第二百五十七話 竜を呼び出すには
読んでくださりありがとうございます。竜の力ですか……きっと凄まじい力なんでしょうね。
「ジャロはなんのことだかわからないよね。この手紙にはムーロサッケルではコマンダーギルドは既にレイテントの支配下である上に、ギルドマスターもレイテントの支配下におかれている可能性が高いと書いてあるんだよ」
「そうだ、ギルドマスターには色々な役割があるが大きな役割の一つに竜の使者と言うものがある。彼らギルドマスターはそれぞれ国に伝わる竜に認められて就任し、その竜の力が良からぬ事に利用されることの無いようにしているのだ」
「……つまりマバロさんがレイテントに屈すればレイテントは竜の力が悪用出来ると言う事ですか?」
「そうなるね、つまりムーロサッケルで竜が復活する事になる。竜の復活させるのに絶対に必要な物があるんだけどそれは大抵ギルドマスターが厳重に保管している。それはね祠のカギだよ」
「なんだ詳しいな、スートよ君は調べた事があるのか?」
「はは、誰しも考えることですよ。でも皆カギが必要な事を知り諦めるものです」
……あれ? 竜の復活にはカギが必要で、それさえあれば竜を復活させる事が出来るのか……? 今僕の手元に水竜のカギならあるぞ?
「え、……あの。祠に行ってカギを使えば竜が復活するんですか?」
「はは、まるでカギの保管場所を知ってるみたいな口ぶりだな。でもそれだけじゃ竜は復活させる事は出来ないよ。もう一つ重要なアイテムが必要なんだよ。古の御守りって言うアイテムなんだけど、これはコマンダーギルドが管理しているんだ。その2つを合わせる事で祠のカギになるんだよ。ただ、これはある特定のクエストをクリアした達成報酬でコマンダーに渡されている可能性があるからレイテントが既に古の御守りを確保している可能性は五分五分って所かな。……ってジャロ、君聞いているかい?」
……はい、ちゃんと聞いてます。つまり古の御守りとカギが有れば竜が復活出来るんですね。多分、……いや十中八九それらしきものが両方とも今僕の手元に……有りますね。
「つまりだ、戦争を始めるのは待った方が良いとは向こうが竜の力を手中にしているかもしれない以上はこちらも水竜様の力をいざとなればお借り出来る様にしなければ勝算が無いと言う訳だな? それならスート、君を呼ぶと同時にシロガネも呼んでいる。だが彼がまだ来ないのだ。何かあったんだろうか……」
「すみません、……えっと、その……。話題に上がっている2つのものってコレじゃ無いです……よね?」
ジャロは恐る恐る古の御守り【藍】と水竜のカギをウェザリア四世に差し出した。
「え⁈ ジャロそれ本物? シロガネさんが持っているんじゃないの?」
「古の御守り【藍】はクエストをクリアした時に、水竜のカギはそのクエストが達成した時にギルドマスターに呼び出されて託されました……」
「なんと! ……なぜ君に託されたのか……。シロガネは何か言っていなかったか?」
「たしかスパイが紛れ込んでいる事を勘繰っている…と言っていました。念には念をと手を打っておくレベルだとも言ってましたが……」
「スパイか、……つまりシロガネはトラブルに巻き込まれた可能性が高いな。スートよ、君はコマンダーギルドを確認して来なさい。そしてジャロ、君は祠へ向かい水竜様を復活させるのだ。いざとなれば水竜様の力をお借りしたいと国王が申している事を伝えてくれ。頼んだぞ」
こうしてスートとジャロの2人はそれぞれアムニスヴェーレとムーロサッケルの戦争を避けるために国王の指示と共に行動を始めたのであった。
シロガネの念には念をと行った行動が功を奏しそうですね。今ジャロの手元には水竜を復活させるためのアイテムが揃っています。あとは祠へ行くだけです。