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第二百七十三話 男の名は……

 読んでくださりありがとうございます。一体この地下牢にいた男は何者なんでしょうか。


「危ないところを助けていただきありがとうございます」


「何、こっちも助けてもらった礼だよ。久しぶりに体を動かしたが鈍ってなくて良かったよ」


「……あの、あなたは傭兵ですよね。でもレイテントじゃないと言っている。……つまりどこの誰なんです?」


 確かにそれは気になるな。この身のこなし明らかに傭兵もしくは戦闘を生業として来た人のそれだ。


「まあ、俺のことはどうでも良いんじゃない? それよりお前ら誰か助けに来たんだろう? それは一体どんな奴だ」


「……ムーロサッケル騎士隊副隊長のウィーノさんと、ギルドマスターのマバロさんです。……2人がどこに居るか知ってるんですか?」


「……その名前……。つい先日収容された2人組だな。そいつらならそこの丸太2本だ」


「……は? 丸太2本? それはどう言う意味で?」


 丸太2本がウィーノさんとマバロさんだって? ……確かにそこの檻の中に丸太のような物が2つ散らばっているけど……。待て、そうかレイテントにはファトーレがいるのか。つまり奴の催眠によって僕らの目には2人が丸太に見えているってことか。


「……トリバ、そこの檻の鍵を開けよう。丸太2本がウィーノさんたちって事は多分ファトーレの仕業だ。……ファトーレの催眠によって丸太に見せられているだけなんだ」


 ジャロのその言葉に応じるかのように散らばった2本の丸太がウィーノとマバロの姿に変わっていった。散らばったそのままに2人はうずくまっていたのである。地下牢の中で2人の声がしないのには理由があった。2人は口も開けぬ程に痛めつけられていたのである。


「ウィーノさん、マバロさん大丈夫ですか! 助けに来ました!」


「……、くっ。……その声は……ジャロか?」


 マバロは少し反応を見せたがウィーノはまだ反応を見せなかった。これほどまでに痛めつける必要がどこにあるのだと、瞬間怒りで我を忘れたため近づく足音に気づくのが少し遅れた。ジャロたちにある人物が迫っていたのである。


「……おかしいな、催眠がバレねぇと思ったんだがな。何も口に出せないくらい痛めつけてやったんだがよ。おっと、危ない。……なるほど君が外に出ているとはな。確かに君は俺が催眠をかけたところを見ているんだったか」


 ファトーレは竹の棒の突撃にいち早く気づき難なく避けてみせた。コマンダーとは思えない程の身のこなしである。


「……っち。やっぱり衰えてんのかねぇ。こんな男1人打ち倒せねぇんだもんよ」


「……ふ、俺は催眠で自己強化してるだけだ。何もしないでそれくらい動けるのが俺には信じられんがな。……まあ傭兵訓練所のオーナーだったならそれほど動けるのもおかしくは無いか。ま、それも過去の遺物に過ぎねぇんだがな」


「……俺は覚えているぜ? お前らがこの国の傭兵を牛耳ったその日をよ」


 ……傭兵訓練所のオーナー? ムーロサッケルでの話か? それとも他の国での話か? イマイチ話が見えてこないな。


「いくら俺を捕らえたとしてお前らみたいな新興の傭兵訓練所、定着する訳ねぇっておもっていたさ。俺はこの国の傭兵を支えていた自負があるからな。だがお前の催眠とか言う意味のわからんもので俺の傭兵訓練所が乗っ取られるとは思わなかったよ」


「……昔の話だな。俺らは既存の組織を利用しただけだ。……まあ利用しやすいくらい大きな組織で助かったがな、前レイテントオーナーのオリヴィアさんよ」


 男の正体が分かりました。レイテントの前オーナーだった人物だそうです。しかしそれではなぜ彼は地下牢にいたのでしょうか。

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