第二百六十二話 荒ぶる竜を救え
読んでくださりありがとうございます。ムーロサッケルから響いた慟哭は一体何だったのでしょうか。
「……今のは一体?」
[……あの嫌な感じは。……ふぅ、やはり争わねばならんのか。……ジャロよ、汝は魔導士であるな? ならば連れて行くぞ。我の背に乗るが良い]
そう言うと水竜様はジャロを背に乗せ上空へ浮かんでいった。水竜様に乗り上空を滑空しながらジャロは水竜様に尋ねた。
「あの、魔導士じゃなくて正確にはコマンダーなんですけど、……大丈夫ですか? それに今どこへ向かっているんです? ムーロサッケルへ行くんですか?」
[いかにも、ムーロサッケルを救いに行くのだ。コマンダーでも魔導士でもやる事は変わらん。我を導いてくれればそれで良い]
水竜様を導くってこれはまたどう言う事だ? しかもムーロサッケルを救うってどう言うことだ? そう考えているうちにムーロサッケルに着きそうだな。……あれは何だ? モンスターが暴れているような……?
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バルガの塔
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水竜様は静かにムーロサッケルに聳え立つ高い塔の入り口へ降り立った。水竜様の背からもがくように苦しむモンスターの姿がこの塔の頂上で見えたような気がしたジャロはその事を水竜様に尋ねようとした。その瞬間つんざくような轟音と共にもがき苦しんでいたモンスターが塔の頂上からジャロたちの居る所まで降臨したのであった。
そのモンスターには全く見覚えが無かったがジャロはただならぬ雰囲気を感じた。そのモンスターはどす黒い色をした首環に繋がれておりその目は何も映していないかのように虚であった。ジャロが警戒を強めているとそのモンスターからある人物が降りて来たのである。ジャロはそのモンスターから降りてきた人物を知っていた。
「お前だろうな。イエローの判断はやっぱり正しかったと言えるか。苦労したんだぜ? コイツを操るのはよ。……だがこれでお前は俺らを邪魔出来なくなったわけだ」
[やはりその魔道具、そしてその魔導の力……。貴様の名はアルファ・トーレスだな]
「え? アルファ・トーレス? コイツの名前はファトーレじゃ無いんですか?」
「俺の名前なんてどうだっていいがな。とにかく竜を止めるなら竜をぶつけるって訳だ。しかもこの光竜は特別だぜ? なにせ俺の渾身の魔道具“従僕の首環“で強化催眠をかけているからなぁ。つまりはただの竜じゃ止められねぇってことだ。俺らの邪魔はさせねぇ、さっさと散ってもらおうか!」
『レイテントのファトーレが勝負を仕掛けてきた。仲間モンスターは1体いるようだ』
『光竜 ムーロサッケル lv.40が現れた』
あぁ、やっぱり相手は光竜だったか。こんな相手でどうやって戦えば良いんだ?
[ジャロよ、約束した通り我の力を貸してやろう。水竜の力を思い知るが良い!]
あ! 水竜様が戦闘してくれるんだ。それはすごいな。……なるほど、他の仲間モンスターが誰もいない事になっているって事は竜同士の対決に勝てって事ね。とりあえずステータスとかを確認しようか。
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水竜 アムニスヴェーレ lv.40
名前:アムニスヴェーレ 経験値:0/6250
ランク:☆6
ステータス:体力243/243 SP205/205
ちから115、まりょく147、まもり87、はやさ95、うん89
アビリティ:咆哮、爪牙、魔弾【波】、瞑想、水流弾、水陣【砦】、竜の沫、魔爪【波】、大咆哮
装備:――
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水竜様のステータスは流石の一言ですね。光竜がどうやら操られているようで救うには倒すしか方法は無さそうです。しかしファトーレは色々と悪事を働くようですね。
ところで水竜様はファトーレの事をアルファ・トーレスと言っていましたが……。