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第二百五十四話 何でもない一日、陰謀は渦巻く

 読んでくださりありがとうございます。さてムーロサッケルで一日が始まりました。


――

ギルド ムーロサッケル支部

――


 この日の夕方に教会の鍵付きの部屋に突入するためジャロ、マバロ、ウィーノの3人は入念に手はずを整えていた。


「さて、いよいよ今日ジャロが問題の場所に突入する訳だが色々と確認しておこうか。ビリジオ妃の遺体が見つからなかった場合見張りが戻る前にすぐにその場所から逃げた方が賢明だ。騒ぎになると次の行動がしにくいからな」


「つまりさっさと突入してさっさと退散するんですね」


 こう言ってしまうとなんだかこっちが悪人みたいに思えて来るな。この話からして時限イベントって感じかな? 制限時間とかってあるんだろうか。


「少なくとも5分以内に退散すべきですな。いくら見張りが居ないとしてもほかに見張りが居る場合がありますからね。そしてご遺体が見つかった場合すぐにその場から退散し離れた場所で渡した狼煙を上げてもらえれば騎士隊を突入させよう。王殿の近くで待機させておこ……」


「バタン‼︎」


 ウィーノがビリジオ妃の遺体が見つかった場合の事をジャロと確認していたその時勢いよくギルドの扉が開いた。驚いて3人とも扉に振り向いた。ギルドに立ち入る者は限られており緊急事態でも無ければギルドに関係の無い者は訪れない。すなわち3人ともギルドの中にいる時にギルドに来る人はいない……はずであった。


「ウィーノ副隊長‼︎ ……今すぐ騎士隊へお戻り下さい。……招集が……かかっております」


「待て。……私は今ギルドマスターの見張りだ。それなのに招集がかかったとは何故だ? 見張りの代わりは誰がすると心得る」


 相当焦っているのだろうか、ギルドへ騒々しく入って来た男性は肩で息をしながらウィーノをまっすぐ見つめていた。その目は困惑と焦りに満ちていた。


「……見張りなんかよりも重要な事態です。緊急事態なんです! ……今朝方、女王陛下のご遺体が発見されました」


「……何? ……ご遺体が発見されたと今言ったのか?」


「……はい、女王陛下は何者かに暗殺されたと思われます。血だらけの女王陛下のご遺体と犯人の物と思われる声明文が添えられていました」


「分かった、すぐに向かう」


 そう言うとウィーノは男性と共に足早にギルドを去って行った。後に残ったのは事態がやや掴めていないジャロと諦めの境地に差し掛かり始めているマバロだけであった。


 ……ええと、つまりどう言うことだ? 女王がついさっき暗殺されたのが見つかった……って事か? ビリジオ妃の遺体は僕らがレイテントを追及するために探していたんだよね。


「今の女王の遺体なのか、ビリジオ妃の遺体なのか……。最早どちらでも同じだな。こいつは参った。こちらにレイテントを脅かすためのカードがいきなり2枚減っちまった」


「マバロさん、……2枚減ったとはどう言う事です?」


「女王の遺体が見つかったと言う事はこの後こちらが遺体を見つけてもその遺体は偽物と言われればおしまいだ。俺らに本物のビリジオ妃の遺体を証明する手立てはこの魔導の力以外は無いんだからな。そして魔導の力が使えない以上は死人に口なしって訳だ。これまでの間に女王が偽物であったことも証明出来なくなった。俺らの作戦は今生きている女王とあるはずの無いビリジオ妃の遺体あってこその論理だからな」


「なるほど……」


「お前もさっさとここから出ろ。この状況はもうひっくり返す事は出来ん。ならせめて被害は少ない方が良い」


 ビリジオ妃は暗殺されています。それは事実ですがムーロサッケルの国民には今日この日に何者かに暗殺されたとなっているでしょう。偽物の女王が暗殺されたのか本物の女王の遺体を使って暗殺されたことにしたのかは今は分かりません。

 こうしてムーロサッケルの女王はいなくなりました。王位に誰もいないのはいけないことですから誰かしらを王位に就けることになります。こういう王位は大抵王族が継承しますが王族が途絶えた場合は……そうですね王族に近しい者が継承するのではないでしょうか。さてここにレイテントの狙いが見える気がしますね。

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