第二百四十四話 手紙の配達
読んでくださりありがとうございます。ジャロを探しているのは一体誰なんでしょうか。
……? 僕を誰か探しているのか? ええと声の主は……、なんだマルコじゃないか。何でマルコは僕を探しているんだ? まあ直接本人に聞けば良いか。
「僕をお探しですか?」
「あぁ、ギルドの中にいたのか。ふぅ……良かった、クエストに出たところだったらちょっと面倒だったんだがどうやら助かったようだ。ジャロ、オーナーが呼んでるからついて来いよ」
「スートさんがですか?」
スートがジャロを呼ぶ理由がさっぱりわからなかったが、ジャロはとりあえずマルコについて行きスートのところへ行く事にした。ジャロがマルコについて何の用事だろうかと不思議がりながらそそくさと傭兵訓練場カードの奥の部屋へと向かった。ともすると急用があるのかもしれないと急いで向かったのだが、そんなジャロたちをゆっくり紅茶を飲んでいたスートが出迎えたのであった。
「オーナー一応急用かと思って急いだんですが……。そうでもない感じで?」
「急用と言えば急用とも言えるかもね。別に急いだことは間違いじゃあ無い。ただ紅茶をゆっくり飲むくらいの余裕はあったかな。あ、ジャロどうぞ座って」
「ええと、僕を何の用事で呼んだんですか? ここに来るまでちょっと考えたんですがあんまりピンとは来なくて……」
「あぁ、それはそうだね。実はジャロに1つ頼みたいことがあるんだ。それはね、もう一度ムーロサッケルに行って貰いたいんだ」
「ムーロサッケルにですか? それなら別に僕じゃ無くても良いと思うんですが」
「いや君が良いんだ。君にしか頼めないと言っても差し支えない。僕が大っぴらに傭兵を使ってそれをやると少々問題が多くてね。アグエラさんに手紙を届けて欲しいんだよ」
「……手紙ですか?」
ジャロが不思議そうにスートに尋ねるとさらにスートは続けた。
「そう、手紙。それとこれも一緒に届けてくれ」
『小さな小包を手に入れた』
なんだこれ? 小包? ちょっと中身が気になるな。手紙と言い小包と言い謎でしか無いんだがね。それに傭兵がこれを届けることで少々問題になるってのはどうしてなんだろうか。
「中身はどうせ行けば分かるから今は言わない。結構水面下で動いていることだからね、ここで明言するのは避けさせてもらうよ。なぁに危険なモノじゃあない。……ただ出来るだけ早く届けて欲しい。それだけだよ」
「……分かりました。とりあえず全部アグエラさんに届けたら良いんですね」
「話が早くて助かる。恐らくアグエラさんからまた返事の手紙を預かると思うからそれを僕に届けるまでがジャロに頼みたい事だ。……その返事が僕の予想と外れていると嬉しいんだけどね」
「……? なにか予想でもついているんですか?」
「……! いや何でもない。気にしなくて全然問題無いよ」
スートが呟くように発した最後の言葉が気になりジャロはスートに素直に尋ねた。しかしスートは少し目を見開いただけで答えをはぐらかしたのである。色々と気になることはあるがどうやら今のジャロにはスートの頼みを聞くことしか出来ないようであった。
ギルドランクが上がったことでまた新しいイベントが進行しています。スートは何やら思うところがあるようですが今は何も分かりませんね。