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第二百五十一話 王妃の遺体を捜索せよ

 読んでくださりありがとうございます。レイテントはムーロサッケルに思っているよりも深く取り入っているのです。


「それならまだマシだ。そもそもだ。これもさっきも言ったが今のこの国はレイテントの連中が牛耳っている。そして奴らは魔導士に関する事を言動規制してまで嫌っているんだ。そんな状況で国民に魔導士の力で女王が偽物だとぶつけてみろ」


「まあ、マバロの言うように効果は期待出来やしませんな」


「多少は混乱を招くだろうがレイテントの連中にすぐに抑えられるだろうな。恐らく今の女王に反発した魔導士くずれの輩が女王の失脚を狙って企てた陰謀に仕立て上げられるだろう。そして俺らはそこで女王が偽物だと偽る者っていうレッテルを貼られ、国に背く逆賊として、そしてレイテントはそんな逆賊を処罰する義賊として振る舞える。そうなりゃ誰も俺らに味方はしまい」


「……やはり死体を探す他有りませんな。やる事はただ一つビリジオ妃の遺体を探すのです。存命なハズのビリジオ妃のご遺体があれば混乱どころでは済みますまい」


「危うい賭けだけどな。俺がレイテントに属してりゃそんな見られたら困るものはすぐに処分するもんだ。跡形も無く処分されているか、誰にも見つからない場所で厳重に保管されているかの2択だ」


 つまり今しなきゃいけない事は保管されている方に賭けて誰にも見つからない場所を探し当てるって事か。無理ゲーじゃない? それは。


「ただ、誰にも見つからない場所ってのはな存在しねぇんだ、俺の経験からな。それに連中の目の届く範囲に絶対にある。露見したタイミングが分からなけりゃ対処が遅れるからな。もっともこれは保管されているって言う前提の話だがな」


 ……なるほどそれも一理あるな。……待てよ。


「あの、マバロさんが指輪に宵闇の解剖刀を使えば亡くなったビリジオ妃本人と会話出来るんじゃ無いですか?」


 ジャロのその言葉にマバロは少し驚いた顔をしたがすぐにニヤリと笑った。


「……! お前良い事に気づいたな。いや完全に妙手では無いんだが充分だ。これが効果を発揮するのは亡くなった人物の遺体や装飾品の中で最も大きな物に対して使った時に限る。つまり指輪が対象に取れれば遺体は跡形も無く処分されている事になるし、逆に対象に取れなければどこかに遺体もしくはそれに準ずるものが保管されている事になる。そして俺たちは後者である事を願っているんだが……。どうやらまだ神に見捨てられては無いみたいだ」


 マバロは宵闇の解剖刀を指輪に突き立て何も出現しない事を確認するとニヤリと笑った。その笑みには安堵が含まれているようにジャロには感じられた。


「良し、それじゃあジャロ頼むぜ。ビリジオ妃の遺体の場所を探し求めレイテントの悪事を暴き出すんだ。俺は大っぴらには動けねぇから頼むぞ」


「この場合は私も動けませんな。騎士団で捜査すればレイテントの方々に我々がご遺体を探していると筒抜けになりますからね」


 …結局僕以外動く人居ないのかよ。しょうがないなあ、とりあえずどこを探そうか。マバロさんの話からするとレイテントの目の届く範囲に隠されているって事だけど、王殿……だったら探せないんだよね。とりあえず指輪が見つかった場所付近を探しますか。教会の近くで見つかったんだよね。


 つまり国民が信じたい方がどちらかと言う訳ですね。時に民衆は真偽ではなく心情で物事を判断します。それが良くも悪くも国の行く末を左右するのです。それを防ぐには揺るぎない根拠が必要……今回でいうとあるはずのない王妃の遺体です。でもそんなに簡単に見つかるものですかね……?

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