第二十一話 再び研究所へ
読んでくださりありがとうございます。
「帰ったか。すまなかったな。うちの情報不足だった」
「まあ、いいじゃないですか。二人とも無事でしたし。そんなに気にすることも無いですよ」
「そう言ってくれるとこちらとしても助かる。あんなヤバイ奴の縄張りである以上当面はウージリの森一帯が通行禁止になるが、クエストは大丈夫か?」
「あ、もう軍曹ゴブリンは倒してるんで、なんとかなってます」
「そうか、じゃ報告しに行って来い。その後また研究所へ来い」
「研究所……ですか? わかりました」
どうして研究所に行くのかはよくわからないが、研究所へ行かねばならないらしい。クエストを報告したらすぐに向かうとするか。
「こちらギルド受付になります。何か御用ですか?」
「クエスト達成報告に……」
「かしこまりました。それではギルドカードをお出しください」
「……これですね」
「……、はい。確かにクエスト達成が確認出来ました。クエスト2件で報酬金がこちらになっております。お確かめください」
「……、はい大丈夫です」
「おめでとうございます。規定を満たしましたので、ジャロ様のギルドランクが☆2になりました。これにより☆3までのクエストが受注可能になります。そしてこちらがランクアップ報酬となります」
『低級ポーション×5を手に入れた』
お、これは助かるな。回復手段が薬草頼みだったからありがたい。喜んでもらっておこう。
「また、達成された一部クエストは繰り返し受注可能なのですが、どうされますか?」
「再受注をお願いします」
「それでは“モンスター研究所のお手伝い ☆1“を再受注いたしました。また頑張ってください」
ギルドランクが上がったらしい。そういえばそんなことを前回言われた気がする。色々なことがあったせいですっかり忘れていた。☆3のクエストはどんなものがあるのだろう? でも忘れてしまいそうだから先に研究所の方へ行くか。
――
モンスター研究所
――
「いらっしゃい君が来るのを待っていたよ」
「グラッドさんに言われて来たんですけど……」
言い終わろうかとするタイミングで奥に座っているガタイの良い人物が目に入った。
「おう。さっさとこっち来い」
「用件も言われてないんで何するか不安なんですよ。僕は何で呼ばれたんです?」
「決まっている。ウージリの森のアイツについての対策をここで講じるんだ」
「アイツですか。といってもあんまり知らないですよ?」
「“冥狼 ウプウアウト“に出会った数少ない意見だからね。是非参考にしたい。まず遭遇した時はどんな感じだったかな?」
「どんな感じ……ですか。そうですね、どこか張りつめたというか辺りが冷たくなった感じでしたね」
「俺がお前を見つけた辺りはウージリの森の奥近くだったからなあ。辺りがそんなことになることはない。十中八九アイツが関係している」
「それでウプウアウトと会話を交わしたんだよね? どんな会話を?」
「縄張りを荒らした奴を逃がしはしないという風に言われました。ゴブリン倒してたくらいでなんもしてないんですけどね」
「ウージリの森で出てくるモンスターのランクは最高でも☆4。アイツは確実に6は超えているから遭遇自体がおかしいんだけどな」
クエストの報告は良いんですけど、その流れでクエスト受注しませんか? 普通。どうやらジャロは目先のことにとらわれるとあまり周りが見えなくなるタイプのようです。私みたいですね(笑)
さらっと☆4モンスターの存在が明かされました。でも大丈夫です。イベントでも踏まない限り出現しません。