口元を緩めた。
「なるほど、やっぱりあいつは要注意人物だと思ったんですよ。その話を俺にするって事は俺があいつを潰しに行って良いってことですね?」
「……ふふ、まだ早い。表立って動く必要も無いだろう。適当にオモチャでもばら撒いて様子を見るよ。……さて、君に一つ任務を与えよう。なぁに簡単な任務だ、臆する事は無い。ある人物にここに記す情報を流す事だ。期限は特に設けないから慎重に取り組んでくれたまえ」
「かしこまりました、……アトリエ様」
このアトリエという人物は以前にも名前は出てきた人物でありこの物語の中心人物です。いずれ彼とは戦うことになります。